SAKE BREWERY — IWATE
酔仙酒造
紹介
1944年(昭和19年)、岩手県気仙地方にあった8軒の造り酒屋が企業整備令により統合し「気仙酒造」として設立されました(1965年に「酔仙酒造」へ改称)。社名は地元出身の画家が「酔うて仙境に入るが如し」と酒を讃えたことに由来します。「美酒伝承」を掲げ、地域の風土に寄り添い、食事に合う呑み飽きしない「きれいなお酒」造りを追求しています。
2011年の東日本大震災で陸前高田の本社工場が津波により壊滅する甚大な被害を受けましたが、他蔵の協力を経て、2012年に大船渡市へ新工場(大船渡蔵)を建設し自社醸造を再開しました。
代表銘柄には社名を冠した「酔仙」のほか、1970年発売のロングセラー活性原酒「雪っこ」、地元陸前高田産の米「ひとめぼれ」と水を用いて造る「夛賀多(多賀多)」などがあります。全国新酒鑑評会での金賞受賞をはじめ、南部杜氏自醸清酒鑑評会など数々の鑑評会で高い評価を得ています。
歴史
1944年9月26日、戦時中の企業整備令により、岩手県沿岸南部の気仙地方で古くから酒を造り続けてきた8軒の造り酒屋が統合され、「気仙酒造」として設立されました。その後、地元出身の日本画家・佐藤華岳斎がこの酒を愛飲し「酔うて仙境に入るが如し」と讃えたことにちなみ、社名は「酔仙酒造」へと改められました。統合した8軒の中には陸前高田市高田町にあった磐井酒造店も含まれており、同店の代表銘柄「多賀多」は後年復刻され、現在も酔仙酒造の銘柄として受け継がれています。
昭和37年頃には本社と工場が岩手県陸前高田市高田町字大石に集約され、約7200坪の敷地を持つ蔵として、気仙地方を代表する造り酒屋への歩みを重ねてきました。
2011年3月11日14時46分に発生した東日本大震災では、およそ30分後に海岸から2キロメートルの地点にある陸前高田市の本社工場にも津波が到達しました。木造4階建ての倉庫を含む全ての建物、さらに登録有形文化財に指定されていた本社事務所・倉庫・旧守衛室までもが水没し、壊滅・流失しました。当時57名いた従業員のうち7名が、この震災の犠牲となりました。
社屋も設備も失われた中で、社長は震災直後に「必ず復興する」との意志を示しました。震災からおよそ半年後の2011年9月には、岩手銘醸の蔵の協力を得て醸造を再開しました。さらに翌2012年3月には大船渡市猪川町での新工場建設に着手し、わずか5か月というスピードで完成させ、同年8月から新工場での仕込みを開始しました。失われたのは建物と設備であり、酔仙が守り続けてきた酒造りの歴史と、それを未来へつなごうとする蔵人たちの意志は失われなかったと、蔵は自らの歩みを振り返っています。
酒造り
酔仙酒造は「呑み飽きしないきれいなお酒」を目指し、旨さとキレは相反するという従来の考え方を酒造りの工夫で乗り越えることを目標に掲げています。麹づくりでは広い麹室を使い、仕込み前半は湿度を保ちながら後半はしっかりと乾燥させることで、サバケの良い「軽快な麹」に仕上げる製法にこだわっています。
仕込み水には氷上山の伏流水を用いています。毎年水質検査を行っており、硬度はアメリカ基準で27から34の間で推移する、穏やかな発酵を支える水質です。使用する米は銘柄によって使い分けており、「雪っこ」には岩手県産米を、「多賀多」には陸前高田産のひとめぼれを100%用いています。
酒造りの現場は杜氏・金野泰明氏、麹師・柴田由紀雄氏をはじめとする蔵人たちが担っています。蔵人の自宅にあった純米大吟醸用の米に付着していた菌から新種の麹菌を見出し、試験場での毒性検査を経て「No.5」「No.36」と名付け、2021年から酒造りに使い始めました。この麹菌はもろみ中のグルコース濃度を高く保つことでオフフレーバーが出づらく、スムーズな発酵を促す特性を持つとされています。
蔵データ
代表銘柄
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- 夛賀多
酔仙:大吟醸、純米吟醸、本醸造辛口、上撰、純米酒など幅広いラインナップを持つ、蔵の名を冠した看板銘柄です。地元出身の画家が「酔うて仙境に入るが如し」と讃えたことに由来する名の通り、芳醇でありながら飲み飽きしない「きれいな酒」を志向しており、上撰はふくよかな風味、本醸造辛口はキリッと引き締まった味わいが特徴です。
雪っこ:1970年に発売され、50年以上愛されてきた冬期限定の活性原酒です。精米歩合70%の岩手県産米と協会9号酵母を用い、日本酒度マイナス13.0、酸度1.3のしっとりとした甘口に仕上げています。とろりとした白濁の口当たりとまろやかな甘さが特徴で、酵母と酵素が生きたまま瓶詰めされているため冷暗所で半年ほど保存できます。夏には純米うすにごり仕立ての姉妹品も販売されます。
夛賀多:かつて陸前高田市にあった磐井酒造店の代表銘柄を、2005年の市制50周年を機に復刻した特別純米酒です。陸前高田産ひとめぼれを100%使用し、氷上山系の伏流水で仕込んでいます。精米歩合60%、酵母はジョバンニの調べを用い、日本酒度±0、酸度1.5の芳醇中口。田植えから稲刈りまで地域住民が参加するなど、米づくりから地元と歩む一本です。
見学・購入
あり(要事前確認)
大船渡蔵には直売所があり、季節限定品を含む日本酒を購入できます。
大船渡蔵(岩手県大船渡市猪川町字久名畑136-1)にて、平日10時から16時まで酒蔵見学を受け付けています。料金は無料、所要時間は約1時間で、電話(0192-47-4130)または問い合わせフォームからの事前予約が必要です。新型コロナウイルス感染拡大防止のため一時休止していましたが、感染対策を続けながら再開しています。
見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。
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出典
japansake.or.jp / suisenshuzo.jp / prtimes.jp / kuramotokai.com / city.ofunato.iwate.jp / wikipedia.org
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