SAKE BREWERY — IWATE
菊の司酒造
紹介
1772年(安永年間)に酒造業を開始した、岩手県で最も歴史ある酒蔵です。南部杜氏の伝統技術を受け継ぎながら「菊の司」「七福神」「杜の白菊」などの代表銘柄を熟練の技で醸してきました。
長年、盛岡市紺屋町で酒造りを行っていましたが、2022年に岩手県雫石町へ本社および工場を移転しました。新工場では岩手山の豊かな伏流水と地元の厳選米を仕込みに使用し、衛生・温度管理が徹底された最新設備と職人の手造りの技を融合させた四季醸造を行っています。伝統的な銘柄に加え、「innocent」や「心星」など現代的な味わいの日本酒開発にも注力しています。
国内外の鑑評会でも高く評価されており、2024年には「ミラノ酒チャレンジ」で「純米大吟醸 菊の司 結の香仕込」がプラチナ賞、「全米日本酒鑑評会」で「菊の司 心星」や「純米大吟醸 てづくり七福神」が金賞を獲得するなど数々の受賞歴を誇ります。(398字)
歴史
菊の司酒造の始まりは、初代・平井六右衛門が元和年間(1615年から1623年ごろ)に伊勢松坂(現在の三重県松阪市)から移り住み、現在の岩手県紫波郡紫波町日詰で旅籠を開業したことにさかのぼります。その後、六代目にあたる当主が安永年間の1772年に酒造業へと転じ、これが蔵の創業の年とされています。以来、岩手県内で最も歴史の長い酒蔵として、二百五十年を超える歳月にわたり酒造りを続けてきました。
明治初期の1869年ごろには盛岡油町に支店を構えて商圏を広げ、1927年には工場を盛岡市紺屋町4番20号に移転し、昭和期を通じて盛岡の市街地で酒造りを行いました。1929年には平六商店株式会社として法人化されましたが、戦時中の企業整備により盛岡酒造へと統合されます。戦後の1954年に独立を果たし、1955年から酒造りを再開し、この際に小野寺酒造店(現八幡平市)や平長酒造店(紫波町)などと合併しました。1968年に社名を菊の司酒造株式会社と改め、1975年には「七福神」を醸造していた箱庄酒造店(現花巻市石鳥谷町)と合併し、同銘柄を引き継いでいます。
近年では2021年3月に株式会社公楽が事業を譲り受け、山田栄作氏が代表取締役に就任して経営を刷新しました。そして創業から250年の節目を迎えた2022年、長年蔵を構えてきた盛岡市紺屋町を離れ、同年11月7日に岩手郡雫石町長山狼沢の旧上長山小学校跡地に完成した新社屋・雫石工場へ本社と製造拠点を移転しています。落成式では「岩手の酒造りの文化と雫石の自然の恵みを世界へ」という理念が掲げられ、移転により従来の冬季のみの寒造りから、年間を通じて醸造できる四季醸造体制への転換が実現しました。新社屋の1階には250周年記念の限定酒や代表銘柄を購入できる直売ショップも同時に開設されています。
酒造り
雫石工場では杜氏の西舘誠之氏のもと、徹底した温度管理と空気接触を最小限に抑えた醸造工程により、精密で一貫性のある酒質を目指しています。仕込み水には岩手山山麓からもたらされる清らかな伏流水を用い、原料米には結の香や吟ぎんが、ぎんおとめといった岩手県産の酒造好適米を中心に使用しています。搾りにあたっては活性炭による濾過を行わない無濾過にこだわり、米や水が本来持つ自然な味わいを生かした酒質を追求しています。
新工場では機械化による衛生・温度管理と、杜氏や蔵人による手造りの丁寧な工程を組み合わせた四季醸造を行っており、年間の生産量はおよそ1,000石です。従業員は約25人で、全員が岩手県内在住者であり、季節雇用の蔵人には頼らない通年雇用の体制をとっています。2021年の経営刷新以降は販路の見直しも進み、県内向けと県外向けの出荷比率はおよそ6対4まで変化したほか、韓国、台湾、香港、シンガポール、中国、イタリア、イギリス、ドイツ、オーストラリア、ブラジルなど海外への輸出にも力を入れ、国内と海外の出荷比率はおよそ7対3となっています。
品質面では2024年度の全米日本酒歓評会において、吟醸部門で「菊の司 心星-Shinboshi-」が金賞を、大吟醸B部門で「純米大吟醸 てづくり七福神」が金賞を、大吟醸A部門で「純米大吟醸 菊の司 結の香仕込」が銀賞を、純米B部門で「純米酒 七福神」が銀賞をそれぞれ受賞しました。翌2025年度の同歓評会でも「純米大吟醸 てづくり七福神」と「菊の司 心星-Shinboshi-」がいずれも銀賞を受賞しています。また2024年・2025年のミラノ酒チャレンジでは「純米大吟醸 菊の司 結の香仕込」が酒テイスティング部門のプラチナ賞を連続受賞(2024年はデザイン部門 Best Design も受賞)し、2025年は「菊の司 心星-Shinboshi-」もプラチナ賞を受賞するなど、海外の品評会でも高い評価を得ています。
蔵データ
代表銘柄
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- 杜の白菊
菊の司:蔵を代表する看板銘柄で、力強い味わいとキレの良さが特徴とされています。岩手山の伏流水と厳選された地元産米で醸されており、ラインナップには純米酒 吟ぎんが仕込や純米大吟醸 結の香仕込などがあります。2024年度の全米日本酒歓評会では「菊の司 心星-Shinboshi-」が吟醸部門で金賞、「純米大吟醸 菊の司 結の香仕込」が大吟醸A部門で銀賞を受賞し、2025年のミラノ酒チャレンジでは「純米大吟醸 菊の司 結の香仕込」が酒テイスティング部門でプラチナ賞を受賞しています。
七福神:1975年の合併で引き継がれた箱庄酒造店(現花巻市石鳥谷町)ゆかりの銘柄です。なかでも「てづくり七福神」は吟醸酒の先駆けとして長く愛され続ける看板商品で、力強い味わいとキレの良さが持ち味です。2024年度の全米日本酒歓評会では「純米大吟醸 てづくり七福神」が大吟醸B部門で金賞、「純米酒 七福神」が純米B部門で銀賞を受賞し、2025年度も「純米大吟醸 てづくり七福神」が銀賞を受賞しています。
杜の白菊:飲みやすさを重視して造られたにごり酒です。アルコール度数は15度台で、甘さを抑えた控えめな味わいに仕上げられており、にごり酒特有の米の旨みを楽しみながらも軽やかに飲み進められる一本として販売されています。
見学・購入
なし
雫石町の新社屋1階には直売ショップが併設されており、創業250周年を記念した限定酒のほか「菊の司」「七福神」など代表銘柄を購入できます。ショップは2022年11月の新社屋落成にあわせて開設されました。
所在地は岩手県岩手郡雫石町長山狼沢11-1で、旧上長山小学校の跡地に建てられています。営業時間は10時〜17時です。
見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。
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出典
japansake.or.jp / kikunotsukasa.jp / mottox.co.jp / saketime.jp / montbell.jp / shizukuishi-kanko.gr.jp / ja.wikipedia.org / town.shizukuishi.iwate.jp / jbpress.ismedia.jp / jp.sake-times.com / sakeappraisal.org / craviton.com
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