泉金ホールディングス
代表銘柄:龍泉八重桜・火の鳥
岩手県
IWATE
1854年創業
岩手県下閉伊郡岩泉町に位置する泉金酒造は、安政元年(1854年)に創業した老舗酒蔵です。仕込み水には、名水百選や高い透明度で知られる地元・龍泉洞地底湖的の湧水を使用し、厳選した酒米と南部杜氏の伝統技術による丁寧な酒造りを行っています。
代表銘柄の「龍泉八重桜」のほか、東日本大震災からの復興への祈りを込め、灰塵から立ち上がる不死鳥をモチーフにしたラベルの純米吟醸「火の鳥」などを展開しています。また、龍泉洞の洞窟内環境を利用した熟成酒の製造など、地域の自然風土を生かした多様な取り組みも手がけています。
酒造りの品質の高さは広く評価されており、全国新酒鑑評会や岩手県新酒鑑評会において金賞を受賞した実績があります。
泉金ホールディングスの歩み
安政元年(1854年)、江戸で黒船来航が騒がれていたころ、南部藩領だった岩泉の八重樫家で日本酒の最初の搾りが試みられたのが、泉金ホールディングスの始まりです。初代八重樫長吉から数えて5代目の喜太郎がこれを手がけ、明治維新後は6代目の八重樫金十郎が家業を継ぎました。金十郎は林業や養蚕、稲作の振興にも力を注ぎ、明治23年(1890年)に「八重桜」の銘柄で酒を売り出したことが、現在の代表銘柄「龍泉八重桜」につながっています。
明治16年(1883年)に岩泉を襲った大火では蔵も被災しましたが、金十郎はいち早く家業の再建に着手し、釘を使わず梁と柱を組み合わせた木造の蔵と住居を現在の場所に新築しました。防火壁の役割も兼ねた土蔵の配置とともに、この建物は今も現役の蔵として使われています。妻のリウやその後を継いだフジは、藩政時代から八重樫家に伝わる紫根染めの技法を守り伝えながら、地域の子どもたちの養育や女性の就労支援といった社会活動にも力を尽くしました。
2016年8月の台風10号は岩泉町に甚大な被害をもたらし、増水した川が蔵のすぐ近くまで押し寄せましたが、蔵は浸水を免れ、酒に被害はなく、蔵の損傷もわずかで済みました。一方で周辺地区や従業員の自宅には被害が及び、土砂崩れで主要道路が寸断されたため、しばらくの間、通常の3倍の時間をかけて迂回路を通る状態が続きました。断水からの復旧や後片付けに追われるなか、自衛隊や消防、地域のボランティアが道路の復旧や後片付けを支援し、商品の発送は日時指定ができないながらも続けられました。
龍泉洞に貯蔵していた酒は、洞内の安全が確認されたのち「秋あがり」として取り出す予定でした。
現在は「泉金ホールディングス株式会社」として、代表の八重樫義一郎氏のもと、少人数の体制で伝統の酒造りを守り続けています。
酒造りの特徴
仕込み水には、名水百選にも選ばれた龍泉洞の地底湖に由来する水を使用しています。石灰岩の地層でろ過されたことで自然のミネラル分を含む中硬水となり、南部杜氏の技術と伝統を受け継いで酒造りが行われています。原料米はすべて国産米を使用し、産地表示にも「米(国産)」「米麹(国産)」と明記しています。
岩泉町の象徴である鍾乳洞・龍泉洞の坑内は、平均気温10〜11℃に保たれており、この洞窟内に酒を持ち込んで貯蔵する「龍泉洞セラー」の取り組みも行っています。洞内でひと夏を過ごした純米吟醸酒は、気温の低い環境でゆっくりと熟成が進み、「秋あがり」として毎年出荷されています。蔵見学は事前予約制で、明治時代に建てられた蔵の建物を見学することができます。
全国新酒鑑評会では、平成18年・21年・23年・26年・27年・28年・29年・30年、そして令和3年・5年・6年の発表分で金賞を受賞しており、平成19年・22年・24年、令和4年・7年・8年の発表分でも入賞を果たしています。平成14酒造年度以降のおよそ20年で17回入賞し、うち11回が金賞という高い評価を安定して受け続けています。
全国新酒鑑評会以外の受賞も重ねています。岩手県新酒鑑評会では2023年3月発表分で純米大吟醸「結の香」が岩手県知事賞第一位を受賞したほか、2021年にも岩手県知事賞を受賞しました。令和6年(2024年11月発表)の東北清酒鑑評会では、吟醸の部・純米の部の両部門で優等賞を受賞しています。海外のコンクールでは、2018年のInternational Wine Challengeで純米大吟醸部門のCommendedを、同じく2018年のKura Masterで「結の香」が金賞を受賞しました。
代表銘柄
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龍泉八重桜
明治23年(1890年)に「八重桜」の名で売り出されて以来、蔵の看板を担ってきた銘柄です。蔵から程近い鍾乳洞・龍泉洞の名を冠して現在の名前になりました。仕込み水には石灰岩でろ過された龍泉洞地底湖由来の中硬水を使い、大吟醸から特別純米酒、辛口の特別本醸造まで幅広いラインナップを展開しています。なかでも辛口の特別本醸造は、正確な造りと熟成による、しっかりとした口あたりと爽やかな後味が持ち味です。
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東日本大震災からの復興への祈りを込めて生まれた純米吟醸です。ラベルには、灰の中から力強く飛び立つ不死鳥がモチーフとして描かれており、被災地で奮闘する人々や支える人々、そしてこれから一歩を踏み出そうとする人たちを応援する思いが込められています。精米歩合55%まで磨いた国産米を使用し、吟醸造りならではの潤いのある飲み口と、澄み切った後口が楽しめる一本です。
見学・購入
- 蔵見学
- あり(要事前確認)
- 直売所
- 蔵元のウェブサイトで通信販売を行っており、定番の龍泉八重桜シリーズのほか、龍泉洞セラーで熟成させた季節限定の洞窟貯蔵酒も購入できます。
- 補足
- 蔵見学は平日8時から18時、土曜・祝日は8時から17時まで受け付けており(日曜休)、事前予約が必要です。英語やドイツ語での案内にも対応しています。
見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。
蔵の基本情報
- 所在地
- 岩手県下閉伊郡岩泉町岩泉字太田30
- 創業
- 1854年
- 公式サイト
- www.ginga.or.jp
出典
tabiiro.jp / ginga.or.jp / wikipedia.org / sakenomy.jp / nrib.go.jp / web.archive.org / tohokukanko.jp / iwatetabi.jp
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