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長珍酒造

代表銘柄:長玲 禄・長珍

愛知県

AICHI

1868年創業

長珍酒造の建物
長珍酒造の建物(2023年撮影)「Chochin Brewery 2023-01 ac (1).jpg」 — 写真:Asturio Cantabrio / CC BY-SA 4.0縮小・WebP変換

長珍酒造は、愛知県津島市に位置する1868年(江戸時代後期/明治元年)創業の酒蔵です。創業当時は「提灯屋」という屋号で呼ばれていましたが、「末長く珍重される酒」となるよう願いを込めて「長珍」と名付けられました。

同蔵では、ミネラル分を豊富に含む地下水を用い、昔ながらの大きな和釜で米を蒸し上げる伝統の製法を守り続けています。初代から続く「量より質」を重視する姿勢を受け継ぎ、米本来の旨味を引き出した力強く深い味わいが特徴です。光による劣化を防ぐために新聞紙で包んだ「しんぶんしシリーズ」や、熟成や燗酒にも適した食中酒を展開しています。

歴史的な実績として、過去に天皇陛下の名古屋離宮御台覧の際に愛知県代表として献上の栄誉を賜ったほか、全国新酒鑑評会における金賞受賞をはじめ数々の受賞歴を持ちます。

長珍酒造の歩み

長珍酒造の創業は1868年、明治への転換期にあたります。初代の桑山政太郎は酒屋業で身を立てたのち、津島街道の宿場町であり、木曽三川の水運で栄えた港町でもあった津島の一角で、かつて家業として行われていた酒造りを再興しました。この地は現在の愛知県津島市にあたります。再興当初は親族が提灯づくりを営んでいたことから「提灯屋酒造」と呼ばれていましたが、のちに「末永く珍重される酒でありたい」との願いを込めて「長珍」の名を掲げるようになりました。

蔵に残る大正時代の賞状には、大正9年には「白玉」、大正10年には「長珍」の銘柄名が記されており、この頃にはすでに酒造りで高い評価を受けていたことがうかがえます。

歴史のなかでは、鑑評会で数々の賞を戴いた功績が認められ、天皇陛下が名古屋離宮にご台覧の折には、愛知県を代表して酒を献上する栄誉を賜ったこともあります。初代から受け継がれてきたのは「量より質」を追求する姿勢で、蔵には江戸時代の面影を残す木造建築や、約200年前に建てられた「江戸蔵」が今も現存し、昭和初期に築かれた蔵で仕込みが続けられています。

5代目の桑山雅行さんは1964年生まれで、東京農業大学の醸造学科を卒業したのち白鶴酒造に入社し、1992年に家業を継ぎました。継いだ当初は蔵にいた杜氏のもとで酒造りに取り組んでいましたが、3年ほどで杜氏が高齢のため引退し、鑑評会向けの吟醸酒づくりを雅行さん自身が担うことになります。試行錯誤の末に仕上げた酒は名古屋国税局の鑑評会で首席を、全国新酒鑑評会でも金賞を受賞して周囲を驚かせ、以後も全国新酒鑑評会で金賞を重ねました。

しかし、県内外の鑑評会ですべて金賞を受賞した平成16年を最後に出品をやめ、人為的に蔵の個性を消して鑑評会向けに仕上げる酒造りに疑問を抱くようになります。以後は津島の水と気候風土を生かし、余計な濾過や割り水、火入れをせずに旨味を引き出す純米の無濾過生原酒へと舵を切りました。かつて尾張地方では、剣菱や月桂冠、白鶴といった大手蔵から仕込みを請け負い、熟成させてから酒を買い取ってもらう桶売り制度が多くの蔵の生計を支えており、長珍酒造もその一翼を担っていました。

しかし時代の変化とともに自社ブランドへの転換が進み、桶売りはコロナ禍を機に終焉を迎え、現在は少量で質を追求する酒造りへと軸足を移しています。

6代目にあたる桑山稜平さんは1994年生まれで、学生時代はファッションに関心を持ち、卒業後も酒造りとは縁のない仕事に就いていました。社会人を経て帰省した際、父・雅行さんが醸した酒の味わいに衝撃を受け、「この味を絶やしてはいけない」との思いから2020年に蔵に入りました。以来、父と二人三脚で酒造りに携わり、地元の山忠本家酒造や渡辺酒造、青木酒造、水谷酒造、鶴見酒造とともに開く「津島・愛西酒蔵まつり」をはじめ、地域の酒造りを盛り上げる催しにも力を注いでいます。

酒造りの特徴

長珍酒造の酒造りは「食中酒として楽しめる酒」「熟成してうまい酒」「燗にしてうまい酒」の3つを柱としています。基本に忠実であることを重んじ、「一に麹、二に酛、三に造り」の考え方に沿って手作業での仕込みを続けています。蒸米には今も大きな和釜を用い、炉に粘土を塗って密閉性を高める昔ながらの方法を守っており、外は硬く中は柔らかい理想的な蒸し上がりを目指しています。仕込み水には蔵内の井戸から汲み上げる木曽三川の伏流水を用いており、この水が地下の貝殻層を通ることでミネラル分を多く含みます。

ミネラル分の多い水は酵母を活発にし、力強い「男酒」の酒質を生み出しています。冬に伊吹山から吹き下ろす「伊吹おろし」もまた、蒸米づくりに適した環境を整えています。

6代目の桑山稜平さんが特に大切にしているのは麹造りです。蒸し上げた米を麹室に運んで35度まで冷ましてから種切りを行い、一粒一粒に麹菌をまぶしていきます。麹室は二重扉の内側の壁や天井、床に60センチほどのもみ殻を敷き詰めて外気を遮断する昔ながらの断熱構造で、温度は1度単位で、湿度は加湿器で管理しながら、朝から晩まで1時間おきに様子を見守っています。

仕込みに使うタンクは、口が大きく酸素を多く取り込み野性的で芯の強い酒に仕上がる開放タンクと、穏やかで品のある酒に仕上がる密閉タンクを使い分けています。同じ米、同じ酵母を使ってもタンクごとに味わいが変わるため、あえて混ぜ合わせず、タンクごとに個別に瓶詰めしています。生酒はポンプを使わずタンクから直接チューブで一本一本手詰めし、火入れ酒は65度の湯でゆっくりと温め、あえて空気に触れさせることで味をまろやかにしています。

原料米には山田錦、雄町、五百万石、八反錦、阿波山田錦などを用途に応じて使い分け、酵母は9号を中心に7号も併用し、ラベルにも酵母と精米歩合を明記しています。長珍酒造は、純米酒への転換を志す蔵が集まる「全量純米蔵を目指す会」に加盟しており、実際のラインナップも純米酒だけで揃えています。

看板の「しんぶんしシリーズ」は、日本酒の大敵である光と衝撃から守るために新聞紙で包んで出荷する無濾過生原酒で、開栓後に瓶内の空気に触れるほど味わいがまとまっていく変化も楽しめるように仕立てられています。一方、愛知県常滑産の酒米「夢吟香」を使う「特別純米酒GOLD」は、搾ったのちに貯蔵タンクでじっくりと自然熟成させてから出荷する火入れ酒で、熟した旨味とまろやかさを備えた食中酒に仕上げられています。

代表銘柄

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長玲 禄

純米大吟醸で、長珍のフラッグシップとして位置づけられる銘柄です。天からの贈り物を意味する「天の美禄」という言葉にちなんで名付けられました。兵庫県産の山田錦を40%まで磨き込み、厳寒期に低温でじっくりと発酵させています。1年以上にわたり低温で貯蔵してから出荷され、上品な香りとやわらかな口当たりに仕上がっています。無濾過のまま生詰めで届けられ、冷やでも燗でも味わいの変化を楽しめます。

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長珍

長珍酒造の看板となる銘柄で、料理と合わせて楽しめる酒を目指し、どんな料理に合わせたいかというところから酒質を逆算して組み立てています。熟成に耐える骨格のしっかりした味わいが基本で、同じ米、同じ酵母で仕込んでもタンクごとに生まれる個性をあえて均さず、それぞれ個別に瓶詰めしているのが特徴です。新聞紙で包んだ無濾過生原酒や、じっくり熟成させた火入れ酒などラインナップは幅広く、冷やから燗まで料理と合わせて楽しめる食中酒です。

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見学・購入

蔵見学
なし
補足
個人向けの蔵見学や蔵元からの直売は行っておらず、家族経営のため、全国各地の特約店(地酒専門店)約30店舗を通じて出荷されています。

見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。

蔵の基本情報

所在地
愛知県津島市本町3-62
創業
1868年
公式サイト
nihonshu.exblog.jp

出典

sakenomy.jp / sake-times.com / japansake.or.jp / oishiisake.jp / zenryojunmaikura.jp / press.ne.jp / yohkoyama.com / sakeroman.com / saketomo.tv-aichi.co.jp / diamond.jp / note.com / gotoyasake.com / ameblo.jp / sakenowa.com / nihonshu.exblog.jp

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