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香住鶴

代表銘柄:香住鶴

兵庫県

HYOGO

1725年創業

香住鶴の建物
香住鶴の建物(2004年撮影)「Kasumitsuru Co.Ltd. 2004.jpg」 — 写真:香住鶴 株式会社 加藤 / CC BY-SA 4.0縮小・WebP変換

兵庫県美方郡香美町香住区に蔵を構える香住鶴株式会社は、1725年(享保10年)に創業した歴史ある酒蔵です。

酒造りの最大の特徴は、手間と時間を要する伝統技法「生酛(きもと)造り」と「山廃仕込」にこだわり、全量をこの手法で醸造している全国的にも珍しい酒蔵である点です。兵庫県産の酒米と矢田川の伏流水を用い、松葉ガニをはじめとする魚介類や但馬牛など地元の豊かな食材に良く合う地酒を醸しています。しっかりとした旨味、爽やかな香り、切れのある喉ごしを兼ね備えた味わいが特徴です。

国内外のコンテストでの評価も高く、全国燗酒コンテストの最高金賞やワイングラスでおいしい日本酒アワード金賞、インターナショナル・ワイン・チャレンジ(IWC)金賞をはじめ、2024年にはフランスの日本酒コンクール「KURA MASTER」クラシック酛部門でプラチナ賞を受賞しています。

香住鶴の歩み

香住鶴は、享保10年(1725年)に創業した但馬の酒蔵です。発祥の地は現在の香住区森にあたる地で、近くの大乗寺には江戸時代後期の画家・円山応挙とその一門が手がけた襖絵165点が残り、そのすべてが国の重要文化財に指定されています。蔵では、香住鶴の酒は京から遠く離れた土地で絵筆を執った応挙と門下生たちの心を慰めた酒だと伝えています。

昭和20年(1945年)12月には近隣の酒造家3者が合併し、規模の大きかった福本酒造場の福本精三が代表取締役に就きました。戦後の復興期以降は大手ブランドを好む風潮が強まり、販売に苦しい時期もありましたが、品質を重んじる経営方針を続けて強めました。

転機は昭和42年(1967年)ごろです。八代目の福本幹夫が、杜氏の石津六郎(昭和55年度「現代の名工」受賞)とともに山廃酛の復活に踏み切りました。「旨みがあり、まろやかで喉越しが良く、料理を引き立てる酒を造りたい」という思いからの決断でした。同業の蔵元からは「まだ山廃をやっているのか」と驚かれましたが、香住鶴は特級・一級・二級のすべての酒を山廃酛で仕込みました。この取り組みは昭和50年代に入って高く評価され、地元の但馬では「香住鶴の二級酒が一番うまい」と言われるまでになり、販売数量も伸びていきました。

平成11年(1999年)には九代目の福本芳夫が生酛造りに舵を切りました。平成15年(2003年)10月には本社蔵を香住区小原へ移し、現在も同じ地で酒造りを続けています。平成23酒造年度(2011年)からは製造数量の100%を生酛系酒母、つまり生酛か山廃酛で造っています。2025年には創業300年を迎え、記念商品も発売しました。出荷は地元の但馬地区(兵庫県北部)が総出荷量の約6割を占め、米国や英国などへも輸出しています。

受賞も重ねています。全国新酒鑑評会では、平成14酒造年度以降に限っても平成15・16・20・23酒造年度の4回入賞し、金賞は平成16酒造年度です。大阪国税局の清酒鑑評会では燗酒用清酒の部で、平成29年度から令和7年度まで9年度続けて優秀賞に選ばれました。平成29年の第72回但馬杜氏自醸酒研究会で、蔵の発表によると普通酒の部の「山廃仕込 但馬の誇り」と純米酒の部の「山廃 吟醸純米」がともに最優等賞(兵庫県知事賞)を受けました。

全国燗酒コンテストでは2012年から2025年までに12回金賞以上を受け、2013年・2022年・2023年は最高金賞でした。海外ではインターナショナル・ワイン・チャレンジ(IWC)で2019年と2020年に金賞、2024年に普通酒の部でトロフィーを受け、Kura Masterのクラシック酛部門では2024年に「生酛 からくち」、2025年に「山廃 吟醸純米」、2026年に「RICH 山廃」がプラチナ賞を受賞しました。ワイングラスでおいしい日本酒アワードでは、2017年から2025年までに7回金賞を受賞しました。

平成21年には、ふるさと企業大賞の総務大臣賞と、但馬産業大賞の「キラリと世界へ輝く技術部門」も受けています。

酒造りの特徴

香住鶴の酒造りの中心は、乳酸菌の力を生かして酵母を育てる酒母づくりです。生酛と山廃酛はどちらも30日前後かけて乳酸菌の発酵で乳酸を生み、速醸酛の14日前後に比べて手間と時間がかかります。生酛は米と米麹をすり合わせる山卸の工程を行い、山廃酛は山卸を行わず水麹と荒櫂で酒母を育てます。蔵では、生酛系酒母ならではの重層的な味わいと、押し味と呼ぶ旨みが、さまざまな料理との相性の良さにつながると考えています。

原料米は、すべて兵庫県産の米を使います。主に使うのは山田錦、五百万石、兵庫北錦などの酒造好適米で、自社の田でも酒米を育てています。その田には、香住特産の松葉ガニと香住ガニの殻を再利用した有機肥料を入れています。レギュラー酒に使う醸造アルコールは、米を発酵させて蒸留した米アルコールです。

仕込み水は、兵庫県最高峰の氷ノ山を水源とし、矢田川とその支流の幸谷川の流域で地下50メートルから汲み上げる伏流水です。年間を通じて水温が約15度で安定した軟水で、酵母の働きを穏やかに引き出します。酵母は日本醸造協会のきょうかい701号、901号、1901号を主に使います。麹室は2つあり、造る酒の種類に合わせて麹を使い分けています。生酒などを除くすべての生酛・山廃の商品は、半年から1年以上寝かせて熟成させてから出荷します。

造り手は、日本四大杜氏の一つに数えられる但馬杜氏です。美方郡を中心とする兵庫県北部は但馬杜氏のふるさとで、冬の積雪が多く農業ができないことから、古くから酒造りへの出稼ぎが盛んでした。香住鶴では但馬流の生酛造りや山廃仕込みで、この地の伝統的な手法を受け継いでいます。

代表銘柄

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香住鶴

香住鶴を名乗る定番銘柄で、すべて生酛か山廃酛で仕込みます。甘口の「RICH 山廃」はIWC2024の普通酒の部でトロフィーを受け、「生もと からくち」は辛口好きに一番人気です。吟醸純米や純米大吟醸などの上位酒もそろい、松葉ガニをはじめとする魚介類や但馬牛によく合う、旨みと爽やかな香り、切れのある喉ごしの味わいが持ち味です。

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見学・購入

蔵見学
あり(要事前確認)
直売所
蔵に直売店「福智屋」があり、限定酒の購入と有料試飲ができます。有料試飲は状況により対応が異なるため、事前の問い合わせが必要です。営業時間は9時30分から16時30分、定休日は元日と臨時休業日です。
補足
酒蔵見学は5月から10月に実施し、事前予約が必要で有料です。10時と14時の2回、約30〜40分で、定員は各回10名、小学生以上が対象です。料金は500円で、20歳未満は無料です。11月から4月は見学を休止しています。予約は電話(0796-39-2910)かホームページのフォームで受け付けています。

見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。

蔵の基本情報

所在地
兵庫県美方郡香美町香住区小原600-2
創業
1725年
公式サイト
www.fukuchiya.co.jp

出典

storkcci.jp / kasumitsuru.jp / wikipedia.org / kitakinki.gr.jp / nta.go.jp / nrib.go.jp

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