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原田酒造

代表銘柄:生道井・衣が浦若水

愛知県

AICHI

1855年創業

原田酒造の建物
原田酒造の建物(2025年撮影)「Harada Shuzo 2025-08 ac.jpg」 — 写真:Asturio Cantabrio / CC BY-SA 4.0縮小・WebP変換

愛知県知多郡東浦町に位置する原田酒造合資会社は、安政2年(1855年)に原田徳右ヱ門によって創業されました。徳川家康の生母・於大の方の生誕地として知られる東浦の地で伝統の酒造りを守り続けています。代表銘柄「生道井(いくじい)」の名は、蔵の西方にある日本武尊(やまとたけるのみこと)ゆかりの井戸「生道井」から命名された創業時からの看板銘柄です。また、「衣が浦若水」は、蔵の近くにある湾「衣が浦(ころもがうら)」と愛知県産の酒造好適米「若水」に由来しています。

造りの特徴として、終始一貫した手造りを継承しており、現在も昔ながらの杉の甑(こしき)で酒米を蒸し、酒袋を積み重ねて絞る伝統技法「槽(ふね)搾り」を行っています。知多の豊かな伏流水と、愛知県産の契約栽培米(若水・夢吟香)や山田錦を用い、食文化に寄り添う地酒を醸しています。

原田酒造の歩み

原田酒造は、愛知県知多郡東浦町にある酒蔵です。創業は安政2年(1855年)で、原田徳右ヱ門が興しました。ペリーの黒船来航から2年後にあたり、江戸幕府の力が衰えて明治維新へ向かおうとしていた時代です。蔵のある東浦町は、南北に長い知多半島の付け根あたりに位置し、徳川家康公の生母である於大の方が生まれた地として知られます。於大の方は水野忠政の娘として、現在の東浦町にあった緒川城で誕生しました。

東浦町は東に衣が浦(ころもがうら)という湾を望む温暖な土地ですが、冬は伊吹おろしの影響で寒暖の差が大きく、酒造りに適した気候です。知多半島の中央部には小高い山が連なり、小さな河川が何本も流れていて、その伏流水が酒造りに欠かせない豊かな水をもたらしてきました。江戸時代の知多半島は、上方と江戸の中間にあたる海上交通の要所として栄え、江戸へ酒が送られる産地でもありました。

蔵のある東浦町生路(いくじ)は、昔は「生道」「伊久智」とも書かれた土地です。代表銘柄の「生道井(いくじい)」は、蔵の西方にある日本武尊ゆかりの井戸「生道井」にちなんで名づけられ、創業時から続く銘柄です。町に伝わる民話では、東国遠征の途中で渇きに苦しむ日本武尊の一行が通りかかった際、尊が苔むした大岩に弓のはずを突き立てると清水が湧き出したとされます。この泉は村人の飲み水や酒づくりの水として使われ、心の良くない人が汲もうとすると濁るという、神の井戸として大切にまつられました。

社名は、1957年の会社登記によって原田酒造合資会社となりました。1959年には伊勢湾台風で酒蔵が損壊し、現在地へ移転しています。現在の代表は原田晃宏で、杜氏は愛知県豊川市出身で越後杜氏に学んだ今泉克康です。「だから酒も人の手と心で造りたい」という考えのもと、昔ながらの手造りを守りながら、技術面では新しいことも取り入れる姿勢で酒造りに取り組んでいます。

名古屋国税局酒類鑑評会では、第53回から第72回までの間に、11回の鑑評会で延べ15点が優等賞に選ばれています。部門別では吟醸酒の部が2点、純米酒の部が7点、本醸造酒の部が5点、燗酒の部が1点です。銘柄は、吟醸酒の部が「卯の花」、純米酒の部が「生道井 生一本」「衣が浦若水」、本醸造酒の部が「生道井」、燗酒の部が「於大」です。愛知県酒造組合連合会主催の清酒きき酒研究会では、平成18年に吟醸の部で大吟醸「卯の花」が入賞し、平成19年には吟醸の部で県知事賞、本醸造の部で連合会長賞を受けています。

令和8年(2026年)4月の愛知県新酒品評会では、吟醸酒の部で「大吟醸 生道井」が県組合会長賞を受賞しました。令和元年(2019年)11月に名古屋市で開かれたG20愛知・名古屋外務大臣会合の外相夕食会では、「純米大吟醸 生道井 夢吟香」が採用されています。

酒造りの特徴

原田酒造の酒造りは、創業以来の味わいを守る「終始一貫した手造り」が柱です。米は昔ながらの杉の甑(こしき)で蒸し、醪(もろみ)は適切な温度管理のもとで成熟させます。甑は木製で、釜は和釜を使い、蔵人が甑の中に入って蒸米を掘り出すという、とても熱い作業を人の手で行っています。技術は越後杜氏流の伝統を受け継いでおり、麹やもろみの声を注意深く聴き、飲む人の喜ぶ顔を思い浮かべて仕込むことを杜氏は大切にしています。

搾りは「槽(ふね)搾り」で、酒袋を槽に積み上げていく昔ながらの方法です。槽は佐瀬式で、蔵の特徴にもなっています。辛口本醸造は、三日間かけてゆっくり搾ります。槽口からしたたる最初の部分を瓶詰めした特別純米酒の「あらばしり」は、瓶内二次発酵による強めの発泡感がある無濾過生原酒です。酒袋からしたたる雫を集めた純米吟醸の「吟雫」も、無濾過生酒として造られています。

原料米には、愛知県で開発された若水や夢吟香といった酒造好適米を使います。「衣が浦若水」や「於大」には、愛知県産の契約栽培米である若水を使い、「純米大吟醸 生道井 夢吟香」は、地元で契約栽培した夢吟香だけで醸します。大吟醸と純米大吟醸の「生道井」には山田錦を使い、精米歩合40%のものは小仕込みで低温発酵させ、50%の純米大吟醸は低温で熟成させます。仕込み水は、知多半島の河川の伏流水です。

酒造りは例年秋に始まります。2024年と2025年はいずれも10月下旬に造りを始め、11月下旬に初搾りを迎えました。吟醸造りは年明けからで、2025年は1月に山田錦40%の大吟醸の酛立てを行っています。商品は、冬のしぼりたて、秋のひやおろし、春夏秋の「生道井」季節限定酒と、季節ごとに変わります。「純米大吟醸 生道井 夢吟香」は、ワタリガニやエビ、ハマチなど知多名物の濃厚な味わいの海産物料理に合わせて楽しむのに適した酒です。

「純米吟醸 於大」は、於大の方をモチーフにした酒で、東浦町観光協会の推奨品でもあり、ぬる燗でふぐ鍋などと楽しむこともできます。

代表銘柄

生道井

創業時から続く代表銘柄で、名は蔵の西方にある日本武尊ゆかりの井戸「生道井」にちなみます。山田錦を精米歩合40%まで磨いた大吟醸と純米大吟醸は小仕込み・低温発酵で、50%の純米大吟醸もあります。愛知県の酒造好適米・夢吟香だけで醸す純米大吟醸、純米吟醸の季節限定、純米酒の生一本、本醸造、辛口のしぼりたてなど品揃えが幅広い銘柄です。

衣が浦若水

蔵から望む小さな湾「衣が浦」から名づけた銘柄で、愛知県の酒造好適米「若水」で醸します。純米吟醸(精米歩合60%)は穏やかな香りと米の旨みが特長です。特別純米酒は冷酒から燗酒まで楽しめるやや辛口で、新米のしぼりたて、秋のひやおろし、原酒と姿を変えます。名古屋国税局酒類鑑評会の純米酒の部では、平成25年度・26年度・28年度に優等賞に選ばれました。

見学・購入

直売所
取扱店(東海市・武豊町・東浦町・名古屋市・清須市・美浜町・大府市・豊川市の酒販店など)で購入できます。蔵への注文は電話、FAX、お問い合わせフォームで受け付けています。
補足
蔵内の見学は、春の新酒祭や冬の有料試飲会といった蔵の催しの際に用意され、希少な槽しぼりを見学できます。2026年の春の新酒祭は4月4日・5日の11時から15時で、見学は11時30分、13時、14時の回でした。試飲は一杯100円から500円です。アクセスはJR武豊線東浦駅から徒歩約15分で、東浦町運行バス「うらら」の生路口で降りればすぐです。車では東浦ICから約15分です。

見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。

蔵の基本情報

所在地
愛知県知多郡東浦町大字生路字坂下29
創業
1855年
公式サイト
www.ikujii.co.jp

出典

sakagura-press.com / sake-times.com / sakenomy.jp / ikujii.co.jp / syusendo-horiichi.co.jp / oishiisake.jp / nta.go.jp

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