安福又四郎商店
代表銘柄:大黒正宗
兵庫県
HYOGO
1751年創業
1751(宝暦元)年創業、兵庫県神戸市の灘五郷(御影郷)に位置する老舗酒蔵です。昭和の最盛期には2万石を造る準大手でしたが、1995年の阪神・淡路大震災により木造蔵が全壊する被害を受けました。震災後は手仕込みによる少量生産へと切り替え、2013年からは同じ御影郷の白鶴酒造の蔵(本店二号蔵工場)の設備を借り、自社の杜氏と蔵人が仕込んでいます。代表銘柄の「大黒正宗」は、飲食を豊かにするとされる「大黒天」にちなんで名付けられました。
酒造りでは、兵庫県産の「山田錦」や「兵庫夢錦」などの酒米と、灘の名水「宮水」を使用しています。米の旨味とキレの良さを兼ね備え、料理と引き立て合う“絶品の食中酒”を目指した酒質が特徴です。近年は「食を醸す」を掲げ、現代の食文化に合わせた銘柄開発やノンアルコール事業といった新たな展開にも取り組んでいます。受賞歴として、平成14酒造年度の全国新酒鑑評会で入賞を果たしています。
安福又四郎商店の歩み
安福又四郎商店は、1751年(宝暦元年)の創業です。初代の柴屋又四郎(後の安福)が灘目の地、現在の御影郷にあたる土地を切り開いて酒造業を始めました。江戸時代には灘の下り酒として水戸藩へ御用酒を納め、この取引は大正12年の関東大震災まで続きました。1912年(明治45年・大正元年)には、代表銘柄となる「大黒正宗」を商標登録しています。
1945年に株式会社安福又四郎商店を設立すると、機械造りを取り入れて2万石を造る準大手の規模に成長しました。しかし1995年の阪神・淡路大震災で、8棟あった木造蔵がすべて倒壊します。残ったのは1974年に建てられた鉄筋蔵「大黒蔵」の1棟だけでした。これを機に機械による量産体制を見直し、全量を手仕込みの少量生産へ切り替えて、吟醸酒以上の酒だけを造る体制をとりました。震災前は季節雇用を含めて60人ほどいたスタッフは、杜氏と蔵人の井上健一郎さん・美穂子さん夫妻の3人体制になりました。
2011年に杜氏が引退すると、醸造責任者は井上健一郎さんが引き継ぎました。その2年後の2013年、残っていた大黒蔵が老朽化のため取り壊されることになります。震災で企業としての体力が落ち、新しい蔵を建てて設備を一新することも難しく、一度は廃業を決意しました。そこへ、同じ御影郷の白鶴酒造から、蔵の設備を共同で使ってはどうかという提案がありました。
こうして安福又四郎商店は、2013年10月から白鶴酒造の本店二号蔵工場の設備を借りて酒造りを行っています。自社の蔵ではなく、白鶴酒造の工場で造る形です。税務上は、白鶴酒造で造られた酒を安福又四郎商店が買い取って販売する形式をとり、2022年時点では、井上夫妻は白鶴酒造へ出向するかたちで勤務していました。仕込みは井上夫妻が主導し、原料米の仕入れと酒造りは各社がそれぞれの方法で行っています。
御影に直営店舗「十一代目又四郎」を開き、2019年には直営オンラインショップも始めました。創業270周年の2021年には、神に捧げる日本酒「紅天女」、和牛のための日本酒「牛と鉄板」、季節を呑む日本酒「酒草子」などの新ブランドを続けて発売しています。2022年には水出し専用の玄米茶「88」でノンアルコール事業にも乗り出し、2023年からは「食を醸す」を掲げて日本酒とノンアルコールの両輪で食文化に貢献する方針です。
酒造りの特徴
大黒正宗の酒造りは、料理と引き立て合う食中酒を軸にしています。濃醇な旨口で、旨みがありながらキレのあるバランスを追求した酒質です。豊かな旨みを出すために米を磨きすぎず、後口のキレがよくなる灘の名水「宮水」を生かします。さらに瓶詰め後の低温熟成を基本設計に入れ、旨みを深めてまろやかに仕上げます。
原料米は、目指す酒質に応じて山田錦、その子孫にあたる兵庫夢錦、兵庫錦を使い分けています。基本の「大黒正宗 原酒」は兵庫県産の山田錦(特A地区)を精米歩合60%で用い、辛口でキレのよい酒です。仕込み水の宮水は、白鶴酒造の工場で造るようになった現在も、安福又四郎商店の井戸から汲み上げてタンクローリーで運び込んでいます。
ラインアップは、特別純米や純米吟醸、吟醸しぼりたて、吟醸なまざけ、純米大吟醸のほか、百種類の友禅千代紙で装飾したボトルの「千代紙」など多彩です。六甲山系の伏流水で割り水をして飲みやすい軽さに仕上げた商品もあります。全国新酒鑑評会では、平成14酒造年度に「大黒正宗」で入賞しています。2016年のインターナショナル・ワイン・チャレンジのSAKE部門では、「大黒正宗 純米原酒」と「大黒正宗 十二年古酒」が大会推奨酒(Commended)に選ばれました。メダルには至らなかった銘柄のうち、主催者が推奨する酒に当たります。
代表銘柄
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大黒正宗
代表銘柄の大黒正宗は、飲食を豊かにするといわれる大黒天にちなんだ名で、1912年に商標登録されました。濃醇な旨口でキレがあり、料理を引き立てる食中酒を目指しています。米を磨きすぎず、宮水を生かし、瓶詰め後に低温熟成させて旨みを深めるのが基本設計です。兵庫県産の山田錦や兵庫夢錦などを使い、平成14酒造年度の全国新酒鑑評会で入賞しました。
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- 蔵見学
- なし
- 直売所
- 直営店舗は神戸市東灘区御影塚町にあり、有料試飲と全銘柄の購入ができます。営業時間は10時から17時で、日曜日と水曜日が休みです。
- 補足
- 蔵見学は行っていません。酒造りは白鶴酒造の工場で行われており、直営店舗は酒蔵とは別の場所にあります。
見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。
蔵の基本情報
- 所在地
- 兵庫県神戸市東灘区御影塚町1-5-23
- 創業
- 1751年
- 公式サイト
- matashiro.jp
出典
japansake.or.jp / matashiro.jp / wikipedia.org / sake-times.com / pon.sh / prtimes.jp / jp.sake-times.com / nrib.go.jp
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