黄金井酒造
代表銘柄:盛升
神奈川県
KANAGAWA
1818年創業
文政元年(1818年)に創業した、神奈川県厚木市に蔵を構える造り酒屋。初代・黄金井伝四郎が世のためになる商売を志し、濁酒屋から始めた。屋号「升屋」の繁盛の願いに由来する代表銘柄「盛升(さかります)」をはじめ、地ビールや焼酎、クラフトジンなどを手掛けている。越後杜氏から受け継いだ技術を自社杜氏・蔵人が継承し酒造りを行っている。仕込み水には東丹沢山麓の伏流水(軟水)を使用しており、口当たりがまろやかでキレがよく、食中酒に好適な酒質が特長である。
近年では地場産米「はるみ」を使用した酒造りなど地域に根ざした試みも展開している。「大吟醸 盛升」が全国新酒鑑評会で5年連続金賞を受賞したほか、「純米大吟醸 盛升」がSAKE COMPETITION 2025の純米大吟醸部門でゴールド第1位を獲得するなど高い評価を得ている。
黄金井酒造の歩み
黄金井酒造は、江戸時代後期の文政元年(1818年)に、現在の厚木市七沢にあたる相模国の地で造り酒屋を始めました。初代の黄金井伝四郎は豆腐屋の子に生まれ、世のためになる商売をしたいとの思いから、小さな濁酒屋を開いたのが酒造りの出発点です。井戸を掘って地下水を汲み上げ、仕込み水にしました。その井戸は今も湧き続け、現在の醸造にも使われています。伝四郎の名は二代目と四代目が襲名し、三代目は弥太郎を名乗りました。
五代目の黄金井為造は、明治43年(1910年)に衆議院議員となり、実業家としても政治家としても酒類行政に力を尽くしました。木桶で貯蔵する間に生じる自然欠減にまで酒税がかかっていた時代に、その減免を政府に求め、大正7年(1918年)に清酒で査定石数の5%の控除が認められ、大正11年(1922年)には7%まで引き上げられました。昭和4年(1929年)には日本酒造組合中央会を設立して初代会長に就き、昭和9年(1934年)に亡くなるまで務めました。自家水力発電所の建設や、乳牛を輸入した酪農にも取り組みました。
六代目の黄金井英一は神奈川県酒造組合の会長を務め、昭和18年(1943年)の戦時の企業整備では、県内の造り酒屋を47場から22場に整理する役を担いました。この頃までの酒名は「小金井櫻」で、戦後になって主力の清酒名を「盛升」に改めました。七代目の黄金井一太の時代には、昭和50年代に酒粕を乾燥させて蒸留する焼酎づくりを始め、平成に入ってからは越後杜氏から自社の製造部へ移行して年間を通じた酒類製造を可能にしました。
1998年にはビール醸造所を新設して地ビール事業に参入し、ビールや発泡酒、米焼酎、梅酒などのリキュールの製造を広げています。
八代目の黄金井康巳社長は、神奈川県酒造組合の会長や日本酒造組合中央会の理事などを務め、神奈川県産日本酒の普及に取り組んできました。地ビール業界ではパイオニアとして全国地ビール醸造者協議会の会長を務め、現在は監査役の立場でクラフトビールの台頭に力を注いでいます。地元の素材を使ったクラフトジンや本みりん、ミード(蜂蜜酒)の製造を進め、平成31年(2019年)には宮ケ瀬ダムの監査廊内に蔵置場を設けて「ダム貯蔵酒」の製造も始めました。
コロナ禍では、醸造と蒸留の技術を生かして高濃度エタノールを製造し、社会貢献にも取り組んでいます。
全国新酒鑑評会では、平成14酒造年度以降に限っても17回入賞し、そのうち金賞は8回です。金賞は平成14酒造年度と平成15酒造年度、平成29酒造年度、そして令和2酒造年度から令和6酒造年度までの5年連続で、いずれも出品は「盛升」です。平成26酒造年度から令和7酒造年度までは12年連続で入賞しています。東京国税局酒類鑑評会(神奈川県は東京国税局の管内)でも、平成22年から令和7年までの16回のうち、平成24年と26年を除く14回で清酒の部門に受賞しました。
令和6年は吟醸部門、令和7年は純米吟醸、燗酒、純米燗酒の3部門で受賞しています。
酒造りの特徴
仕込み水は、蔵の井戸から汲み上げる地下水で、「水源の森百選」に選ばれた東丹沢の森から湧く伏流水です。軟水仕込みで、まろやかでキレのよい酒質が盛升の特徴だと専務取締役は語っており、神奈川県酒造組合の蔵元紹介もキレのよい食中酒の酒質を特長に挙げています。酒造りの担い手は、もともと越後(新潟)から招いた杜氏と蔵人でしたが、高齢化で担い手が減ったことから自社杜氏の養成を始め、平成14年秋の酒造りから地元の杜氏による酒造りに切り替えました。
切り替え1年目の平成14酒造年度の酒が全国新酒鑑評会で金賞を受け、翌年度も続けて金賞に選ばれています。令和6年度には醸造長の飯塚栄治さんが、神奈川県の卓越技能者(神奈川の名工)に選ばれ、県内の杜氏としては初めてだったと蔵は説明しています。
大吟醸は兵庫県産の山田錦を38%まで磨き、越後杜氏直伝の技で低温でゆっくり発酵させます。純米大吟醸も山田錦を38%まで磨いた酒です。純米吟醸は五百万石を60%、特別純米は60%まで精米しています。純米酒「伝四郎」は、初代にちなんで平成18年から厚木産の飯米「キヌヒカリ」で造り始めた酒で、現在は神奈川の推奨品種である厚木産の「はるみ」を原料米にしています。このほか、山廃純米、純米五年古酒、三年貴醸酒、スパークリング清酒「SHUSHUL」なども醸しています。
外部のコンテストでの受賞も重ねています。全国燗酒コンテストでは、2009年・2010年・2013年の前身大会(燗酒コンテスト)を含め、2009年から2026年までの10大会で金賞を受けました(2020年は2部門)。2015年のお値打ちぬる燗部門に始まり、2026年には特別純米が極上お値打ち熱燗部門で金賞を受けるなど、ぬる燗・熱燗・プレミアム燗酒と幅広い部門にわたります。
ワイングラスでおいしい日本酒アワードでは、純米大吟醸が2023年から2026年まで4年連続で金賞を受け、2026年には純米吟醸とスパークリング清酒「しゅしゅる」も金賞を受けました。SAKE COMPETITIONでは、2017年に発泡清酒がスパークリング部門でGOLD第2位に入っています。
地域との取り組みとして、厚木と伊勢原の仲間が酒米づくりから酒づくりまで取り組む「厚木・伊勢原酒米プロジェクト」の酒「旋 TSUMUJI」を、伊勢原産の五百万石100%で醸しています。清酒以外にも、粕取り焼酎「旗頭」、厚木産のはるみで造る米焼酎「弥太郎」、芋焼酎「黄金の露」、麦100%のクラフトビール「さがみビール」、クラフトジン、地元のもち米と自社の本格焼酎を使う純米本みりん「黄金の純米本みりん」、蜂蜜酒、どぶろくまで手がけています。
代表銘柄
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盛升
盛升(さかります)は黄金井酒造を代表する清酒です。創業の頃の屋号「升屋」に、ますます繁盛するようにとの願いを重ねた名で、戦前までの酒名「小金井櫻」から戦後に改められました。「盛升 純米大吟醸」は、SAKE COMPETITION 2025の純米大吟醸部門でGOLD第1位に選ばれています。大吟醸の「盛升」は、全国新酒鑑評会で令和2酒造年度から令和6酒造年度まで5年連続で金賞を受けました。
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- 蔵見学
- あり(要事前確認)
- 直売所
- 蔵元直営の酒蔵売店が蔵の敷地内(厚木市七沢769)にあります。営業は9時から16時30分まで、日曜定休で、土曜と祝日は営業します。試飲販売は行っていません。
- 補足
- 酒蔵見学は営業日に限り、約40分で、旧蔵と製造蔵(観覧室から)の見学、酒造ビデオの上映、試飲があります。会費は1,000円(税込、売店で使える500円クーポン付き)、参加は6名から20名で、1週間前までにメールか電話で予約が必要です。仕込みの繁忙期の11月から3月は、見学をお断りすることがあります。
見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。
蔵の基本情報
- 所在地
- 神奈川県厚木市七沢769
- 創業
- 1818年
出典
kanagawa-jizake.or.jp / koganeishuzou.com / sakagura-press.com / diamond.jp / atsugi-kankou.jp / ameblo.jp / nta.go.jp / nrib.go.jp / sakecompetition.com / finesakeawards.jp / kansake.jp / pref.kanagawa.jp / kotobank.jp
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