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金井酒造店

代表銘柄:白笹鼓

神奈川県

KANAGAWA

1868年創業

金井酒造店の入口
金井酒造店の入口(2023年撮影)「20230805-金井酒造店.jpg」 — 写真:umix68k / CC BY-SA 4.0縮小・WebP変換

金井酒造店は、明治元年(1868年)に創業した神奈川県秦野市唯一の酒蔵です。代表銘柄「白笹鼓」は、地元の関東三大稲荷「白笹稲荷神社」に参拝した四代目蔵元が、境内に鳴り響く鼓の音に感銘を受けて名付けたもので、同神社の奉納酒や地域の地酒として愛されてきました。

仕込み水には、名水百選の秦野盆地湧水群と同じ丹沢山系の伏流水を使用しています。四代目蔵元の時代に越後杜氏を起用して従来の酒造りを一新しました。ロングセラー原酒「笹の露」のほか、かつては酒に音楽を聴かせて醸す「音楽醸造」にも取り組んでいました。

近年は事業再生や伝統継承に向け、製造工程のデジタルトランスフォーメーション(DX)による温度管理の効率化や、環境に配慮したパッケージデザインの刷新など、伝統を守りながら革新的な取り組みを進めています。

金井酒造店の歩み

金井酒造店は、明治元年(1868年)に創業した神奈川県秦野市で唯一の酒蔵です。創業者の佐野リキは、酒造りの技術も知識もないところから蔵元として踏み出した女性で、当時としては珍しい女性蔵元でした。以来150年以上にわたり、丹沢山麓のこの町で酒造りが受け継がれてきました。

蔵はかつて、専売公社跡地の近くの元町にありました。当時は水道水で仕込んでいたものの、どうしても酒の味にクセが出てしまい、研究を重ねた末に原因が水にあると突き止めました。そこで昭和60年代に現在の堀山下へ移り、約150メートルの深さの井戸を掘って井戸水で仕込んだところ、クセはすんなりと取れ、酒の味も軽くなりました。

四代目蔵元の佐野秀郎の代には、従来の酒造りを一新するため、越後杜氏の木曽久平を起用しました。代表銘柄「白笹鼓」の名は、秀郎が秦野市今泉の白笹稲荷神社に参拝した際、境内に鳴り響く鼓の音に感銘を受け、商売繁盛と豊作を祈願して付けたものです。この神社は関東三大稲荷の一つに数えられ、蔵からは毎年、酒樽と御神酒が奉納されています。蔵では過去約40年にわたり、越後杜氏の内山正を招いて酒造りを行い、その技は神奈川県出身の米山和利に受け継がれました。

令和3年(2021年)7月15日に酒造部門を切り離して株式会社金井酒造店が設立され、同年10月には、DXで中小企業の再成長を支えるくじらキャピタルが吸収分割により酒造事業を取得しました。六代目当主の佐野博之が新会社の代表取締役社長に就き、杜氏を含む全従業員が転籍しています。業績の悪化にコロナ禍が重なった中での再建で、通販サイトの立ち上げやSNSの運用、商品と会社のリブランディングが進められました。令和4年2月にはロゴマークを刷新し、「白笹鼓」を中心とする定番商品16種(720ml)のパッケージを統一しています。

外箱や過剰包装を減らした手穴付きのパッケージを採り入れ、紙の使用量を抑えて環境に配慮しました。令和5年1月には、秦野で地域活性化に取り組むココハダLABが全株式の譲渡を受け、同年4月に代表の椎野祐介が代表取締役会長に就任しています。蔵のタンクの温度管理にもDXが取り入れられ、スマートフォンで見られるようになったため、職人が蔵に泊まり込んで見守る必要がなくなりました。

全国新酒鑑評会では、平成14酒造年度以降に限っても8回入賞しています。平成16酒造年度には「白笹鼓」で金賞を受け、入賞は平成17、19、20酒造年度と令和元、2、3、6酒造年度です。令和元酒造年度は決審が行われず、金賞が選ばれなかった年度でした。東京国税局酒類鑑評会では、平成24年に吟醸部門と燗審査部門、平成26年に燗審査部門で優等賞を受けています。平成28年には吟醸部門と燗酒部門、平成29年に燗酒部門と純米燗酒部門、平成30年に純米吟醸部門と燗酒部門で優等賞を受けています。

令和元年に純米燗酒部門、令和2年に燗酒部門と純米燗酒部門、令和3年に純米燗酒部門で優等賞を重ね、令和5年は、北海道産の酒造好適米「彗星」だけで造った純米吟醸が純米燗酒部門で優等賞を受け、その受賞酒を300本限定で発売しました。令和6年は純米吟醸部門と純米燗酒部門で優等賞を受け、純米燗酒部門では「黒笹 Classic 特別純米」が首席に選ばれました。令和7年は吟醸、純米吟醸、燗酒、純米燗酒の4部門すべてで優等賞に入っています。

このほか、令和4年の全国梅酒品評会の日本酒梅酒部門で「白笹鼓 ウメザケ」が銀賞、令和7年のKura Masterの純米酒(51〜65%)部門で「黒笹 Eden 純米吟醸」がプラチナ賞、令和8年のIWCのSAKE部門(純米吟醸)で「黒笹 Revive 純米吟醸」がブロンズ賞を受けました。

酒造りの特徴

仕込みには、蔵の奥の井戸から汲み上げる丹沢山系の伏流水(地下水)を使います。秦野は神奈川県で唯一の盆地で、山に降った雨が長い年月をかけて濾過され、盆地の地下に蓄えられます。秦野の湧水群は環境省の全国名水百選に選ばれており、蔵は大量の地下水を使うため、水質の管理にも気を配っています。酒造りは毎年11月初旬から始まり、およそ半年にわたって続きます。

工程では、麹菌を蒸米にふりかける作業を今も手作業で行っています。酒母づくりでは、酵母を増やすために15分に一度かき混ぜ、温度管理には温度制御機能の付いたサーマルタンクを使っています。酒母は半月ほどかけて育て、仕込んだ醪はおよそ20日ほどで成熟し、搾りに進みます。使う酒米は銘柄によって異なり、「白笹鼓」の大吟醸と純米大吟醸は山田錦を45%まで磨いて醸します。北海道産の酒造好適米「彗星」は、通常は他の酒造好適米とブレンドして使っています。

地元の米で造る取り組みとして、令和5年6月に秦野市の農業法人、株式会社大地とともに酒造好適米「五百万石」の田植えに挑みました。米も水も秦野産という「ミライザケ」で、令和6年に2種が発売されました。現行の2026年版は、「大地」が精米歩合55%、アルコール度数16度の純米吟醸原酒、「詩歌」が同じく精米歩合55%、14度の純米吟醸です。どちらも減農薬の特別栽培米を使い、「詩歌」の名は、秦野出身の歌人、前田夕暮が主宰した歌誌に由来します。

銘柄の幅も広がっています。令和6年5月には「白笹鼓」のネクストブランドとして「黒笹」の Eden と Revive が発売され、のちに Classic が加わりました。黄麹と白麹を併用した12度の「碧笹」は白ワインのような軽やかな味わいで、古代米を使った「緋笹」はロゼワインのような味わいです。丹沢の塔ノ岳とヤビツ峠の名を冠し、それぞれのラベルにオオルリとヤマビルを描いた「ヤマザケ」や、秦野産の梅を日本酒に漬け込んだ「ウメザケ」、日本酒をベースにしたリキュール「クラッチュ」もあります。

かつては酒に音楽を聴かせて醸す音楽醸造にも取り組み、モーツァルトの名を冠したシリーズを造っていました。近年は県内や東京に加え、上海、台湾、オーストラリアにも販路を広げ、中国・上海の展示会「和酒峰会」にも出展しています。

代表銘柄

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白笹鼓

白笹鼓は、金井酒造店の代表銘柄です。名は、秦野市の白笹稲荷神社の境内に響く鼓の音に由来し、神社には毎年、酒樽と御神酒が奉納されています。大吟醸は山田錦を45%まで磨いた15度、原酒「笹の露」は精米歩合65%、18度の辛口で、青竹かライムのような香りがあり、30年来のロングセラーです。平成16酒造年度の全国新酒鑑評会では金賞を受けました。

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見学・購入

蔵見学
あり(要事前確認)
直売所
蔵元の売店で商品を販売しています。営業時間は月曜から土曜と祝日の10時から16時で、日曜は不定休です。オンラインで注文した商品を売店で受け取ることもできます。
補足
蔵見学は事前予約制の有料で、所要約60分のコースと、杜氏を務めた米山が案内する約90分のコースがあります。見学後には主要銘柄や季節酒5〜6種類の試飲があり、小学生以下の見学はできません。小田急線の秦野駅からバスで約20分、渋沢駅からバスで約10分、車では東名秦野中井ICから約15分です。

見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。

蔵の基本情報

所在地
神奈川県秦野市堀山下182-1
創業
1868年
公式サイト
www.kaneishuzo.co.jp

出典

kanagawa-jizake.or.jp / japansake.or.jp / saketime.jp / omotan-hadano.jp / kaneishuzo.co.jp / sakagura-press.com / pref.kanagawa.jp / prtimes.jp / nta.go.jp / nrib.go.jp / kuramaster.com / townnews.co.jp / note.com

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