SAKE BREWERY — KANAGAWA
吉川醸造
紹介
吉川醸造は1912年(大正元年)創業、神奈川県伊勢原市に蔵を構える酒造会社です。地元で長く愛されてきた伝統銘柄「菊勇」や酒販店オリジナル銘柄「ながつた宿」のほか、2020年にシマダグループ傘下となって以降、2021年には新たなブランド「雨降(あふり)」を立ち上げました。
造りの最大の特徴は、霊峰・丹沢大山(雨降山)の伏流水である、国内の酒造りでは稀有な硬度150〜160の硬水を仕込み水に使用している点です。醸造学者である故・杉山晋朔博士の理念に基づいた伝統的な手造りを継承しながら、精米歩合90%の低精米酒や生酛仕込み、室町時代発祥の技法である水酛(菩提酛)仕込み、黒麹の使用など、既存の枠にとらわれない洗練された酒造りに挑んでいます。
伝統と革新を融合させた取り組みは高く評価されており、フランスの日本酒コンクール「Kura Master」でのプラチナ賞受賞をはじめ、国内外で数々の賞を獲得しています。
歴史
吉川醸造は神奈川県伊勢原市神戸に蔵を構える酒造会社です。蔵の周辺はかつて葉タバコの産地で、吉川家はもともと葉タバコの製造・販売を手掛けていましたが、たばこが国の専売事業となったことを機に、近くにあった酒蔵を買い取って酒造業に転じました。1912年(大正元年)の創業当初は、日本酒に加えて味噌や醤油の醸造も行っていたといいます。
戦後の昭和30年代から40年代にかけては積極的な設備投資が行われ、最盛期には最多17人の越後杜氏が蔵入りするほどの規模になりました。しかし日本酒の消費量は1975年をピークに減少へ転じ、吉川醸造の生産量も最盛期の3分の1程度まで縮小します。2010年には6代目となる吉川勝之氏が経営を引き継ぎましたが、厳しい経営環境が続きました。
転機となったのは2020年です。新型コロナウイルスの影響で蔵からの出荷が完全に止まり、酒造りの継続自体が危ぶまれる中、不動産・ホテル・介護・飲食など幅広い事業を手掛けるシマダグループ(S.H.ホールディングス株式会社)が事業譲渡を申し出て、同年10月に吉川醸造の全株式を取得しました。合頭義理氏が代表取締役に、二宮慎介氏が常務にそれぞれ就任し、新体制がスタートしています。
新経営陣は、蔵に一人で通い続けていた杜氏・水野雅則氏に「オーナーが代わったのだから、心機一転、好きなように酒造りをしてほしい」と伝え、自由な酒造りを後押ししました。折しも試飲を重ねる中で感銘を受けた群馬県・土田酒造の低精白純米酒に触発され、2021年春、精米歩合90%の低精白酒を看板とする新ブランド「雨降(あふり)」を立ち上げます。2021年に入社した井内智章氏が2023年度から醸造・蒸留責任者となり、水酛仕込みや酵母無添加、黒麹、花酵母といった挑戦的な製法を次々と導入し、わずか数年で蔵のイメージを一新しました。
酒造り
仕込み水には、敷地内の3本の井戸から汲み上げる丹沢大山(古名・雨降山)の伏流水を使用しています。硬度150〜160という国内では希少な硬水で、山頂に降った雨が長い年月をかけて地中を濾過されたものです。日本の伝統的な審査会では苦味や渋味、酸味が減点対象とされてきましたが、近年はこの硬水由来の個性が海外で高いミネラリティを持つ酒として評価されています。醸造学者・故杉山晋朔博士が唱えた「時代が変わっても、酒の造りは変わらない。手造りの醸造法を極めよ」という理念も受け継がれています。
杜氏は2012年に第七代として就任した水野雅則氏で、吟醸系・純米系の繊細で芳醇な酒造りを得意とします。2023年度からは醸造・蒸留責任者として井内智章氏が加わり、それぞれが担当を分けながら酒質を追求しています。米は山田錦や兵庫県産愛山、雄町のほか、古代米や伊勢原産の食用米「はるみ」、コシヒカリ・ササニシキなどの食用米も使用し、精米歩合90%前後の低精白純米酒に力を入れています。室町時代の技法である水酛(菩提酛)仕込みや生酛仕込み、黒麹・花酵母の使用など、既存の枠にとらわれない醸造に取り組んでいます。
蔵データ
代表銘柄
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- ながつた宿
菊勇:創業以来の看板銘柄で、地元を中心に流通する食中酒です。近年はコシヒカリ・ササニシキなど食用米のミックス米を生酛で仕込み、低温長期発酵させた「辛口純米酒」を発表し、Kura Master 2025の純米酒(66〜100%)部門で1位となる審査員賞を受賞しました。伝統銘柄でありながら新しい技法への挑戦を続けています。
雨降:2020年のシマダグループ入りを経て、2021年春に立ち上げた新ブランドです。精米歩合90%の低精白純米酒を看板に、水酛仕込みや生酛、黒麹など多彩な製法で個性的な酒質を追求しています。2021年のフェミナリーズ世界ワインコンクールでの金賞・銀賞をはじめ、Kura Masterでのプラチナ賞、IWCでの金賞など国内外の品評会で高く評価されています。
見学・購入
なし
蔵に売店を併設しており、月曜日から土曜日の9:00〜12:00・13:00〜16:30に営業しています(日曜・祝日は休業)。
公式サイトに「蔵見学は行っておりません」と明記されています。
見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。
同じ神奈川県の酒蔵
出典
kanagawa-jizake.or.jp / sakenomy.jp / kikkawa-jozo.com / wikipedia.org / prtimes.jp / press.ne.jp / sakestreet.com / agnavi.co.jp / jimotto.jp / sake-ya.jp / shimadahouse.co.jp / ja.wikipedia.org / kanaloco.jp / townnews.co.jp
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