酒持田本店
代表銘柄:ヤマサン正宗
島根県
SHIMANE
1877年創業
島根県出雲市平田町の歴史的な街並みが残る「木綿街道」に位置する、1877年(明治10年)創業の老舗酒蔵です。酒造りの神様を祀る佐香神社のお膝元で、出雲杜氏の伝統技術を受け継ぎ、杜氏と蔵人による手作りの酒造りを守り続けています。
原料米には自家精米した島根県産米を使い、地元の湧き水を仕込み水に使用しています。麹造りはすべて手作業で行われ、普通酒に至るまで県産米を使用するなど丁寧な品質管理が特徴です。代表銘柄「ヤマサン正宗」のほか、長期熟成古酒「古滴」などの醸造も手掛けています。
全国新酒鑑評会で金賞を受賞した実績を持つほか、明治期の旧蔵などを含む5棟の建物が国の登録有形文化財に登録されています。伝統の技と文化財としての歴史的価値を今に伝える蔵元です。
酒持田本店の歩み
酒持田本店は、出雲市平田町の木綿街道沿いにある酒蔵です。明治10年(1877年)、持田家三代の栄太郎が興した「持田栄太郎商店」が造り酒屋の始まりです。町はずれには「酒造の大社」と呼ばれる佐香神社(出雲松尾神社)があり、「出雲国風土記」には佐香社として記されています。出雲大社の造営のとき、神々が集って180日に及ぶ酒宴を催したのはこの神社だと伝えられており、蔵はその御膝元で出雲杜氏の技を受け継いできました。毎年、神在月の13日に行われる例大祭には、出雲杜氏たちが集まります。
創業者は「広く一般に嗜好される酒」を目標に、理論と実験にもっとも適した方式を研究して取り入れました。長男の邦蔵(四代)を大蔵省直営の醸造研究所に学ばせて新式の速醸方式を導入し、醸造場には「出雲国酒造試験場」まで設けています。広島税務監督局(現在の広島国税局)から技師を、兵庫・灘から杜氏を招くという徹底ぶりでした。この建物は今も「検査場」と呼ばれ、杜氏の事務室や蔵人たちの居間、寝室として使われています。大正3年度の造石高は1572石(283キロリットル)に上り、山陰地方でもトップクラスの醸造量でした。
昭和11年には株式会社になっています。
戦争と統制、蔵人不足で醸造量は一時170石(31キロリットル)まで落ち、清酒「天泉」や「三養味醂」はこの時代に姿を消しました。昭和26年には五代の精蔵が赤レンガ造りの煙突を建て、「ヤマサン正宗」の商標を掲げるシンボルとしました。夜間にはライトアップされ、地元のシンボルとして親しまれましたが、老朽化のため平成19年(2007年)に取り壊されました。高度経済成長期には年間販売量が3000石(540キロリットル)に達しましたが、その後は競争の激しい時代が長く続きます。
1900年頃に島根県内に300軒あった造り酒屋は、この100年で10分の1にまで減りました。
昭和60年代、六代の正臣は一級・二級という級別制度の廃止を見すえて、吟醸酒や純米酒などの特定名称酒に力を注ぎます。大吟醸酒や吟醸酒のほか、低アルコールの純米吟醸「ゆめ式部」、純米酒「クールウィン」を開発しました。実験的な酒造りはその後も続いており、1998年には地元有志が手造りする「濃酒井(こざかい)」、2004年には女性蔵人が開発した「萌 純米生原酒」、2007年には斐川町の古代米生産農家と造る「出雲神庭」、2009年にはコイン精米による「精米90% 純米生原酒」が生まれました。
2014年には山廃仕込みの純米酒を復刻し、2017年に「かみしお」、2018年に「比賣神乃雫」、2020年に低アルコールの「うさぎ雲」と、新しい酒を送り出しています。2012年と2019年には、日本酒仕込みの梅酒と出雲柿酒も加わりました。「濃酒井」は、平成10年春に8名で発足した「日本酒造りを楽しむ会」が、田植えから仕込み、瓶詰め、ラベル貼りまで手作業で造る酒です。
母屋や酒蔵、検査場など5棟は、2017年に国の登録有形文化財になりました。店舗兼主屋、旧蔵、検査場、向座敷、土蔵の5棟で、明治10年に建てられた旧蔵は今も熟成蔵として使われています。蔵の発表では、全国新酒鑑評会の金賞は昭和63・平成4・5・7・8・12酒造年度の計6回です。平成8酒造年度以降に限ると、金賞は平成8酒造年度と平成12酒造年度の2回、入賞は平成9・13・14・15・23酒造年度の5回です。
広島国税局の清酒鑑評会では、平成14年の新酒鑑評会、平成17年と平成19年の純米酒の部、平成18年の吟醸酒の部で、いずれも優等賞を受賞しています。
酒造りの特徴
原料米は、吟醸酒はもちろん上撰などの普通酒にいたるまで、すべて島根県産米です。島根県産の山田錦、佐香錦、五百万石や飯米を蔵で精米しています。仕込み水は地元の湧き水で、軟水寄りのため酒質は柔らかく、米の旨みと甘みが感じられるふくよかな飲み心地になります。麹はすべて手造りで、蔵人は仕込みの約半年間、蔵に泊まり込み、夜も醪の様子を気にしながら過ごします。
2018年時点では、酒を醸すのは季節雇用の出雲杜氏で、酒造りの時期以外は農業をしていました。米のプロフェッショナルである農家が、その年の米の出来や特性を知り尽くしたうえで蔵に来てくれるのは頼もしい、と蔵元の持田祐輔氏は話します。蔵では、年の最初の新酒を搾った日に杜氏が山から青竹を切ってきて、軒先の瓦に立てかけます。杉玉の代わりに竹を立てるのは、この蔵ならではの風物詩です。麹室、酒母室、洗米所など7か所の作業場には神棚が祀られており、佐香神社にもっとも近い蔵らしい光景です。
2018年時点の仕込みは、多くが速醸で、一部が山廃でした。山廃仕込みの純米酒は五百万石を70%まで磨き、槽で搾って火入れをし、築140年余りの蔵内でじっくり寝かせます。辛口弁慶の本醸造は低温発酵でじわりと醪を育て、日本酒度+9.0の辛口に仕上げています。低アルコールの「うさぎ雲」は出雲杜氏の約25年の研究を経て生まれ、アルコール度数は12度です。2025年時点では、手造りで約30種の日本酒を醸造しています。
長期熟成の古酒「古滴」は、純米大吟醸を寝かせた古酒・秘蔵酒です。山田錦で造った純米大吟醸を原酒のまま、夏でも涼しい築150年の蔵でじっくり熟成させます。精米歩合は50%、アルコール度数は17度、日本酒度は+3.0です。2009年ごろには、若いもので2年、古いものでは12年ものまで揃えていました。2018年には、佐香錦の純米吟醸を原酒のまま5年寝かせた古滴もありました。
代表銘柄
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ヤマサン正宗
蔵は「サン」に「三方よし」の意味を込めており、飲み手、酒を生業とする売り手、米を作る農家の三者にとってよい酒であるよう心がけてきました。屋号の「三分市屋」に由来するとも言われます。吟醸酒から普通酒まで、すべて島根県産米で造ります。五百万石の特別純米酒「誘一献」、山廃仕込みの純米酒、精米90%の純米生原酒、長期熟成の「古滴」など、品揃えは幅広くなっています。
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- 蔵見学
- あり(要事前確認)
- 直売所
- 蔵で販売しています。営業時間は平日が8:30から18:00、土日・祝日が9:30から18:00です。
- 補足
- 蔵見学のみ予約が必要で、日程や時間帯は相談に応じています。最寄りは一畑電車北松江線の雲州平田駅で、木綿街道沿いの蔵まで徒歩15分ほどです。駐車場が満車の場合は電話で相談できます。
見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。
蔵の基本情報
- 所在地
- 島根県出雲市平田町785
- 創業
- 1877年
- 公式サイト
- www.sakemochida.jp
出典
kurashimanet.jp / na-na.media / sakemochida.jp / japansake.or.jp / na-s-da.net / sakenomy.jp / sanin-navi.jp / shimane-sake.or.jp / momen-kaidou.jp / compalyze.co.jp / sanin.jp / nrib.go.jp / nta.go.jp / izumo-kankou.gr.jp / kankou-shimane.com / gourmet.watch.impress.co.jp
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