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國暉酒造

代表銘柄:國暉

島根県

SHIMANE

1874年創業

國暉酒造の建物
國暉酒造の建物(2022年撮影)「Kokki Brewery ac.jpg」 — 写真:Asturio Cantabrio / CC BY-SA 4.0縮小・WebP変換

明治7年(1874年)に創業した、島根県松江市の宍道湖畔に位置する老舗酒蔵です。仕込蔵は松江藩主松平家から譲り受けた土蔵を移築・改造したもので、店舗は江戸時代末期の町屋の風情を残しています。

出雲杜氏伝承の技法を継承し、昔ながらの甑や麹蓋などを用いた伝統的な手造りの酒造りを貫いてきました。原料米には島根県産の酒造好適米を厳選し、仕込水には枕木山麓から湧き出る水を使用。丁寧な手作業にこだわり、全国新酒鑑評会では昭和60年から平成19年までに12回の金賞を受賞しました。

また、2021年に西陣織のラベルの「帯ラベルシリーズ」を発売し、出雲神話に登場する「八塩折(やしおり)の酒」を独自の手法で再現するなど、伝統を守りながら新たな酒造りにも挑戦してきました。2025年3月、代表の逝去に伴い帯ラベルシリーズを終売とし、お問い合わせ対応と酒蔵見学を休止しています。

國暉酒造の歩み

國暉酒造は、城下町松江の宍道湖畔、茶町と呼ばれる商人の町の一角にあります。現在の東茶町にあたるこの地で、岩橋家は江戸時代に廻船問屋や藍染業、水産業など幅広い商いを営み、松江藩から名字帯刀を許されていました。明治7年(1874年)に酒造業を創業し、松江藩の土蔵を譲り受けて仕込蔵としました。江戸時代末期の町屋の面影を残す主屋は、文化5年(1808年)の大火の後に建てられたと伝わります。主屋と仕込蔵は、平成30年(2018年)に松江市登録歴史的建造物の第8号に登録されました。

戦時中、食料米の不足から原料米に統制がかかり、酒蔵は減産を迫られました。当主の岩橋清次郎は、休業に応じる蔵を募る説得や調整の役を務め、最後に自らも休業しました。戦後は同様に休業した蔵に呼びかけて復興運動を進め、島根県に復活期成同盟会を設立します。この動きは全国に広がって全国酒類酒造復活同盟会となり、途中からは全国本部の事務局が國暉酒造に置かれました。

交渉の末、複数の醸造家が集まって法人として1か所で造るなら認められることになり、國暉酒造には11の業者が集まって、昭和22年(1947年)に松江酒造有限会社を設立して酒造りを再開しました。昭和31年に社名を國暉酒造有限会社に改めています。

品質管理にも早くから力を入れ、山陰で初めて琺瑯タンクを導入しました。昭和37年(1962年)には、タンクごとに温度を管理する黎明式冷房を全国で2番目に取り入れています。全国新酒鑑評会では、昭和60年、平成元年、3年、4年、5年、8年、9年、11年、12年、13年、16年、19年に金賞を受賞しました。このうち平成3年から5年と、平成11年から13年は、それぞれ3年続けての金賞です。金賞のほか、平成15年、17年、29年には入賞しています。

蔵の集計では、過去20か年の金賞受賞率は全国第15位で、最も多い10か年の金賞受賞率では全国第3位です。広島国税局清酒鑑評会では、平成14年に入賞し、平成16年には純米酒の部で入賞し、平成18年には吟醸酒・純米酒・本醸造酒の3部門で入賞しました。平成19年には吟醸酒の部と純米酒の部で、平成21年には吟醸酒の部で優等賞を受けています。

平成の後半には酒造りの幅が広がります。平成9年には米作りからの酒造りを始め、江戸時代の建物を生かした直売店も開きました。平成13年に江戸時代の酒造りを再現し、平成16年には出雲神話の酒「八塩折の酒」の再現に成功しています。平成18年からは岩橋弘樹社長が前杜氏の技を受け継いで蔵元杜氏となり、平成22年に会社を國暉酒造株式会社としました。前々杜氏の森井彰一は50年、前杜氏の清水宣幸は51年にわたり、この蔵で酒造りに携わってきました。

令和3年(2021年)には、京都の西陣織の技術を生かしたラベルの「帯ラベルシリーズ」を発売し、ラベルは織元と協議を重ねて作りました。令和5年には、BEIGEがフランスのKura Master 2023の純米大吟醸酒部門で、ノミネートした商品の約1割しか受賞できないプラチナ賞を受賞し、ファイナリストにも選ばれました。同じ年、BLACKもイタリアのミラノ酒チャレンジ2023でダブルゴールドとベストデザイン賞を受賞しています。

翌令和6年(2024年)には、BEIGEがワイングラスでおいしい日本酒アワードのメイン部門で金賞を受賞しました。一方で、令和7年(2025年)3月には代表の岩橋弘樹社長の逝去に伴い、帯ラベルシリーズが同月をもって終売となり、お問い合わせへの対応と酒蔵見学も休止されています。

酒造りの特徴

原料米には島根県産の酒造好適米を使い、麹や蒸し、枯らしの具合を見ながら、洗米の時間を秒単位で調整してきました。平成10年からは、環境に適した循環型農業をめざして、独自の田植えによる特別栽培米にも取り組んでいます。仕込水は、蔵から車で1時間ほどの枕木山の麓に湧く山水で、自然のミネラルがバランスよく含まれ、きれいでバランスの良い旨味のある酒に仕上がります。

酒造りは出雲杜氏に伝わる技法を用い、昔ながらの甑、麹蓋、麹箱、酒槽などを使った手造りで続けてきました。使う酵母はほとんどが島根K1酵母でしたが、培養酵母が働くのは速醸法でも6割ほどで、残る4割は蔵に住みついた酵母が働くという研究資料があります。酒母室と仕込蔵は、蔵付きの微生物の恩恵を受けやすい独特の構造になっています。発酵中のタンクは、柿渋を塗った黒い木箱で囲み、中に冷気を巡らせて温度を調えます。この木箱の手入れも、従業員が自ら行ってきました。

味わいは、日本酒本来の旨味を生かしつつ、重たく感じないよう辛口でまろやかに仕上げる方針でした。活性炭素の使用は極力抑え、商品によってはまったく使わない方針でした。以前は生酒のとき、貯蔵時、出荷時に使っていましたが、近年は出荷時にバランスを整える必要があると感じた商品にだけ、ごく少量を使ってきました。そのため、琥珀色を帯びた酒になります。造りはすべて小仕込みで、毎年1本は実験的な仕込みを行ってきました。

代表的な古代酒が「八塩折」です。古事記や日本書紀に登場する、スサノオノミコトがヤマタノオロチを退治する神話の酒を再現したもので、醸した酒で仕込んでは搾ることを、濃度調整をせずに何年もかけて繰り返します。蔵の八塩折には、再仕込の回数を調整した初級編の「赤」、蔵の仕込の歴史を刻み込んで再仕込を重ねた進化編の「黒」、独自のアプローチで再現した本格編の「紫」の3種類があり、2026年10月時点で公式の商品紹介に載っているのもこの3種類で、いずれも200mlです。カラメルのような香りと濃厚な味わいが特徴です。

代表銘柄

國暉

「暉」は、誰もに恵みを注ぐ太陽の輝きを表します。太陽の恵みは命や作物の恵みとなり、醸すことで人の心の輝きになるという考えから、お酒を通じて人々に笑顔を、という企業理念が酒名に込められています。令和3年(2021年)に、西陣織の着物の帯を思わせるラベルの帯ラベルシリーズを発売しましたが、代表の逝去に伴い、2025年3月をもって終売となりました。

見学・購入

蔵見学
なし
補足
2025年3月に、お問い合わせ対応を一時休止し、酒蔵見学も当面のあいだ中止すると告知されました。お急ぎの場合は、電話(0852-25-0123)での連絡が案内されています。アクセスは、JR松江駅から市営バスの島根大学・川津行きで7分、バス停京橋で下車して徒歩3分です。車の場合は、山陰道松江西ICから国道9号経由で5kmです。

見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。

蔵の基本情報

所在地
島根県松江市東茶町8
創業
1874年
公式サイト
www.kokki.jp

出典

compalyze.co.jp / na-na.media / shimane-f-buyers.jp / kokki.jp / sanin.jp / ameblo.jp / kokki.co.jp / city.matsue.lg.jp / kyodonewsprwire.jp / nrib.go.jp / nta.go.jp / bunshun.jp / ontrip.jal.co.jp / saketime.jp

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