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難波酒造

代表銘柄:和心・作州武蔵

岡山県

OKAYAMA

1889年創業

難波酒造の建物
難波酒造の建物(2017年撮影)「Nanba shuzou.jpg」 — 写真:KASEI / CC BY-SA 4.0縮小・WebP変換

難波酒造は1889(明治22)年に久米郡中北上(のちの久米町、現津山市)で創業し、大正期に親族から現在の酒蔵(美作国一宮「中山神社」の門前、現・津山市一宮)を譲り受けた酒蔵です。県下唯一の女性当主のもと、代々受け継がれた備中杜氏の技と手造りの伝統を守り続けています。仕込み水には中山神社境内を流れる宮川の伏流水を使用し、「最後の一粒まで全量岡山県産米」を合言葉に高精白で基本に忠実な酒造りを貫いています。主力銘柄の「作州武蔵」は剣豪・宮本武蔵にちなみ命名され、淡麗辛口の味わいを特徴とします。

2012年には全量岡山米に特化した限定流通ブランド「和心」を立ち上げました。過去には2012年の全国新酒鑑評会での金賞受賞をはじめ、岡山県清酒品評会純米酒部門での県知事賞(第1位、2012年・2015年)や雄町サミット歓評会での優等賞(2016年)など、多くの賞を獲得しています。

難波酒造の歩み

難波酒造は1889年(明治22年)、岡山県久米郡の中北上(現在の津山市にあたる地)で創業しました。創業当時の銘柄は「美寿穂」「鶴の井」「灘正宗」です。明治中期には朝鮮半島に進出して醸造を始め、この時、富を久しく迎えるという意味で、出雲大社の宮司から「富久迎(ふくむかえ)」と名付けられました。

大正期に、親族の土居氏から現在の酒蔵を譲り受け、美作国一宮である中山神社の門前に蔵を構えました。創業以来、蔵を3か所替え、総移動距離は約1,350キロに及びます。蔵のある中山神社の門前は、かつて酒屋や醤油屋が軒を連ねた名水地帯でした。

1997年(平成9年)に難波弘美さんが社長に就任し、女性当主の酒蔵となりました。蔵は県内で唯一の女性当主の酒蔵としています。2002年(平成14年)には勝山酒造から「作州武蔵」の営業権を譲り受け、以後、この銘柄を蔵の中心に据えています。2012年(平成24年)には、原料米をすべて岡山県産に限定し、同年11月には吟醸酒・純米酒などの特定名称酒に絞った新ブランド「和心」の出荷を始めています。

先代は晩年、品評会への出品を一切断っており、その後に急逝したこともあって、出品の経験は蔵に受け継がれていませんでした。そうしたなかでも、全国新酒鑑評会には平成22年(平成21酒造年度)に入賞しています。蔵が広島国税局の清酒鑑評会に記録に残る範囲で初めて出品したのは平成23年秋のことで、純米吟醸酒部門で「純米吟醸 作州武蔵」が優等賞に選ばれました。

全国新酒鑑評会の入賞は、平成22年・平成24年・平成26年の発表(平成21・23・25酒造年度)の3回で、平成24年発表の第100回(平成23酒造年度)は金賞です。広島国税局清酒鑑評会では、平成23年から25年まで3年連続で純米吟醸酒が優等賞となり、平成26年は香りを主とする部門の大吟醸酒と燗酒部門の純米酒の2点、平成30年は純米酒部門の純米酒で優等賞を受賞しました。

蔵の発表では、岡山県清酒品評会の純米酒部門で平成24年(出品55点中)と平成27年に第一位の県知事賞を受け、2016年(平成28年)の第8回雄町サミット歓評会の純米酒部門では「和心 特別純米」が優等賞に選ばれています。

酒造りの特徴

仕込み水は、中山神社の境内から流れ出る宮川の伏流水で、蔵の敷地にある江戸時代からの石組みの大井戸から汲み上げます。冬の最低気温はマイナス5度からマイナス7度に達し、夏も寒暖差が大きい土地で、冬の冷え込みが醪を適度に冷やし、低温で長く発酵させることで穏やかな酒質につながると蔵は考えています。貯蔵には土蔵を使い、夏は夜の冷え込みに合わせて扉を開け、日の出とともに閉めて、厚い土壁が守る昼間の涼しさのなかで秋でも若々しい酒質を保ちます。

原料米は、平成24酒造年度から「最後の一粒まで岡山米」を合言葉に、すべて岡山県産米に限っています。山田錦、雄町、朝日などを使い、蔵として譲れないのは、最も良い米を選び抜いて白く磨くことです。最も安価な佳撰クラスでも精米歩合は65パーセントです。蒸しには甑を使う昔ながらの丸米蒸しを守り、麹用は低い温度の蒸気でやわらかく、掛米は高温の蒸気で長い時間をかけて蒸し上げます。上撰クラスの原材料は米、米麹、米から造った醸造アルコールで、すべて米由来です。

造りは備中杜氏の流れをくむ技を基本にしています。備中流は、強い蒸気でさばけのよい蒸米を作り、酒母は短期間で仕上げて癖を抑え、軽快で淡白な味に導き、仕込みでは汲水を控えめにして追水で発酵を管理するという特徴で知られます。2010年には、冬季だけの出稼ぎで働く備中杜氏そのものがいなくなり、蔵ではいま全職員が参加して酒を造っています。

阿波地区の山田さんが育てた、はで干し(天日干し)の米で仕込む純米酒「あばの颯(かぜ)」も手がけています。津山市の最奥部で、鳥取県との分水嶺に近い源流の集落の棚田で育った米を使い、精米歩合は65パーセント、麹はやや突き破精気味に進めて、醪は低温で経過させ、吟醸に近い純米酒を目指して仕込みます。

代表銘柄

和心

2012年(平成24年)に、第100回全国新酒鑑評会の金賞と岡山県清酒品評会の第一位を記念して立ち上げた、特定名称酒に絞った新ブランドです。全量岡山県産米で、雄町や山田錦、朝日、キヌヒカリを使い、小仕込みの手造り、瓶燗火入れまたは香り封入高速瓶詰めで仕上げます。定番は特別純米雄町(精米歩合60パーセント)と朝日米の純米生原酒(65パーセント)で、限定酒は売り切りが原則です。「わび・さび」の心を込めた名で、登録商標です。

作州武蔵

剣豪・宮本武蔵の故郷である美作の国にちなんで名付けられた、蔵の主力銘柄です。2002年(平成14年)に勝山酒造から営業権を譲り受けました。純米吟醸の作州武蔵と純米大吟醸の剣聖武蔵は岡山県産山田錦、純米の作州武蔵は岡山県産の朝日米で仕込みます。上撰の剣豪武蔵は精米歩合65パーセントのスッキリ淡麗な辛口、上撰の作州武蔵は淡麗で適度な甘辛です。ほかに日本酒度が全国一辛いとする剣豪激辛、五年以上寝かせた純米の古酒、瓶内発酵を続ける活性にごり酒などがあります。

見学・購入

直売所
蔵の店内に利き酒コーナーがあります。JR津山駅から西田辺行きのバスで約20分、中山神社前で降りてすぐです。
補足
2026年2月21日から23日に第11回の蔵開きを開き、居酒屋広場、酒粕や米麹の販売、普段は出荷しない秘蔵酒の利き酒と販売、福袋などがありました。

見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。

蔵の基本情報

所在地
岡山県津山市一宮436
創業
1889年
公式サイト
musashi-sake.jp

出典

fuchimoto-jk.co.jp / tamarun.jp / umashikuniproject.jp / okayama-kanko.jp / nakamurasaketen.com / musashi-sake.jp / nrib.go.jp / nta.go.jp

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