SAKE BREWERY — IBARAKI

月の井酒造店

茨城県東茨城郡大洗町磯浜町638 1865年創業

紹介

慶応元年(1865年)創業、茨城県大洗町に位置する老舗酒蔵です。創業当初は「松前屋」と称していましたが、地元漁師らが歌い継ぐ民謡「磯節」の一節や川崎大師の井戸の名にちなみ、代表銘柄を「月の井」と改めました。あえて酒質設計に縛られず、大洗の気候風土の中で米・水・酵母の生かし切る酒造りを追求し、魚料理によく合う港町の食中酒を展開しています。

銘柄には「月の井」のほか、茨城県産の有機栽培米を原料とし伝統の生酛造りで醸す「和の月」、地元一貫造りの新ブランド「彦市」、発泡清酒「淡薫泡」、片岡鶴太郎氏がラベルを手掛けた吟醸酒「鯛より」 などがあります。「和の月」の開発・誕生背景は書籍化やテレビドラマ化もされました。2018年の全米日本酒歓評会では「和の月60 純米吟醸」が金賞を受賞したほか、2020年からは杜氏・石川達也氏を迎え入れ、伝統技法を生かした酒造りを継続しています。

歴史

月の井酒造店の起源は江戸時代初期、今から350年ほど前に大洗の地で酒や味噌づくりに使う麹を製造していたことにまで遡るとされています。屋号「松前屋」として酒造りを本格的に始めたのは慶応元年(1865年)で、以来大洗町磯浜町、神磯の鳥居にほど近い曲がり松商店街の一角で酒造りを続けてきました。

社名「月の井」は、初代当主が川崎大師に参詣した際に見た、弘法大師ゆかりの井戸「月の井」に由来します。この酒を飲む人の健康と厄除けを願うとともに、大洗の漁師たちが歌い継いできた民謡「磯節」の歌詞に登場する中秋の名月にもかけて名づけられたと伝わっています。

転機となったのは、六代目蔵元・坂本和彦氏が働き盛りで病に倒れたことでした。和彦氏と、後に社長を継いだ坂本敬子氏は「体にいいオーガニックのお酒をつくりたい」という思いを胸に、有機栽培米を用いた新ブランド「和の月」の開発に取り組みます。この歩みは書籍『さいごの約束』にまとめられテレビドラマ化もされ、和の月のラベルには和彦氏が遺した直筆文字が今も使われています。現在は八代目蔵元・坂本直彦氏が蔵を継いでいます。

酒造り

月の井酒造店は、既成の酒質設計にとらわれず、大洗の気候風土の中で米・水・酵母の力を生かし切る「大洗に、授かる酒」という考え方を貫いています。醸造では温度コントロールに頼らず、昔ながらの造りを守りながら、その年ごとの自然の状態に向き合う醸造を行っています。

2020年から石川達也氏が杜氏を務め、2026酒造年度より石川杜氏とともに入蔵した岩渕徹氏が杜氏を継いでいます。石川氏は1964年広島県生まれで、早稲田大学在学中に埼玉県の神亀酒造で酒造りの基礎を学び、1994年に広島県の竹鶴酒造へ移って1996年から杜氏を務めた経歴を持ち、2014年に広島杜氏組合長、2022年からは日本酒造杜氏組合連合会会長も務め、2020年には杜氏として初めて文化庁長官表彰を受けています。

石川氏が杜氏を務めていた間には、麹をたっぷり使う「蓋麹法」と、蔵付きの乳酸菌・酵母を生かし人工的な乳酸や酵母を添加しない「生酛造り」を組み合わせ、二次発酵による自然な発泡を生かしたスパークリング清酒の醸造に挑戦しました。目指したのは「炭酸に依存しない、素晴らしい清酒そのもの」で、生酛造り由来の緩衝力の強さを生かし、追水をしても酒質の骨格がしっかりと保たれる造りを追求しました。

蔵データ

所在地

茨城県東茨城郡大洗町磯浜町638

創業

1865年(茨城県)

公式サイト

tsukinoi.co.jp

代表銘柄

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月の井:蔵の代表銘柄で、茨城県で初めて兵庫県産山田錦を用いて純米吟醸酒を醸した蔵として知られます。酒質設計を行わず自然の力に委ねる醸造から生まれる味わいは、ほんのりとした山吹色や琥珀色を帯びるのが特徴です。地元大洗では祝いの席や喜びの席で長く飲み継がれてきた、港町の食中酒として親しまれています。

彦市:創業者・坂本彦市の名を受け継ぐ銘柄で、歴代蔵元が襲名してきましたが五代目以降は途絶えており、この名を後世に伝えるため2014年に新ブランドとして立ち上げられました。純米大吟醸には「幻の米」と呼ばれる亀の尾、純米吟醸には希少な越神楽、純米酒にはチヨニシキと、すべて大洗産の米を用いる地元一貫造りが特徴で、ふっくらとした米の味わいと柔らかな口あたり、心地よい酸が持ち味です。

和の月:茨城県産の有機栽培米を用いた生酛造りのブランドで、醸造用の乳酸や酵母を添加しない造りを貫いています。有機栽培に取り組んだ「アグリ山崎」の山﨑正志氏は1987年から栽培を始め、2000年11月に茨城県で初めてJAS有機認証を取得し、2004年に和の月が誕生しました。原料米には美山錦などを使い、月の井の銘柄の中でも緩衝力が高く、米のポテンシャルを生かした骨格のある味わいと、輪郭のある冴えたキレを両立させています。

淡薫泡:チヨニシキを原料に精米歩合70%で仕込んだ月の井の酒に炭酸ガスを加えて仕上げた発泡清酒で、アルコール度数9度、酸度6.6と低アルコールで軽やかな口あたりが特徴です。泡持ちの良さとシャンパンを思わせる爽やかな味わいから女性にも人気があります。紅麹を用いて桜色に仕上げた「Sakura淡薫泡(アクア)」という派生商品もあります。

見学・購入

蔵見学

なし

直売所

大洗町磯浜町の曲がり松商店街にある直売所で自社製造酒や酒粕を使った加工食品などを販売しています。営業時間は9時から17時まで、定休日は年始で、駐車場も備えています。

補足

蔵見学は受け付けていませんが、店頭では季節限定商品も扱っており、公式オンラインショップでの購入にも対応しています。

見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。

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出典

pref.ibaraki.jp / japansake.or.jp / tsukinoi.co.jp / oarai-info.jp / meimonshu.jp / v-storage.jp / ameblo.jp / nobori-sake.com / jetro.go.jp / sakeappraisal.org / iis-net.or.jp / shinise.tv / sake-times.com / makuake.com / sakenomy.jp / cuisine-kingdom.com / o-temoto.com

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