吉の川酒造店
代表銘柄:吉の川
福島県
FUKUSHIMA
1870年創業
1870年(明治3年)創業、福島県喜多方市に蔵を構える合資会社吉の川酒造店。代表銘柄は「吉の川(会津吉の川)」です。「地元の信頼に応える酒蔵であり続ける」という理念のもと、出荷の約98%が地元向けという、地域に強く密着した酒造りを行っています。酒米(五百万石やチヨニシキなど)や水には地元産を使用し、酒造りの重要な要素である精米も自社で手掛けています。蔵には明治・大正時代に建てられた建物があり、煉瓦造の煙突も残っています。
地元の呑み手からの声を真摯に受け止めつつ、全国新酒鑑評会で平成17〜令和7酒造年度に16回の金賞を受賞するなど、高品質なお酒造りに挑み続けています。
吉の川酒造店の歩み
吉の川酒造店は、福島県喜多方市にある合資会社の酒蔵です。蔵を営む冠木(かぶき)家は、初代が江戸末期に分家し、油などを商っていました。明治3年(1870年)に二代目の吉郎次が酒造株を取得して酒造りを始め、これが蔵の創業です。当主は先代まで代々「吉郎次」を襲名してきました。酒銘の「吉の川」は吉郎次の「吉」の字にちなんでおり、ラベルの特徴的な髭文字も地元で長く親しまれています。
蔵の歴史で特筆されるのが、五代目当主の房八です。房八は醸造技術の向上に努め、地元の酒の改良にも力を注ぎました。寝食を忘れて研究に打ち込み、その技術を地域の蔵元に惜しみなく伝えて指導したため、喜多方の多くの蔵元が房八の醸造技術に学びました。昭和11年には「名誉賞」を受けています。隔年に開かれていた全国の品評会で3回連続入賞した蔵に贈られる賞で、福島県内の受賞蔵は二つだけでした。房八が喜多方に戻ったときには駅前で大勢の人が迎え、祝賀のパレードが行われたと、七代目の冠木孝氏は語っています。
2021年時点では七代目の冠木孝氏が代表を務め、「地元の信頼に応える酒蔵であり続ける」ことを理念に掲げています。出荷の約98%を地元に向ける姿勢は、2003年時点でも2016年時点でも変わっていません。冠木氏は大学卒業後に国内外を旅し、さまざまな職業を経験してから社業を継ぎました。地元を離れていた時期に地元の大切さを学び、日々の暮らしの中で地元の人が喜んで飲める酒を造り続ける考えです。蔵には煉瓦造の煙突があり、喜多方市の歴史文化資源の一覧にも挙げられていますが、文化財の指定や登録は受けていません。
平成29酒造年度まで造りの指揮をとったのは、岩手県紫波町出身の南部杜氏、川村利見氏です。約40年にわたって蔵に勤め、全国新酒鑑評会の金賞をはじめ数多くの賞を受けました。川村杜氏は平成29酒造年度を最後に勇退しています。2020年ごろには、蔵元の子息の冠木大輔氏が八代目を継ぐ予定で、長年蔵に勤める頭とともに造りに取り組んでいました。
鑑評会での実績も豊富です。全国新酒鑑評会では、平成14酒造年度以降に限っても、平成17酒造年度から令和7酒造年度まで21年連続で入賞し、そのうち金賞は16回です。金賞は平成17・18酒造年度、平成20酒造年度から26酒造年度までの7年連続、平成28・30酒造年度、令和2酒造年度、令和4酒造年度から7酒造年度までの4年連続にあたり、平成19・27・29酒造年度と令和元・3酒造年度は入賞でした。
仙台国税局の東北清酒鑑評会では、平成17年から令和7年までの21回の開催のうち17回で優等賞に選ばれ、吟醸酒の部で13回、純米酒の部で10回を数えます。平成25年には純米酒の部で評価員特別賞、平成26年には吟醸酒の部で最優秀賞を受けました。福島県鑑評会では、平成24年春季から令和8年春季まで、春季・秋季合わせて29回続けて金賞を受けています。吟醸酒の部は27回、純米酒の部は18回です。
酒造りの特徴
原料は地元産が中心です。米は喜多方産の五百万石、チヨニシキ、夢の香などを使い、精米は自社で行っています。2007年時点でも、米はほとんどが地元産で自家精米でした。仕込み水は、飯豊山の伏流水にあたる井戸水です。
造りは手をかける工程が多く、2003年時点では6棟の蔵で仕込みを行い、80年以上前に建てられた蔵では何十本もの通し梁が天井を覆っていました。麹室には温熱器とダクトのほかに機械らしいものがなく、仕込みタンクには木蓋をして石の重りをのせていました。2007年時点では、明治・大正時代に建てられた蔵のなかで、ほとんどの工程を昔ながらの手法で行っていました。
燃料こそ変わったものの昔ながらの釜を使って強い蒸気で米を蒸し、麹はすべて手作りで、泡の立つ酵母の泡を消す作業も人の手で行い、造りに入ると蔵人は泊まり込みで作業にあたっていました。
地元の晩酌酒として親しまれてきたのは普通酒です。2003年時点では「会津印吉の川」が最もよく売れる酒で、喜多方の居酒屋のほとんどが扱っていました。2007年時点では醸造する酒の七割が普通酒で、普通酒にも酒造好適米を七割以上使っています。2025酒造年度のしぼりたて生原酒は特定名称を持たない普通酒で、麹米に喜多方産の五百万石、掛米に喜多方産のチヨニシキを使い、精米歩合は68%、アルコール分は20度です。
純米酒「吉の川」は、地元農家と契約栽培した喜多方産の五百万石を100%使った手造りの純米酒で、精米歩合は60%、アルコール分は15度、日本酒度はプラス2、酸度は1.4です。2025酒造年度の純米生原酒と純米原酒(火入れ)は、喜多方産の五百万石と夢の香を精米歩合60%で仕込み、夢酵母と煌酵母を使っています。蔵では、夏を越して熟した酒粕を一度タンクに戻して踏み込み、柔らかくした「練粕」も造っており、漬物や調味料に使われます。
代表銘柄
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吉の川
「吉の川」は、二代目吉郎次の名の一字にちなむ、蔵の看板銘柄です。出荷の約98%が地元で、地元の人が日常の晩酌に飲む普通酒の比率が高い蔵です。純米酒「吉の川」は喜多方産の五百万石を100%使い、精米歩合60%、アルコール分は15度です。しぼりたて生原酒は喜多方産のチヨニシキなどで精米歩合68%、アルコール分20度の普通酒です。酒造りには喜多方の米と飯豊山の伏流水を使っています。
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- 蔵見学
- なし
- 補足
- 蔵の見学は受け付けていません。問い合わせの受付時間は午前9時から午後4時です。
見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。
蔵の基本情報
- 所在地
- 福島県喜多方市字一丁目4635
- 創業
- 1870年
出典
japansake.or.jp / fukunosake.com / sakenomy.jp / jizakeyakodama.com / navitime.co.jp / fukufukumarche.com / mori-onlineshop.com / kennan-syuhan.co.jp / miru.co.jp / minyu-net.com / nihonshu-tourism.com / sake-fukushima.jp / nta.go.jp / nrib.go.jp / fukuraiya.jp / tif.ne.jp / city.kitakata.fukushima.jp
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