太田酒造
代表銘柄:道灌・湖弧艪
滋賀県
SHIGA
1874年創業
滋賀県草津市に本社を置く太田酒造は、1874年(明治7年)に創業した酒蔵です。創業家の太田家は、江戸城を築城した武将・太田道灌を遠祖に持ち、江戸時代には幕命を受けて草津宿の政所などを務めました。明治維新後、所有する田畑や米(近江米)を有効活用するために酒造りを開始しました。
代表銘柄「道灌」は遠祖の名にちなんで付けられたもので、「湖弧艪(こころ)」は琵琶湖の水運を支えた木造帆船「丸子船」の復元を記念して名付けられました。酒造りでは、滋賀県産の酒米や自社田で栽培した「山田錦」など滋賀県産の原料にこだわり、仕込み水には敷地内から湧き出る井戸水を使用しています。
本社の不盡蔵での醸造のほか、神戸市東灘区の千代田蔵での日本酒製造、滋賀県栗東市の栗東ワイナリーでのワイン・ブランデー造りなど、本格焼酎やリキュールも含めた酒類を手がける総合酒類メーカーです。全国新酒鑑評会や大阪国税局清酒鑑評会で金賞・優秀賞を重ねています。
太田酒造の歩み
太田酒造の創業家である太田家は、江戸城をはじめ数々の名城を築いたことから「築城名人」とも称えられた室町時代の武将・太田道灌を遠祖に持ちます。江戸幕府三代将軍徳川家光の時代、道灌から六代目にあたる子孫の太田正長は、幕命により越前福井藩から近江国草津へ移り住み、草津宿の政所としての公務を務めました。表向きは政所でありながら、裏では大名の動静を探る「かくし目付」の役目も担い、江戸時代の終わりまでその役割を果たし続けました。
太田家が酒造りを本格的に始めたのは、江戸城の築城からおよそ四百年後にあたる明治時代の初め、明治七年(1874年)のことです。当時、江戸幕府の内命を受けて草津に移り住んでいた太田家は、所有していた田畑や年貢米である近江米を有効に活用するため、酒屋講の権利を得て酒造りを始めました。こうして生まれた酒は、遠祖の名にちなんで「道灌正宗」と名付けられ、今日の代表銘柄「道灌」へと受け継がれています。
酒造りを始めた太田家は昭和三年(1928年)に太田合名会社を設立し、昭和三十八年(1963年)にはその営業権を引き継ぐかたちで太田酒造株式会社を設立しました。戦後は事業を広げ、昭和二十四年(1949年)に東京工場を建設して清酒製造免許を取得したのをはじめ、焼酎や原料用アルコールの製造免許も取得しています。昭和三十四年(1959年)には山口県の田中酒造株式会社を買収するとともに、陸前高田市の神田ブドウ園から果実酒・甘味果実酒の製造免許を譲り受け、本社工場で果実酒の製造を始めました。
昭和三十七年(1962年)には神戸市東灘区の灘工場で酒造りに着手し、昭和五十一年(1976年)には滋賀県栗東市に栗東工場を、昭和五十八年(1983年)にはブランデーの製造設備を整えました。平成元年(1989年)に本社の道灌蔵が、平成十一年(1999年)には不盡蔵が竣工し、平成二十三年(2011年)には栗東工場に新しいワイナリーが完成してスパークリングワインの製造も始まりました。
現在は、本社の不盡蔵、神戸市東灘区の千代田蔵、滋賀県栗東市の栗東ワイナリーという三つの拠点で、日本酒に加えてワイン、ブランデー、焼酎、リキュールなどを手がける総合酒類メーカーとして酒造りを続けています。不盡蔵に隣接する道灌蔵は、現在は直売店と資料館として活用されています。
酒造りの特徴
清酒「道灌」の酒造りでは、原材料を一〇〇パーセント滋賀県産でそろえることにこだわっています。草津市内に所有する自社田では、酒米の山田錦を有機農法で栽培し、清酒の原料に使用しています。この取り組みが認められ、「純米大吟醸 不盡蔵」と「特別純米生原酒 渡船」の二品は、令和五年(2023年)にGI滋賀の認定商品として登録されました。「渡船」に使われる「滋賀渡船六号」は、近江で生まれ山田錦の親にあたる酒米で、湖の風を受けて育った滋賀ならではの原料米です。
仕込み水には、工場の敷地内から湧き出る井戸水を使用しています。かつては水質のよい栗東ワイナリーの水を日本酒の洗米水や仕込み水として使っていましたが、本社のある草津工場の井戸を掘り直した結果、日本酒の醸造に適した水質の水を得られるようになりました。現在も定期的な井戸の清掃と水質分析を続け、水へのこだわりを保っています。
酒造りにおいては「洗いに始まり洗いに終わる」を信条とし、米を洗う工程はもちろん、道具の洗浄や蔵内の清掃にも丁寧に取り組んでいます。現在、代表銘柄「道灌」は能登杜氏の梶塚英夫氏を迎え、本社の不盡蔵で醸されています。米由来のふくよかな旨味と甘味を生かした酒質を目指し、鮒ずしやホンモロコといった湖魚料理、近江牛など滋賀の名産品に合わせやすい食中酒としての酒造りを心がけています。
全国新酒鑑評会では、平成十四酒造年度以降「道灌」または「金紋道灌」の名で十七の酒造年度にわたり入賞しており、金賞は五回です。本社の不盡蔵(本社工場)は平成十四酒造年度と平成二十六酒造年度に、灘工場(現在の千代田蔵)は平成十八・十九・二十一酒造年度に、それぞれ金賞を受けています。また、大阪国税局清酒鑑評会でも本社の不盡蔵が「金紋道灌」で優秀賞を重ねており、吟醸酒部門で平成三十年度・令和元年度・令和六年度に、燗酒用清酒部門で平成二十九年度に、それぞれ優秀賞を受賞しました。
近年では、令和七年(2025年)の「Tokyo酒チャレンジ2025」でも「純米大吟醸 不盡蔵」が金賞を受賞しています。
代表銘柄
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道灌
太田家の遠祖・太田道灌にちなんで名付けられた蔵の看板銘柄です。現在は能登杜氏の梶塚英夫氏を迎え、本社の不盡蔵で醸しています。純米大吟醸不盡蔵と、山田錦の親にあたる滋賀渡船六号を使った特別純米生原酒渡船は、令和五年にGI滋賀の認定を受けました。純米大吟醸不盡蔵は令和七年のTokyo酒チャレンジ2025でも金賞を受賞しています。大吟醸の桐箱入りや山廃仕込みの大吟醸原酒など、辛口から甘口まで幅広い商品をそろえています。
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千年以上続いた琵琶湖水運を支えた木造帆船「丸子船」の復元を記念して名付けられた銘柄です。滋賀県産の酒米にこだわり、地元滋賀県民の手によって丁寧に仕込まれています。玉栄や吟吹雪、渡船六号、山田錦など複数の酒米を使い分け、ラベルの色ごとに味わいの異なる限定シリーズとして展開しています。選りすぐりのタンクから別誂えした純米生原酒や特別純米生原酒が中心の品ぞろえです。
見学・購入
- 蔵見学
- あり(要事前確認)
- 直売所
- 本社「道灌蔵」1階の直売店(滋賀県草津市)とオンラインショップで購入できます。
- 補足
- 道灌蔵は1階が直売店、2階が「太田道灌資料館」となっており、資料館は自由に見学できますが、酒造りの蔵見学は現在行っていません。営業時間は9時から17時まで(12時から13時は休憩)で、団体の場合は事前の問い合わせが必要です。
見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。
蔵の基本情報
- 所在地
- 滋賀県草津市草津三丁目10-37
- 創業
- 1874年
出典
sakeworld.jp / ohta-shuzou.co.jp / sakenomy.jp / goshu-pro.jp / kyoto-nishimurasaketen.com / workshiga.com / nrib.go.jp / tokyosakechallenge.com / nta.go.jp
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