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磐乃井酒造

代表銘柄:磐乃井・百磐

岩手県

IWATE

1917年創業

磐乃井酒造の建物
磐乃井酒造の建物(2026年撮影)「Iwanoishuzo, Ichinoseki.jpg」 — 写真:運動会プロテインパワー / CC BY-SA 4.0原典は一部モザイク処理済み。縮小・WebP変換

1917年(大正6年)、粗悪な密造酒の防止と地域の健全化を目指し、旧花泉地方の地域住民有志175名が出資して立ち上げた「まちの企業」をルーツとする酒蔵です。戦時下の企業統合による一時休止を経て、1952年に単独での醸造許可を得て再開しました。地元岩手の米や水を中心に使用し、地域に根ざした地酒造りを行っています。代表銘柄「磐乃井」のほか、創業100周年に誕生した「百磐」などを手掛けています。

受賞歴として、全国新酒鑑評会での金賞受賞(1994年、2012年、2017年、2023年など)をはじめ、SAKE COMPETITION 2023での上位入賞(純米大吟醸部門GOLD、純米酒部門SILVER)、Kura Master 2023純米大吟醸酒部門金賞など、国内外のコンテストで高い評価を受けています。

磐乃井酒造の歩み

磐乃井酒造は、岩手県の最南端にあたる一関市花泉町の酒蔵です。創立は1917年(大正6年)10月13日です。当時、花泉地方には清酒を醸造する業者がなく、日常の不便に加えて、濁酒の密造が盛んに行われていました。これを憂えた地元の有志が、米と酒を交換する仕組みなら密造を防げると考え、酒造会社の設立を図りました。花泉地方の七か村を基盤に、株主175名、資本金1万2500円の株式会社として発足しています。ひとつの家の家業ではなく、地域の人々が出資して立ち上げた「まちの企業」として歩み始めたことが、この蔵の大きな特徴です。

初年度は480石を醸造し、販売は300石でした。当時の好景気にも恵まれ、創立5年で資本金は4万円、株主は299人に増え、醸造高は820石、販売高は650石へと伸びています。大正末期から昭和初期には、関東大震災後の不況、昭和3年の緊縮政策による物価の暴落、昭和9年の冷害と打撃が続きました。それでも蔵は倉庫や造り場の大改造に踏み切り、そのとき手を入れた施設は今も使用に耐えています。

戦時下の昭和18年(1943年)9月、企業整備により東磐井郡と西磐井郡の酒造業者がすべて合同し、「両磐酒造株式会社」が生まれました。磐乃井酒造も株主としてこれに加わり、昭和26年までの8年間は醸造を休止して清酒の小売店として存続しました。戦後の苦闘を経て、昭和27年(1952年)12月10日、大蔵省から岩手県下第一号として再び単独での醸造許可を得ます。翌昭和28年からは再び地元の米で醸造を始め、地域の農家に活気を呼び戻しました。創立60周年のころには、平均醸造800石、販売1000石に達しています。

平成に入ると、消費税の導入や酒税法の改正、バブル崩壊の影響を受けましたが、蔵は生酒用の大型移動冷蔵庫を設置し、生酒の売上は例年の3倍に伸びました。平成18年からは阿部徳彦さんが代表を務めています。阿部さんは本業が稲作農家で、平成5年の冬から蔵人として酒造りに携わってきた人物です。蔵の仕込みは、東京から一関へ戻って営業職として入社し、のちに酒造りの道に進んだ専務取締役の佐藤竜矢さんが、2017年から杜氏として指揮を執っています。

2024年には初めて香港の見本市に出展するなど、近年は海外にも販路を広げ、輸出先は商談中の案件を含めて約10カ国になりました。

平成18年からは阿部徳彦さんが代表を務めています。阿部さんは本業が稲作農家で、平成5年の冬から蔵人として酒造りに携わってきた人物です。蔵の仕込みは、2012年に東京から一関へ戻って入社し、営業職から酒造りの道に進んだ専務取締役の佐藤竜矢さんが、2017年から杜氏として指揮を執っています。2024年には初めて香港の見本市に出展するなど、近年は海外にも販路を広げ、輸出先は商談中の案件を含めて約10カ国になりました。

酒造りの特徴

仕込みは毎年11月に始まり、2月末まで続きます。醸造量は250石ほどの小規模な蔵で、淡麗で飲み飽きしない酒質を持ち味としています。杜氏の佐藤竜矢さんは南部杜氏で、営業職として入社したあと、酒造りにも関わらせてほしいと社長に頼み込み、県の工業技術センターに通ったり、南部杜氏の講習会で学んだりして杜氏になりました。杜氏の仕事は、どの米をどのくらい磨き、どの酵母を使うかといったレシピと作業計画を立て、それに沿って造りを指揮することです。

見学では、蒸した米が麹室、酒母、もろみへと振り分けられる工程や、三回に分けて仕込み約20日かけて発酵させる様子を見ることができます。

原料はできるだけ地元のものを使う方針で、地元の米や水を中心に使う酒造りを創業以来の社是としています。岩手県産米を中心に、地元の水で仕込んでいます。岩手県のオリジナル酒造好適米「吟ぎんが」や「結の香」、岩手オリジナルの清酒酵母「ジョバンニの調べ」も使います。純米酒「真心 白ラベル」は、米、酵母、麹、水のすべてを岩手のものとし、南部杜氏の技で仕込んだ「オールいわて」の酒です。「辛口 純米酒 磐乃井」は、花泉町で蔵人が育てたひとめぼれで仕込みます。近年は、麹造りを担う蔵人の家で育てた酒米でも酒を造っています。

新しい酒にも挑んでいます。2020年に発売した「特別純米酒 カルイワノイ」は、蔵として初めての低アルコール原酒で、アルコール度数13度、地元産の美山錦を使い、精米歩合は60%です。「軽い」と「磐乃井」を合わせた名前です。2022年には、花泉の名と蔵の主義を掛け合わせた低アルコール純米酒「はないずむ」のシリーズが始まりました。7種類の酒をブレンドした限定酒「純米酒 IWANOI MIX 2022」や、地元の和菓子店と共同開発した銘菓にちなむ「田むらの梅酒」のように、一関の素材を生かした商品もあります。

受賞歴では、全国新酒鑑評会で平成5酒造年度に金賞を受けたほか、平成14酒造年度以降に限っても14回入賞しており、うち金賞は平成15、19、23、28酒造年度と令和4酒造年度の5回です。令和2酒造年度から令和7酒造年度までは6年続けて入賞しました。南部杜氏自醸清酒鑑評会の純米酒の部では、令和5、6、7酒造年度(第105回から第107回)に3年続けて優等賞を受けています。仙台国税局の平成19年東北清酒鑑評会でも、吟醸酒の部で優等賞に選ばれました。

2023年にはKura Master 2023の純米大吟醸酒部門で金賞を受賞し、SAKE COMPETITION 2023では純米大吟醸が第6位のGOLDでした。

このほか蔵の発表では、IWC 2023とIWC 2025のSAKE部門純米大吟醸の部でSILVERメダル、SAKE COMPETITION 2023の純米酒部門で百磐の純米酒赤ラベルがSILVER、岩手県新酒鑑評会の第1部で令和4、5、7酒造年度に金賞、令和6酒造年度に銀賞、南部杜氏自醸清酒鑑評会で平成30酒造年度に純米吟醸酒の部、令和元酒造年度に純米酒の部の優等賞、平成10酒造年度に仙台国税局長記念杯の第三席を受けています。

代表銘柄

磐乃井

蔵の名を冠した銘柄です。2023年に発売した純米大吟醸「磐乃井」は、岩手オリジナルの酒造好適米「吟ぎんが」と清酒酵母「ジョバンニの調べ」を使い、上品な甘味と酸味のバランスが良い味わいで、SAKE COMPETITION 2023で第6位に入りました。「真心」シリーズは白ラベルの純米酒が精米歩合65%で、米も酵母も麹も水も岩手産の「オールいわて」です。本醸造「流郷 花泉」はキレのあるすっきりした飲み口です。

百磐

創業100周年に合わせて立ち上げ、次の百年も愛される酒を醸したいという想いを込めて名付けた限定流通の銘柄です。岩手県産の酒造好適米に、岩手オリジナルの酵母「ゆうこの想い」と麹菌「黎明平泉」を使い、香り控えめですっきりとキレのある味わいです。純米吟醸の橙ラベルは吟ぎんが50%、純米酒の赤ラベルはぎんおとめ65%で、赤は立ち上げ当初からの定番です。

見学・購入

蔵見学
あり(要事前確認)
直売所
オンラインショップのほか、電話・FAX・メールでも注文できます。受付は平日9時から17時です。
補足
蔵見学は専務取締役兼杜氏の佐藤竜矢さんが案内します。通年受け付けていますが、原則として日曜、祝日、お盆、年末年始は休みで、事前の予約が必要です。時間は10時から16時、所要時間は約40分、料金は無料で、駐車場があります。1名から見学できます。

見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。

蔵の基本情報

所在地
岩手県一関市花泉町涌津字舘72
創業
1917年
公式サイト
iwanoi.co.jp

出典

japansake.or.jp / gbiz.go.jp / sake-times.com / wikipedia.org / center-i.org / yohkoyama.com / sakenomy.jp / iwanoi.co.jp / jetro.go.jp / note.com / furusato-tax.jp / kuramaster.com / tv-aichi.co.jp / nanbutoji.jp

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