四家酒造店
代表銘柄:又兵衛
福島県
FUKUSHIMA
1845年創業
合名会社四家酒造店は、1845年(弘化2年)に創業した福島県いわき市の酒蔵です。創業者である初代・四家又兵衛が無類の酒好きで、自分が楽しむために酒造りを始めたことが起源とされています。かつては大手メーカーへの桶売りや「福美」などの銘柄を展開していましたが、昭和50年代に地域に密着した品質重視の酒造りを目指し、初代の名を冠した代表銘柄「又兵衛」を誕生させました。
冬でも比較的温暖ないわき市の気候下で、醪(もろみ)の温度管理に細心の注意を払いながら、昔ながらの手法を守った酒造りを行っています。生産量の9割以上が地元いわき市で消費されており、太平洋沿岸の豊富な海の幸や郷土料理を引き立てる地酒として長く親しまれています。丁寧な醸造により、全国新酒鑑評会で金賞を受賞するなど高い実績も有しています。
四家酒造店の歩み
四家酒造店は、福島県いわき市内郷高坂町にある酒蔵です。創業は1845年(弘化2年)で、初代の四家又兵衛が、酒好きが高じて自分で楽しむために酒造りを始めたのが起こりです。四家家はもともと農業のかたわら薬屋を営む家で、酒は当時この地を治めていた磐城平藩の城下町で売られました。初代は俳号を「竹林亭真酒躬」(ちくりんていますみ)とし、まことの酒飲みを名乗るほどの酒好きでした。1847年には一升を153文で販売していました。
1934年に合名会社四家酒造店となり、銘柄「福美」を発売しました。「福美」は1936年の第15回全国酒類醤油品評会で優等賞を受賞しています。その後、1950年代に「雀竹林」、1980年代に「いわき郷」「いわき丸」を出しました。戦前から昭和40年代にかけては常磐炭鉱の景気に支えられて販路が市内全域に広がり、村ごとに酒屋があるほどの時代でした。蔵の周辺にも炭鉱の坑道が多く掘られ、炭鉱で働く人たちに飲み継がれることで、酒がいわきに根づきました。
炭鉱が盛んだったころ30軒近くあったいわきの酒蔵は、2018年時点で、仕込みを行うのが四家酒造店を含めて2軒だけになっています。
日本酒の消費が落ち込み、大手メーカーからの受注も減るなか、四家酒造店は経営を見直すことになりました。それまでは自分たちが造った酒が大手メーカーの銘柄として瓶詰めされ、地元で売られる状況でした。昭和50年代に先代の社長が、品質がよく地元に根ざした独自の銘柄を作ろうと立ち上がり、代々の当主が名乗ってきた「又兵衛」を銘柄に選びました。当時の銘柄は「〜正宗」「〜錦」のような風雅な名が多く、人名なら覚えやすく耳に残るという考えもありました。
「又兵衛」には先祖への敬意に加えて、派手さや優雅さはなくても野武士のように愚直な酒造りを目指すという先代の意志が込められています。大手向けのコスト重視の酒から品質重視へ移った最初の銘柄で、発売直後から人気になりました。
全国新酒鑑評会では、福島県の蔵が吟醸酒造りの技術を情報交換する高品質清酒研究会が平成7年に立ち上がり、蔵元が酵母や火入れを学んだのち、平成7酒造年度の出品酒で初めて金賞を受賞しました。蔵の発表では、平成9酒造年度と平成12酒造年度にも金賞を受けています。平成14酒造年度以降は18回入賞し、うち金賞は13回で、平成14〜19酒造年度は6年連続の金賞でした。蔵の記録を合わせると金賞は通算16回で、令和7酒造年度は純米大吟醸の出品酒で金賞を受賞しています。
仙台国税局の東北清酒鑑評会では、平成18〜26年の9年連続と平成28年、令和2年に優等賞を受賞しています。福島県酒造組合の福島県春季鑑評会では、平成16年から令和2年までに11回(年数)、吟醸酒の部または純米酒の部で金賞を受賞し、平成19年には吟醸酒の部で県知事賞も受けました。令和8年は吟醸酒の部と純米酒の部の両方で金賞でした。秋季鑑評会でも平成17〜29年に11回(年数)、吟醸酒の部または純米酒の部で金賞を受賞しています。
蔵の発表では、令和4年に南部杜氏自醸清酒鑑評会の吟醸酒と純米酒の2部門で優等賞を受けています。
酒造りの特徴
いわきは冬でも比較的温暖で、もろみの温度管理に気を使う土地です。会津では10月ごろから新酒ができる蔵もありますが、四家酒造店では早くても年明けになります。2016年に冷蔵タンクを導入し、2017年時点では年内の新酒販売を目標にしていました。蔵は明治時代に建てられた建物で、酒蔵は平成に入って改装されました。米は、仕込み時期の前に内側を漆で塗る和釜で蒸します。蒸気に鉄分を含ませないための昔ながらの工程です。麹は床(とこ)で造り、できた麹は棚で一晩寝かせて乾燥麹にします。仕込みでは、櫂棒を発酵の段階に応じて使い分けます。
仕込み直後の固い状態では先の小さく丸いもの、発酵が進むと一回り大きいもの、搾る直前には先の細長く大きなものを使います。
2011年3月11日の東日本大震災で、いわき市は大きな被害を受けました。四家酒造店はその年の最後の仕込みを終える甑倒しの直後で、建物の一部が崩れましたが、蔵人にけがはありませんでした。平成23酒造年度も例年どおり仕込みを行い、全国新酒鑑評会で入賞しています。2020年は新型コロナの影響で酒造りを断念し、2021年に再開しました。純米大吟醸は2021年に発売できず、2022年3月に2年ぶりの発売となりました。
長年、冬になると岩手などから南部杜氏と蔵人が4〜5人訪れ、蔵の中で寝食を共にして仕込んできました。2025年1月の仕込みは南部杜氏が来られず、蔵の社員だけで行いました。2026年は杜氏を迎えることが難しくなったため、蔵の兄弟二人が仕込みを管理しています。2026年の福島県春季鑑評会で両部門の金賞を受けた酒は、この体制で仕込んだ初めての大吟醸です。令和7酒造年度の全国新酒鑑評会では純米大吟醸で金賞を受け、金賞受賞酒として2026年6月に発売しました。
この酒の原料米は山田錦、精米歩合40%、日本酒度はマイナス5、酸度は1.4です。ほかに、吟醸酒は美山錦を精米歩合50%まで磨き、福島県オリジナルの酒米「夢の香」を使った純米吟醸があります。2025年には、兄弟で仕込んだ限定の純米吟醸「一山一家 又兵衛ブラザー」(精米歩合50%)も発売しました。2017年時点で、普通酒と特定名称酒の比率は7対3でした。
生産量の9割以上は、いわき市内で消費されています。辛口から甘口まで幅広く造り、いわきの海の幸とともに味わう酒として磨かれてきました。いわきで揚がったサバを純米酒「いわき郷」で煮込んだ味噌煮や、ほっけを又兵衛の酒粕に漬けた商品があり、そのほっけを具にしたおにぎり「又兵衛しまほっけ」は、2021年のお弁当・お惣菜大賞のおにぎり部門で最優秀賞に選ばれました。2022年には、いわき市の磐城高箸と、純米酒「いわき郷」を檜の間伐材の木のストローと升で飲む「ちゅ〜ちゅ〜又兵衛」を商品化しました。
故・三國連太郎さんは、映画「釣りバカ日誌」の撮影でいわきを訪れた際に偶然「又兵衛」を飲んで以来のファンで、蔵に書を贈っています。
代表銘柄
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又兵衛
又兵衛は、代々の当主が名乗ってきた名を銘柄にした、四家酒造店の代表銘柄です。昭和50年代に、品質のよい地元に根ざした酒を目指して名づけられました。上撰や純米酒「いわき郷」から大吟醸、純米大吟醸まで揃い、全国新酒鑑評会では令和7酒造年度に純米大吟醸の出品酒で金賞を受賞しました。
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- 蔵見学
- なし
- 直売所
- 蔵での販売は平日の8時から17時(12時台を除く)で、常設の販売ブースはなく、来店前に電話での連絡が必要です。蔵のオンラインショップのほか、いわき・ら・ら・ミュウ、いわき市石炭・化石館ほるるの売店、市内の酒店でも購入できます。
- 補足
- 土曜・日曜・祝日と連休は休業です。蔵の見学はできません。
見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。
蔵の基本情報
- 所在地
- 福島県いわき市内郷高坂町中平14
- 創業
- 1845年
出典
japansake.or.jp / shopinfo.jp / f-sake.com / zaikai21.co.jp / fukunosake.com / tohoku-sakurakaido.jp / kankou-iwaki.or.jp / tiki.ne.jp / shikesyuzouten-matabey.shopinfo.jp / matabey.base.shop / nrib.go.jp / nta.go.jp / sake.fukushima.jp / fct.co.jp / kennan-syuhan.co.jp
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