金水晶酒造
代表銘柄:金水晶
福島県
FUKUSHIMA
1895年創業
明治28(1895)年に創業した酒蔵で、2024年時点で福島市唯一の酒蔵。かつて蔵の近くにあった金山から水晶沢へ注ぐ名水にちなんで「金水晶」と命名された。2022年3月の福島県沖地震により旧松川町の蔵が被災したため、2024年に福島市荒井へと酒蔵を移転し、直売所を併設した「金水晶 四季の蔵」をオープンした。仕込み水には荒川の伏流水を用い、福島県産の米にこだわった酒造りを行っている。代表銘柄は「金水晶」。全国新酒鑑評会では平成14酒造年度以降に金賞16回(入賞20回)を数えるなど、高い評価を得ている。
金水晶酒造の歩み
金水晶酒造は、福島県福島市で明治28(1895)年に創業した酒蔵です。創業の地は現在の福島市松川町にあたり、戦国時代に伊達氏の拠点となった八丁目城の城下は、のちに八丁目宿と呼ばれました。奥州街道、米沢街道、相馬街道が集まる宿場町として栄えたこの地で、斎藤家は「蝋燭屋」という旅籠を営んでいました。鉄道の開通などで旅籠の需要が薄れたことから、明治28年に造り酒屋を始めています。
蔵の近くには、金売り吉次が発見したと伝わる金山があり、そこから湧き出る水は水晶沢へ注いでいました。初代の金次郎はこの水晶沢の水を使って酒造りを始め、金山の「金」と水晶沢の「水晶」をとって「金水晶」と名づけたと、蔵では説明しています。明治初年に明治天皇が東北を行幸した際には、この湧水を献上して「金明水」の名を賜ったとも伝えています。2015年に創業120年を迎えた蔵は、2011年の東日本大震災で店と事務所が大きな被害を受け、瓶詰めラインなどの設備も壊れましたが、修理と建て直しを重ねて酒造りを続けました。
東京でテレビ局の報道ディレクターをしていた4代目の斎藤美幸さんは、震災を機に福島へ戻り、2015年から蔵の経営と酒造りに携わっています。2024年時点で、金水晶酒造は福島市で唯一の日本酒の蔵です。
全国新酒鑑評会では、平成14酒造年度以降で20回入賞し、そのうち金賞は16回です。金賞は平成16・17酒造年度、平成19〜26酒造年度の8年連続、平成28〜30酒造年度の3年連続、令和2・4・7酒造年度で、平成27・令和元・3・6酒造年度は入賞でした。仙台国税局の東北清酒鑑評会では、平成21年に吟醸酒の部と純米酒の部の両部門で優等賞に選ばれ、吟醸酒の部では平成22・23年、26・27年、29年から令和2年にも優等賞を受けています。純米酒の部の優等賞は、平成21年のほか令和2〜4年です。
福島県酒造組合の春季・秋季の鑑評会では、平成17年以降、県知事賞を2回(平成25年春季の夢の香の部、令和4年春季の吟醸酒の部)、金賞を26回の鑑評会で延べ34部門受けています。金賞の多くは吟醸酒の部で、平成24年春季と平成26年春季には吟醸酒・純米酒・夢の香の部の3部門でそろって選ばれました。令和7年秋季は福乃香の部、令和8年春季は純米酒の部でも金賞に選ばれています。
転機は地震でした。松川の旧蔵は、2021年2月の福島県沖地震で被災し、補強したものの2022年3月の福島県沖地震で再び被災して、全壊と判定されました。酒造りに欠かせない釜の損傷が特に大きく、一時は蔵を畳むことも美幸さんの頭をよぎりました。それでも、当時専務だった斎藤湧生さんが「1%でも可能性があるのなら、蔵を続けたい」と動き、代わりの釜を探し出しました。松川は地盤がゆるく、鉄柱が曲がり木の柱が折れた旧蔵を同じ場所で建て直すのは難しいと判断し、車で通いやすく地盤もしっかりした福島市荒井への移転を決めています。
2024年、蔵は荒井の農村公園「四季の里」の隣に移りました。約3千平方メートルの敷地に日本酒の蔵、リキュール棟、直売所が並び、3月16日に「金水晶 四季の蔵」としてオープンしています。社名は同年2月に有限会社金水晶酒造店から金水晶酒造株式会社へ改められ、3月には斎藤湧生さんが5代目として代表取締役に就きました。美幸さんは会長として蔵を支えています。2024年時点では、松川の旧蔵の跡に販売店があり、斎藤湧生社長は松川の地域振興にもつなげたいと話しています。
酒造りの特徴
荒井の蔵の仕込み水は、2024年時点で13年連続して水質日本一に選ばれた荒川の伏流水です。分析では中軟水で、全国的にも珍しく硬度の高い水と分かりました(松川の水は超軟水でした)。福島大学の藤井力教授は、この水にカリウムが多く含まれるため、日本酒がすっきりと香り高く仕上がると説明しています。斎藤湧生社長は、口当たりが優しく酸が切れてすっきりした酒を目指して、水の性質を活かせるステンレスタンクを選び、タンクも従来の8000リットルから3000リットルへと小さくして、品質を管理しやすくしました。
移転で大きく変わったことが二つあります。一つは、福島県産の米だけで造ることです。新酒鑑評会で金賞を受賞しやすいといわれる兵庫県産の山田錦の使用をやめ、福島県オリジナルの酒造好適米「夢の香」「福乃香」をはじめとする地元の米を使っています。もう一つは、アルコールの添加を一切やめたことです。「全部地元のもので造りたい」という思いからの決断でした。松川の旧蔵では、主に福島市で採れた米を昔ながらの和釜で蒸し、2018年に福島市技能功労者の名誉杜氏から菅野和也さんへ杜氏が交代していました。
新しい蔵の仕込み室は断熱構造で冷房を備え、10月から翌6月頃までと通常より長い期間の仕込みができます。蔵名の「四季の蔵」は、四季醸造を始めたことに由来し、春夏秋冬それぞれの季節に応じた日本酒を届けたいという思いも込められています。造りの量は松川の時代より減りましたが、小さなロットで質の高い福島の酒を造る方針です。四季醸造は在庫管理やメンテナンスが楽になったと、斎藤湧生社長は話しています。
新しい取り組みも続いています。2024年には、慶應義塾大学と福島大学と連携し、被災した旧蔵の酒を新蔵の仕込みに使った熟成酒とNFTを組み合わせたプロジェクトを始めました。4合瓶3000本のうち2000本を冷蔵、1000本を常温で貯蔵して、味わいの変化を観察する実証です。福島市産の桃を使った微発泡のスパークリング「ちびもも」は、お酒が得意でない女性にも飲みやすい商品として生まれました。
代表銘柄
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金水晶
蔵の名を冠した主力銘柄です。平成19〜26酒造年度に全国新酒鑑評会で8年連続の金賞を受けた蔵の看板で、移転後は福島県産米だけを使い、アルコール添加をやめた純米造りに改めました。純米大吟醸や純米吟醸、純米酒などをそろえています。仕込み水の荒川の伏流水を活かし、口当たりが優しく酸が切れてすっきりとした味わいを目指しています。ラベルの意匠は、「金水晶」の文字を三角と丸の図形で表したモダンなデザインです。
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- 直売所
- 金水晶 四季の蔵の直売所(福島市荒井字上鷺99)。日本酒の販売のほか、有料の試飲、桃のスパークリング「ちびもも」、酒粕を使ったアイスクリーム、おちょこやTシャツなどのグッズを扱っています。
- 補足
- 農村公園「四季の里」の隣にあり、車でのアクセスがしやすい場所です。蔵見学は今後できるよう整備していく方針です(2024年3月時点)。営業日や時間は変わることがあるため、事前に蔵へ確認してください。
見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。
蔵の基本情報
- 所在地
- 福島県福島市荒井字上鷺99
- 創業
- 1895年
- 公式サイト
- kinsuisho.com
出典
japansake.or.jp / f-kankou.jp / fukunosake.com / sakenomy.jp / sakeworld.jp / wikipedia.org / ameblo.jp / kinsuisho.com / f-sake.com / mori-onlineshop.com / cjnavi.co.jp / sake-fukushima.jp / nta.go.jp / nrib.go.jp
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