SAKE BREWERY — OKAYAMA
丸本酒造
紹介
丸本酒造は慶応3年(1867年)に岡山県浅口市で創業した酒蔵です。原料米の自社栽培(自家栽培)に取り組む「ドメーヌ蔵」として知られ、全量自家栽培を目指す「農産酒蔵」を掲げています。無農薬・無化学肥料によるオーガニック栽培の山田錦などを用いた酒造りを行っており、有機JAS・NOP・EC Regulationといったオーガニック3大認証を取得しています。2003年(平成15年)には、現在も酒造りで使用されている木造の酒蔵群が岡山県内の酒造場で初めて国の登録有形文化財に指定されました。代表銘柄には、米本来の味わいを生かした「竹林」、歴史ある「賀茂緑(加茂緑)」、発泡性日本酒の「泡々酒」などがあります。
歴史
丸本酒造は慶応3年(1867年)、初代当主・丸本嘉之松によって岡山県浅口市鴨方町で創業しました。嘉之松は天保2年(1831年)生まれで、安政4年(1857年)に児島稗田で酒造業の経営に参加した後、水質の良さにちなんで「清水屋」の屋号を掲げて酒造りを始めています。以来、二代目・藤松、三代目・市松、四代目・皓三郎と代を重ね、現在は六代目当主・丸本仁一郎が経営にあたっています。昭和7年(1932年)には西貯蔵庫の新築時に掘った井戸から良質な湧水が得られ、この水は昭和37年の岡山国体の折に天皇・皇后両陛下のお茶の水にも供されました。組織としては昭和27年(1952年)に有限会社丸本酒造本店となり、昭和45年(1970年)に丸本酒造株式会社に組織変更しています。
酒造りが行われてきた木造の蔵群は幕末から昭和にかけて建てられたもので、田園と一体となった歴史的景観が評価され、平成15年(2003年)9月19日に岡山県の酒蔵として初めて国の登録有形文化財(文化庁第33-0066-0076号)に指定されました。現在もこの文化財の中で実際に酒造りが続けられています。
昭和61年(1986年)、23歳で蔵に戻った六代目当主は、決算書で酒の原価の半分以上を米代が占めている実情に危機感を抱き、自社での酒米栽培に着手します。昭和62年(1987年)から山田錦の自家栽培を開始し、翌昭和63年(1988年)にはこの自家栽培米を用いた大吟醸「竹林」を発売しました。当初は3反5畝の圃場からのスタートでしたが、現在は約20町・60枚を超える圃場にまで拡大しています。平成15年(2003年)11月28日には鴨方町が全国で初めて「酒米栽培振興特区」の認定を受け、酒造会社が直接原料米を栽培する体制がさらに後押しされました。同社は原料米の全量自家栽培による「農産酒蔵」を目標に掲げています。
自家栽培への取り組みは有機栽培の追求へとつながり、平成19年(2007年)に有機農産物生産行程管理者・有機加工食品生産行程管理者の有機認定(有機JAS)を取得しました。その後、米国農務省のNOP認証(National Organic Program)と欧州のオーガニック基準ECRegulationも取得し、有機認証の3大スタンダードをすべて揃えています。平成15年(2003年)11月には香港のCitySuperを通じて日本酒の海外輸出も開始しました。
酒造り
丸本酒造が最も重視するのは原料米です。購入米では品種・等級を指定できても圃場ごとの品質の違いまでは管理できないとの考えから、自社の田んぼで山田錦を栽培し、酒造りの現場に合わせた栽培設計を行っています。栽培にあたっては、稲を三度栄養不足の状態にして本来の生命力を引き出す「三黄(さんおう)」という農法を採用しています。田植え前・8月初旬の幼穂形成期・稲刈り期の3段階で稲を意図的に黄色く色づかせることで、倒伏を防ぎながら米へのタンパク質の過剰な蓄積を抑える狙いがあります。同社ではこれを、粒の大きな米を作るための施肥が結果的にタンパク質を増やしてしまう「タンパク矛盾」の解消策と位置づけており、全ての圃場で土壌分析を行った上で麹米用・掛け米用など目的別に作り分け、収穫・乾燥・保管までを区別する「選択収穫」を実施しています。
精米も自社の蔵内に設置した高精度の設備で行い、精米歩合70%で12時間、50%で48時間、35%になると80時間をかけて丁寧に磨き上げます。洗米・吸水には8度に調整した地下水を用い、吸水のばらつきを0.3%未満に抑える限定吸水を徹底しています。麹造りでは温度・湿度・重量をコンピューターで24時間管理しつつ、蔵人の手と目による確認を組み合わせています。
もろみは6度の低温で仕込みます。糖化と発酵が同時に進む「並行複発酵」と呼ばれる日本酒特有の工程で、もろみ一本ごとの個性に応じて管理されます。搾りには濾過圧搾機(ヤブタ)を使用し、商品によっては圧搾途中の「中汲み」を分離することもあります。生酒はマイナス5度、純米酒は10度など商品ごとに適した温度で貯蔵・品質管理を行うほか、25年以上の長期熟成酒をブレンド用にストックし、製品によっては古酒を掛け合わせる手法も取り入れています。スパークリング日本酒「泡々酒」もガスを添加せず、発酵によって生じた炭酸をそのまま生かして造られます。
蔵データ
代表銘柄
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竹林
1870円
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- 泡々酒
- 農産酒蔵
- 加茂緑
竹林:自社田で育てた山田錦を用いる看板銘柄で、蔵の東北にそびえる竹林寺山からの伏流水を仕込み水に用いることが名の由来です。「たおやか」「かろやか」「ふかまり」を軸に、有機栽培米を用いたオーガニックタイプなど複数の商品を展開しており、「ふかまり」は熟成感のある落ち着いた香りと米の旨味を伴うやや辛口の味わいが特徴です。
泡々酒:ガスを添加しない純米酒スパークリングで、平成15年(2003年)に瓶内二次発酵によるスパークリング日本酒として発売を開始しました。平成24年(2012年)には常温での流通が可能なタイプも発売し、発酵由来の炭酸を生かした軽やかな味わいが楽しめる、丸本酒造を代表するスパークリング銘柄です。
農産酒蔵:丸本酒造が掲げる「原料米の全量自家栽培」という目標を表す蔵のコンセプト名で、自社ブランドサイトも「農産酒蔵 竹林」の名で運営されています。酒米を購入するのではなく自ら田んぼで育てるという、農業と酒造りを一体で捉える同蔵の姿勢そのものを示す言葉として使われています。
加茂緑:竹林と並ぶ丸本酒造のもう一つの主要銘柄で、岡山県浅口市鴨方町の蔵で地元に根差した定番の地酒として飲み継がれてきました。昭和57年(1982年)の岡山県杜氏自醸清酒品評会では30年連続で優等賞を受賞し、杜氏が「大名人賞」に輝いた実績をもつ銘柄です。
見学・購入
なし
酒蔵での直売のほか試飲も可能で、商品の発送(国内のみ)にも対応しています。
現在、蔵見学は開催日が未定となっており、開催日は公式サイトのトピックスで告知されます。開催される場合は事前予約制で、午前(9:00〜11:00)・午後(14:00〜16:00)の回制、定員は1回10〜15名程度、中学生以上が対象(中高生は保護者同伴)で、登録有形文化財の保全料として1団体30,000〜50,000円(税込)が必要です。例年3月頃には「新酒しぼりたて即売会」が開催されてきました。
見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。
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出典
sakenomy.jp / japansake.or.jp / chikurin.jp / marumotoshuzou.com / kamomidori.co.jp / sakagura-press.com / sakedata.jp / kirari-okayama.jp / okayama-kanko.jp / nca.or.jp
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