新良酒造
代表銘柄:夢窓
三重県
MIE
1868年創業
三重県松阪市に位置する新良酒造株式会社は、明治元年(1868年)ごろに創業した酒蔵です。代々使用していた「千代の松」という銘柄から、南北朝時代の僧・夢窓疎石に因んで代表銘柄を「夢窓」へと変更しました。蔵元である新良成生氏が自ら杜氏を務め、全量純米酒の酒造りを行っています。
酒造りにおいては「米」へのこだわりが強く、富山の契約農家が栽培した五百万石を100%使用し、米本来の旨味や個性を引き出す仕込みを行っているのが特徴です。30年以上前から長期熟成古酒の製造に取り組んでおり、古酒の部ではIWCで2015年に銅メダル、2017年に銀メダルを受けています。
新良酒造の歩み
新良酒造は、三重県松阪市大黒田町に蔵を構える酒蔵です。創業は明治元年(1868年)ごろとされ、詳しいことは分かっていません。大和や熊野から伊勢へと続く旧街道が、山並みを越えて松阪の城下に入ろうとするあたりにあり、軒先に小さな杉玉を吊した店の奥へ、煙突のある醸造場と蔵が長く連なる、昔ながらの酒蔵の姿をとどめています。
2022年時点の当主は新良成生さんです。松阪に生まれ、上京して大学に進んだのち、台湾へ渡ったのをきっかけに、20代半ばから30代にかけてインドを何度も訪れた時期があります。蔵を継ぐと、自らの手で酒造りを始めました。自分は4代目にあたるとしながらも、気持ちは初代だと話します。父の代までは経営に専念する蔵元で酒造りはしておらず、蔵元が杜氏を兼ねるのは、三重県では新良さんが最初とされます。
酒造りを始めてからの2年ほどは、毎年蔵に来ていた麹屋について修行しました。その後は、自分の造りたい酒を追求する道に進みます。日本酒を飲む人が大きく減り、業界全体が構造不況にあった時代で、蔵の状態も良くはありませんでした。それでも、たくさん造る蔵と量を競い、売り上げの多い会社と金額を競っても意味がないと考え、業界の慣習にとらわれず、自分のやるべきことをやる道を選びました。
銘柄は、代々使ってきた「千代の松」から「夢窓」に改められました。南北朝時代の僧・夢窓疎石が伊勢の国の人であり、その思想や作庭が好きだという新良さんが、これにちなんで名付けたものです。蔵には「夢窓」のほか、「東海千代乃松」「一粒一滴」といった銘柄があり、長期熟成酒には「古色蒼然」の名を付けています。
内外での受賞経験も多い新良さんですが、今は賞にはあまり関心がないと言います。仏教用語の「安居」、つまり雨期に静かに修行して過ごすような気持ちで、一人で、ときには仲間が集まる中で、酒を造っているそうです。2025年8月に瓶詰めされた特別純米生原酒が同年秋に出回るなど、蔵の酒の出荷は続いています。
酒造りの特徴
蔵が醸すのは純米酒だけです。柱となるのは特別純米酒と、10年以上熟成させた長期熟成酒です。米は富山の契約農家が栽培する五百万石を使います。新良さんが目指すのは、米を最大限に活かした酒で、それが「自分好みの酒」です。そのため米は研ぎすぎず、特別純米生原酒の精米歩合は60%です。
仕込みに使う水は、蔵の井戸に湧く鈴鹿山脈から続く布引山系の伏流水で、清らかでまろやかな水です。この水があったからこそ先祖はここに蔵を建てたのだろう、と新良さんは話します。仕込みは毎年冬に行われます。同じように醸しても、その年の季候によって米も気温も違い、造る自分自身も変わるため、同じ酒にはなりません。様子をじっくり見ながら、最善を尽くす造りです。
酒は搾りはじめの「ふなくち」「あらばしり」から「中ダレ」を経て、搾りきる「セメ」まで、味わいがどんどん変わります。多くの蔵がこれを均一化して品質を管理するのに対し、新良さんはできるだけ、その時々の旨さを大事にします。ふなくちのガスを含んだようなフルーティーさと、セメのこくのある味わいは、同じ樽から搾った酒とは思えないほど違うといいます。蔵では壁や天井に木のスピーカーを仕込み、居室にはジャズ、蔵にはクラシックが低く流れます。仕込みの時期には、学生時代からの友人たちが手伝いに来ます。
蔵には、たくさんの古酒が貯蔵されています。経年変化を自分自身が見たかったことが、古酒を寝かせるきっかけでした。昭和63年(1988年)に仕込んだ酒は、30年の眠りから醒めて汲み出されると、金色に輝く酒になっていました。同じように仕込んでも、年によって色の濃さも味わいも異なり、古いほど濃いとは限らず、貯蔵の仕方でも変わります。それぞれの良さを楽しんでほしいという考えから、ブレンドはしていません。古酒は「古色蒼然」として10年、15年、20年の純米古酒が造られています。
夢窓にも、生のまま熟成させた特別純米生原酒の熟成バージョンがあります。長期熟成酒の古色蒼然は、IWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)のSAKE部門・古酒の部で、2015年に銅メダル(古色蒼然 1998)、2017年に銀メダルを受けています。
代表銘柄
夢窓
夢窓は新良酒造の代表銘柄で、南北朝時代の僧・夢窓疎石が伊勢の国の人であることにちなみ、「千代の松」から改められました。商品には特別純米酒と、生のまま寝かせた特別純米生原酒、その熟成バージョンがあります。熟成バージョンの特別純米生原酒は精米歩合60%、アルコール分18%で、米の旨みがどっしりと広がる濃醇な辛口です。冷やでも燗でも楽しめます。
見学・購入
- 補足
- 蔵の見学を希望する場合は、事前に蔵へ相談してください。
見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。
蔵の基本情報
- 所在地
- 三重県松阪市大黒田町130
- 創業
- 1868年
出典
gi-mie.jp / naveljapan.co.jp / sakenomy.jp / mie-sake.or.jp / jizake-mie.jp / saketime.jp / kotobank.jp / japansake.or.jp / nta.go.jp / sakeai.com
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