SAKE BREWERY — MIE

森喜酒造場

三重県伊賀市千歳41-2 1895年創業

紹介

三重県伊賀市に所在する酒蔵(合名会社森喜酒造場/森喜酒造株式会社)。1998年より醸造用アルコールを一切使用せず、米・麹・水のみで醸す純米酒のみを造る全量純米酒蔵である。創業当時からの銘柄「妙の華」のほか、漫画『夏子の酒』の作者・尾瀬あきら氏が命名しラベルイラストを手掛けた「るみ子の酒」、自社や地元契約農家で栽培した無農薬山田錦を使用する「英(はなぶさ)」、純米貴醸酒「おめかし」などを展開している。造りにおいては伝統的な「蓋麹法」による麹造りや和釜での蒸米のほか、酵母無添加による生酛・山廃仕込みを行うなど、機械に頼らない手造りの製法を取り入れている。香りは控えめで、常温や燗酒でも幅広い料理に寄り添い引き立てる食中酒を追求している。

歴史

森喜酒造場は明治28年(1895年)頃、三重県伊賀市千歳の地に創業しました。創業者の森喜啓一郎は、ある住職に蔵の敷地の井戸を掘り当ててもらい、以来の信仰から妙法蓮華経の文字を採って「妙の華」と名づけました。以来「妙の華」は創業当時から続く蔵の代表銘柄となっています。蔵は5代にわたって同じ一族によって営まれてきました。

転機となったのは1980年代末のことです。蔵元の長女として生まれ、大学卒業後は製薬会社に勤めていた森喜るみ子氏は、父が脳梗塞で倒れたことをきっかけに退職し、1989年から夫とともに蔵に入りました。当時、蔵は経営的にも厳しい状況にあり、るみ子氏は蔵元でありながら自ら杜氏として酒造りを一から学ぶ道を選びました。

そうした中で出会ったのが、尾瀬あきら氏の漫画「夏子の酒」でした。同じく造り酒屋の跡取り娘を主人公とする物語に感銘を受けたるみ子氏は、著者の尾瀬氏に手紙を送ります。これがきっかけとなり、尾瀬氏の紹介で埼玉県蓮田市の神亀酒造から酒造りの指導を受ける機会を得ました。1992年に仕込んだ純米酒は尾瀬氏自身によって「るみ子の酒」と名付けられ、ラベルイラストも尾瀬氏の描き下ろしとなりました。この経験を経て、森喜酒造場は1998年、醸造用アルコールを一切使用しない全量純米酒蔵へと転換しています。

2003年には朝日放送のテレビ番組「探偵!ナイトスクープ」で「爆発する酒」として紹介され、全国的に知られる契機となりました。杜氏職は2016年秋、るみ子氏から、2000年に入社し蔵人を務めてきた豊本理恵氏へと引き継がれ、豊本氏は蔵にとって2代目の女性杜氏となりました。るみ子氏の娘も蔵人として酒造りに加わっており、次世代への技術継承が進められています。

2022年8月には仕込み蔵の土壁が崩落し、老朽化した木造の大屋根も倒壊の危険がある状態と診断されました。蔵の存続をかけ、クラウドファンディングサービスREADYFORを通じて大屋根補修のための支援を募ったところ、目標額を大きく上回る419パーセント、675人の支援者から1258万7千円が集まり、修繕が実現しました。

酒造り

森喜酒造場の酒造りは、1998年より醸造用アルコールを添加しない純米酒のみに限られています。麹造りには「麹蓋」と呼ばれる小箱に米を盛り、約4時間ごとに積み替えて室内の温度差を均す「蓋麹法」を用いており、手間はかかるものの麹菌が均一に繁殖するとされています。蒸米は昔ながらの和釜とバーナーを用い、乾いた蒸気で外硬内軟に蒸し上げます。甑には米を薄く均一にまき、蒸気が抜けたら次の米をまく「抜掛け法」を採り、生蒸しやムラ蒸しを避けています。

2016年からは酵母を添加せず、蔵に棲みつく天然の乳酸菌と蔵付き酵母のみで酒母を育てる生酛・山廃仕込みも行っています。「英」をはじめとする一部銘柄では、蔵元自らと地元・伊賀の契約農家が栽培した無農薬の山田錦を用いています。除草剤や殺虫剤を使わないことで米自身の生命力を引き出し、肥料には酒粕のみを使うといった、栽培段階からのこだわりも特徴です。

現在の杜氏は、2016年秋にるみ子氏から引き継いだ豊本理恵氏で、年間の生産量は約300石という小規模な体制を保っています。目指す酒質は、香りを強く主張しすぎず、冷やでも燗でもさまざまな料理に寄り添える食中酒です。

蔵データ

所在地

三重県伊賀市千歳41-2

創業

1895年(三重県)

公式サイト

morikishuzo.co.jp

代表銘柄

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妙の華:森喜酒造場の創業当時から続く代表銘柄です。創業者が僧侶に井戸を掘り当ててもらった逸話にちなみ、法華経(妙法蓮華経)から文字を採って名付けられました。蔵の歴史そのものを体現する存在として、創業以来醸造が続けられており、現在も蓋麹法や和釜での蒸米など、蔵に伝わる手造りの製法によって仕込まれています。

るみ子の酒:漫画「夏子の酒」の作者・尾瀬あきら氏が1992年に命名し、ラベルイラストも手がけたシリーズです。経営難にあった蔵を継いだ蔵元杜氏・森喜るみ子氏が、同作に感銘を受けて著者に手紙を送ったことがきっかけで誕生しました。蔵の全量純米酒化を後押しした、再生の象徴といえる銘柄です。

おめかし:仕込み水の一部を日本酒に置き換えて醸す純米貴醸酒で、生もと仕込みで造られています。濃厚な甘みと酸味が織りなす深みのある味わいが特徴で、食前酒として、あるいは食後のデザート酒としても楽しめる一本として蔵のオンラインショップで紹介されています。

:地元・伊賀の契約農家と蔵元自らが栽培した、無農薬の山田錦のみを原料米として使用するシリーズです。無農薬栽培の米づくりを背景に持つ銘柄です。

見学・購入

蔵見学

あり(要事前確認)

補足

見学は事前予約制で、当日申込みや予約なしでの受付は行っていません。受付可能時間は平日・土曜の10時から12時、14時から17時で、日曜・年末年始(12月30日頃から1月5日頃)・お盆期間(8月13日頃から18日頃)は休業です。10月中旬から3月初旬の造りの期間は見学を控えるよう案内されています。見学料は1〜2名で2,000円、3名以上は1名増えるごとに1,000円が加算され、最大15名まで受け入れ可能です。試飲を希望する場合は予約時に申し出る必要があります。所在地は三重県伊賀市千歳41-2で、JR関西本線佐那具駅から徒歩約15分、名阪国道一之宮インターから車で約5分、駐車場は2〜3台分です。

見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。

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出典

gi-mie.jp / sake-times.com / mie-sake.or.jp / morikishuzo.co.jp / kikuno-co-ltd.jp / wikipedia.org / readyfor.jp / igaportal.co.jp / mlit.go.jp / sakenomy.jp

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