民宿とおの
代表銘柄:民宿とおののどぶろく・どぶきゅーる・権化
岩手県
IWATE
岩手県遠野市に位置する「民宿とおの」(運営:株式会社nondo、代表・佐々木要太郎氏)は、清酒ではなくどぶろくなどを造る醸造所です。遠野市が全国第1号の「どぶろく特区」に認定されたことを機に、2005年に民宿の敷地内でどぶろくの醸造を始めました。原料米には、戦後に栽培が途絶えていた遠野ゆかりの品種「遠野1号」をわずかな籾から復活させ、無農薬・無肥料の自然栽培で育てた米を使用しています。清酒の古典的な仕込みである「生酛」「水酛」を応用したどぶろく(濁酒)を醸しており、清酒の製造免許による商品はありません。
代表銘柄の「民宿とおののどぶろく」のほか、米糠まで醸す「その他の醸造酒」の「権化」シリーズや、林檎・白葡萄の果汁を合わせて糖類を加えずに造るリキュール「どぶきゅ〜る」なども展開しています。
民宿とおのの歩み
岩手県遠野市材木町の「民宿とおの」は、100年余り続いてきた民宿です。現在は4代目の佐々木要太郎氏が営み、酒造りは運営会社の株式会社nondoが担っています。民宿の隣にはどぶろくの醸造所「醸し田屋」があり、2011年9月には1日1組限定のオーベルジュ「とおの屋 要」を開業しました。宿の主人であり、米農家、醸造家、料理人でもあるという、一つの場所で米作りから酒造り、料理までを手がける造り手です。
遠野市は2003年に、全国に先駆けて「どぶろく特区」の第1号認定を受けました。佐々木氏が遠野に戻って家業の民宿を継いだのは2002年で、当時は父が特区の発起人の1人でもあり、自分の宿でもどぶろくを造ろうという流れのなかで関わり始めました。田んぼを借りて米作りを始め、2005年には民宿の敷地内でどぶろくの醸造を開始しています。経験がない状態から始めたため、日本酒蔵に通って助言を受けながら試行錯誤を重ね、現在のレシピが固まるまでには12年かかったと語っています。
原料米は、遠野の気候に合わせて開発された品種の「遠野1号」です。亀の尾を母に持つ品種ですが、戦後は栽培が途絶えて幻の米となっていました。佐々木氏はわずかな籾から約10年かけて増やし、どぶろくを醸せる量を収穫できたのは2008年のことでした。以来、無農薬・無肥料の自然栽培で育て、種も自家採取しています。2019年時点で、自社の田んぼは約3町歩に広がっていました。
2021年9月には、米糠を原料にした酒と、その搾り粕で造る酢の商品開発を目指してクラウドファンディングを実施し、目標の300万円を開始から6日で達成しました。米糠まで使い切る酒は「権化」シリーズとして販売されています。2021年時点では、どぶろくは年間25石、一升瓶でおよそ2,500本を手作業で仕込み、スペイン、イタリア、香港にも輸出していました。2025年時点では、コペンハーゲンのレストラン「ノーマ」など、海外の料理店でも使われています。
酒造りの特徴
醸している酒は、すべて自社の醸造所で造るものです。どぶろくは「濁酒」、権化シリーズは「その他の醸造酒」、どぶきゅ〜るは「リキュール」、DOBUROKU RAGE RAGERは「発泡酒」として販売されており、清酒の製造免許による商品はありません。いずれも民宿の隣にある自前の醸造所で、自分たちで育てた米や契約農家の米を使って醸しています。
どぶろくは、米と米麹と水を発酵させ、もろみを漉さずにそのまま詰めます。仕込みは協会酵母を使う速醸、江戸時代に開発された生酛、室町時代に造られた仕込みとされる水酛の3通りです。生酛は蔵に住みつく天然の酵母と乳酸菌に任せ、水酛は水と米だけで天然の乳酸菌を増やしてから酵母の繁殖を待ちます。2019年時点では、醪の期間は平均80日から100日と長く、米を溶かしきってから瓶詰めします。
開発当初は精米歩合60パーセントで造っていましたが、2019年時点では、田んぼの土が強くなったことで磨かなくてもきれいな味になると気づき、コイン精米に切り替えています。無添加の生酛・水酛は火入れをしない生酒で、速醸には火入れの商品もあります。
権化シリーズは、どぶろく造りで出る米糠までを醸した酒です。米糠には精白米の10倍から40倍の栄養成分が含まれ、土地の味は米糠にこそ表れるという考えが出発点で、水もと仕込みの木桶で、無添加・無濾過の生原酒として醸します。醪の期間は150日を超えます。焙煎した糠の「MARO」、燻した糠の「PEAT」、自然に滴り落ちる酒だけを詰めた「MO CHUISLE」、江戸時代の槽と200年前の古民家の柱を再利用した搾り道具を使う「Rafters」、生の糠を使い麹の割合を高めた「土の密℃」、唯一生酛で仕込む「権化生酛」があります。
このほか、どぶろくに岩手県産の林檎や白葡萄の果汁を合わせた「どぶきゅ〜る」、野生のホップを使った発泡酒、米酢、甘酒なども手がけています。米は自社田の遠野1号が中心ですが、盛岡市羽場の田村種農場が農薬と肥料を使わずに育てた五百万石で仕込む限定品もあります。
代表銘柄
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民宿とおののどぶろく
主に自社田の遠野1号を使い、民宿の隣の醸造所で醸すどぶろくです。仕込みは速醸、生酛無添加、水酛無添加の3通りで、原材料は米、米麹、水だけです。生酛は天然の乳酸菌と酵母に任せた複雑で野性味のある味わい、水酛はフルーティーな酸が特徴です。標準タイプのアルコール度数は9パーセントから12パーセントで、冷やしてもソーダ割りでも割り水燗でも楽しめます。生酒のタイプは冷蔵で保管し、開栓時にガス抜きが必要です。
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どぶろく速醸火入れに岩手県産の果汁を合わせた、リキュールです。名前は、どぶろくを使ったリキュールという意味から付けられました。糖類や糖液は加えず、米、米麹、果汁だけで醸します。果汁にどぶろくを合わせるという考え方で、果実ごとに専用のどぶろくを仕込みます。林檎と白葡萄があり、容量は300ミリリットル、アルコール度数は6パーセントです。この造り手は、フルーツ味のどぶろくとして世界で初めてのものだとしています。
権化
米糠までを使い切って醸す、nondoの米糠の酒のシリーズです。商品名称は「その他の醸造酒」で、原材料は米、米糠、米麹で、水もと仕込みを基本に木桶で醸した無添加・無濾過の生原酒です。糠を焙煎した「MARO」、燻した「PEAT」、江戸時代の槽で搾る「Rafters」、自然に滴り落ちた酒だけを詰めた「MO CHUISLE」など、糠の扱いと搾り方で味わいを描き分けています。
見学・購入
- 直売所
- nondoの公式オンラインショップ「non°」で、どぶろく、権化シリーズ、どぶきゅ〜る、米酢などを販売しています。
- 補足
- 宿泊は、遠野で古くから続く民宿とおのと、1日1組限定のオーベルジュ「とおの屋 要」があります。とおの屋 要では、自家製のどぶろくに合わせた発酵料理を味わえます。
見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。
蔵の基本情報
- 所在地
- 岩手県遠野市材木町2-17
出典
minshuku-tono.com / imadeya.co.jp / exblog.jp / reconstruction.go.jp / jizakenomarushin.com / tonoya-yo.com / nondo-tono.life / prtimes.jp / dobu-love.com / forbesjapan.com / camp-fire.jp / ippin.gnavi.co.jp / mini-mal.tokyo
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