浜田
代表銘柄:沖正宗・興譲・Faucon
山形県
YAMAGATA
1866年創業
山形県米沢市に所在する浜田株式会社は、1866年(慶応2年)に創業した酒蔵です。代表銘柄には「沖正宗」をはじめ、「興譲」、2019年に発売した「Faucon」などがあります。同社は日本酒の醸造にとどまらず、1970年代からブドウ栽培やワイナリー建設に取り組み、日本酒とワインの両方を手がける酒蔵としても知られています。酒造りにおいては、吾妻連峰から湧き出る豊かな伏流水を仕込み水として使用し、杜氏が選び抜いた酒造好適米を用いています。
長年受け継がれてきた伝統の技術と最新の設備を融合・調和させ、淡麗辛口の酒質を基本にした酒造りを続けています。2024年7月1日付で天童市の出羽桜酒造が全株を取得し、社名は存続したまま、同社の仲野益美社長が浜田の社長を兼ねています。
浜田の歩み
浜田家は、出羽の国の藤泉村沖と呼ばれた地に、名字帯刀を許されて五百年にわたり暮らした家柄です。慶応2年(1866年)、十八代五左衛門の時に酒造業を始め、先祖代々の地名にちなんで「沖正宗」を商標としました。創業は濱田五左衛門金吾と弟の徳翁によるもので、藤泉沖の地で酒造りが始まりました。
明治5年(1872年)に政府から酒造免許を取得し、明治21年(1888年)には東京新川の問屋と取引を始めて、二本松駅から出荷するようになりました。大正5年(1916年)に浜田酒造合資会社へ社名を改めた時期には、造石高が12,000石に達していました。昭和18年(1943年)の企業整備命令で第2・第3工場を残して他の工場が廃止され、昭和26年(1951年)には山形第3工場を第1工場に統合して本社工場としました。
昭和32年(1957年)に浜田合資会社を創立し、浜田酒造合資会社は浜田酒造株式会社に社名を変更して、ワイン醸造の研究に着手しました。昭和34年(1959年)には沖正宗酒造株式会社が創立され、昭和43年(1968年)に沖正宗株式会社へ社名を変更しています。昭和48年(1973年)にはブドウの垣根式密植栽培に成功し、浜田合資会社が浜田ワイン株式会社に社名を変更して果実酒の免許を取得しました。翌年には幹部社員11名をワイン研修のためフランスへ派遣し、取締役の濱田淳がボルドー大学に留学してワイン醸造を研究しています。
昭和51年(1976年)に「シャトーモンサン」を発売し、昭和52年(1977年)にワイナリーが竣工しました。
昭和55年(1980年)に「純米沖正宗」を発売し、昭和61年(1986年)には浜田ワイン株式会社が沖正宗株式会社を合併して浜田株式会社に社名を変更しました。同年12月に米沢市窪田町藤泉の旧浜田ワイン敷地内に新社屋が落成し、昭和62年(1987年)に移転して業務を始めています。平成8年(1996年)には清酒醸造蔵の「温故蔵」が完成し、2019年には新しい酒蔵が竣工しました。2019年6月には山形県産米だけで醸す「Faucon」から2品を先行して発売し、醸造年度の始まりの7月1日にシリーズ5種を発売しています。
経営面では、大阪のレゾンディレクションが保有していた浜田の全株を、2024年7月1日付で天童市の出羽桜酒造が取得し、出羽桜酒造の仲野益美社長が浜田の社長に就きました。社名は浜田のまま存続しています。2025年時点で、清酒の「興譲」やワイン、米焼酎を主な製品としています。
酒造りの特徴
仕込み水は、吾妻連峰から湧き出る豊富な伏流水です。この水で醸す酒は、うま味とコクのある独自の味わいになります。蔵のある米沢盆地は周囲を山々に囲まれ、夏はむせ返るような暑さ、冬は厳しい寒さに見舞われます。この寒暖の差がじっくりと時間をかけて酒を熟成させると、蔵は考えています。
原料米は、杜氏が自ら厳選して納得した酒造好適米を使います。蔵は、酒米の優れた条件として大粒で心白が大きいことを挙げています。酒質は昔から「淡麗辛口」を身上とし、蔵仕込みの大吟醸もその流れを汲む酒です。料理の味を邪魔せず、日本料理にも洋食にも合わせやすい酒を目指しています。造りの方針は「機械が行った方が良い作業は機械が行い、人が行った方が良い作業は人が行う」というもので、常にお酒を最優先とします。設備には回転式の自動洗米・浸漬装置、ステンレスパネルの麹室、圧搾機などがあります。
2019年に発売した「Faucon」は、山形県産の「雪女神」「出羽燦々」「出羽の里」「つや姫」を100パーセント使い、米ごとに適した精米歩合を追求した純米大吟醸と純米吟醸のシリーズです。ラベルにはワインのようにヴィンテージを記しています。全国新酒鑑評会では、平成14酒造年度以降に限ると入賞が4回あり、うち金賞は3回です。商標「沖正宗」で平成14酒造年度と平成20酒造年度に金賞、平成18酒造年度に入賞し、令和2酒造年度には「Faucon」の純米大吟醸 雪女神38 生貯蔵が金賞を受賞しました。
蔵の発表では、2020年8月31日にパリで開かれた第4回「Kura Master」で、「Faucon 出羽の里57 純米吟醸」が純米酒部門の金賞を受賞しています。2021年には、パリのミシュラン二つ星レストラン「La Scene」と一つ星レストラン「Mosuke」が、Faucon 雪女神38 純米大吟醸 生貯蔵の取り扱いを始めました。
浜田は清酒とワインの両方を醸すハイブリッドカンパニーで、清酒造りで培った醸造技術をワイン造りにも生かし、互いの品質向上のために情報交換も行っています。ワインは寒暖差が大きく砂地という米沢盆地の環境で育ったぶどうを使い、自家農園と契約農家の収穫したぶどうを仕込みます。2020年のJapan Wine Challengeでは、浜田のワインが銀賞1品、銅賞3品を受賞しました。
代表銘柄
沖正宗
創業以来の商標で、先祖代々の地名「沖」にちなみます。昭和55年(1980年)には「純米沖正宗」を発売しました。全国新酒鑑評会では平成14酒造年度と平成20酒造年度に金賞、平成18酒造年度に入賞しています。蔵が昔から身上とする淡麗辛口の酒質を受け継ぎ、料理の味を邪魔せず食事とともに楽しめる酒を目指す、蔵の看板となる銘柄です。
興譲
酒造好適米の山田錦と美山錦を使った、純米大吟醸と大吟醸のシリーズです。名前には、相手と心を通じ合わせるには譲る思いやりが最も大切だという「譲るを興す」の教えが込められています。その教えにしたがい、米、米麹、水それぞれの声に耳を傾けながら造る酒です。山田錦では、40パーセントと50パーセントまで磨いた純米大吟醸を揃えています。
Faucon
2019年に発売した、山形県産米だけで醸す純米大吟醸と純米吟醸のシリーズです。雪女神、出羽燦々、出羽の里、つや姫を使い、米ごとに精米歩合を変え、ヴィンテージをラベルに記します。名はフランス語で鷹を意味し、米沢藩主の上杉鷹山公にちなみます。令和2酒造年度の全国新酒鑑評会では、雪女神38 生貯蔵が金賞を受賞しました。
見学・購入
- 直売所
- 直売店の沖正宗ブティックは、2024年11月に休業しました。2026年10月時点で、再開の案内は出ていません。
- 補足
- 酒蔵とワイナリーの見学は、電話で問い合わせる案内になっています。ブティックの休業中は、受け入れの可否を事前に確かめてください。
見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。
蔵の基本情報
- 所在地
- 山形県米沢市窪田町藤泉943-1
- 創業
- 1866年
- 公式サイト
- okimasamune.com
出典
sakenomy.jp / wazaari.biz / okimasamune.com / wikitravel.org / e-yamagata.com / pon.sh / belluna-gourmet.com / yamagata-sake.or.jp / newscast.jp / atpress.ne.jp / yamacomi.com / nta.go.jp / nrib.go.jp / ynet.or.jp
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