加茂川酒造
代表銘柄:古時計・加茂川・久保桜
山形県
YAMAGATA
1741年創業
山形県西置賜郡白鷹町に位置する加茂川酒造(現・株式会社加茂川)は、江戸時代の寛保元年(1741年)に創業した歴史ある酒蔵です。大黒屋七四郎が酒造りを始めたのが起こりで、「加茂川」の名は京都からの流れを汲み、八代目が暖簾分けを受けた名と伝わります。酒造りでは伝統的な「生酛造り」を現代に継承しており、朝日連峰の伏流水や地元産の米(「さわのはな」など)を使用した地酒造りを信条としています。現行の主力銘柄は「加茂川」と「久保桜」です。
かつて販売した「古時計」は、1972年から1974年にかけて仕込まれた希少な貴醸酒(仕込み水の一部に清酒を用いたお酒)を、蔵内で長期間熟成させた貴醸大古酒で、キャラメルのような熟成香と濃厚な甘みが特徴でしたが、2018年4月に蔵元で完売しました。受賞歴としては、平成3年(1991年)および平成6年(1994年)の全国新酒鑑評会で金賞を受賞したほか、旧社名義で出品した「古時計」が2018年のIWC SAKE部門で古酒トロフィーを受賞しています。
2021年6月に設立された株式会社加茂川が事業を引き継ぎ、2022年から新体制で酒造りを再開しており、伝統を守りながら酒造りを続けています。
加茂川酒造の歩み
加茂川は、山形県西置賜郡白鷹町の鮎貝に蔵を構える酒蔵です。創業は寛保元年(1741年)で、大黒屋七四郎が酒造りを始めたのが起こりです。以来、当主が代々その名を継ぎながら280年を超えて酒造りを続けてきた、白鷹町で唯一の酒蔵です。「加茂川」の名は京都からの流れを汲むもので、八代目が丁稚奉公に出て暖簾分けを受けた名と蔵では語り継がれています。白鷹町は、かつて最上川の舟運の船着場として京とつながっていた町です。
この蔵を語るうえで欠かせないのが貴醸酒です。貴醸酒は、水の代わりに日本酒を使って仕込む特殊な酒です。蔵では、国賓をもてなす酒をという機運が高まった時期に、十二代当主の鈴木七四郎が1972年から3年間にわたって貴醸酒の仕込みに取り組みました。その酒は蔵の奥でゆっくりと熟成が進み、のちに「古時計」の名で少量が販売され、2018年4月に蔵元で完売しました。旧社の名義で出品されたこの酒は、2018年のIWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)のSAKE部門で古酒トロフィーを受賞しています。
この酒は、木箱と和紙に収めた「KUROKOHAKU」として、2025年7月時点では専用サイトで販売されています。
全国新酒鑑評会では、平成3年と平成6年に金賞を受賞しています。1990年代には、白鷹町産の米「さわのはな」をめぐる出来事がありました。1993年に「はえぬき」が誕生し、その後さわのはなの種子は作られなくなりました。地元の酒蔵がさわのはなで出品した酒が鑑評会で受賞していたことから、この米を自分たちの手で作り、酒蔵で純米大吟醸にしようという「蔵人考」プロジェクトが1996年に始まりました。組頭は第1回から小室等さんが務め、2019年には21回目を数えました。
のちに十四代の鈴木一成さんが杜氏を引き継ぎ、酒造りを立て直しました。東日本大震災の際には、燃料や物資の不足から仕込みを2週間延期しましたが、生酛の酒母は持ちこたえました。一時は生酛づくりから離れた時期もありましたが、2017年に復活させました。
しかし日本酒の消費の低迷に新型コロナウイルス感染症の影響が重なり、経営は悪化しました。そこで、鈴木家と親戚の間柄にある米沢市の酒類卸「小島洋酒店」が主な出資者となり、2021年6月に新会社「株式会社加茂川」が発足しました。新会社は土地と建物、酒造免許、商標、従業員を引き継ぎました。旧会社の加茂川酒造は債務を残して清算することになり、2022年1月24日に地裁米沢支部から破産手続き開始決定を受けました。社長には小島一晃さんが就き、杜氏には蔵の向かいで酒類小売の「ヤマシチ商店」を営む鈴木広貴さんが迎えられました。
2022年3月24日に酒蔵で祈祷式が行われ、小島社長は貴醸酒などの継承と、地元の人に誇りに感じてもらえる酒蔵を目指す決意を述べました。新体制での最初の仕込みは、同年4月に始まっています。2026年時点でも、株式会社加茂川として白鷹町鮎貝の蔵で酒造りを続けています。
酒造りの特徴
酒造りの柱は生酛づくりです。生酛は、乳酸を人工的に添加せず、蔵に棲む乳酸菌が自然に繁殖するのを待って酒母を育てる昔ながらの手法で、手間と時間がかかります。蔵は生もと造りを伝承しており、いったん廃れた時期を経て2017年に復活させました。2019年時点では、仕込み水に別表社八幡宮の宮水を使い、精選した地元産の米を磨いて醸していました。旧会社の時代には、朝日連峰の伏流水と地元の米、地元の人の手による酒造りを信条に掲げていました。
中心となる米は、白鷹町産のさわのはなです。倒伏しやすく育てにくい米で、2019年時点では、種子が作られなくなった1995年から22年にわたり契約栽培で守られてきました。蔵人考では、町内で水稲を手がける農家の指導のもと、参加者が田植えと稲刈りを行い、冬の寒仕込みと3月の蔵出しまでを体験します。生酛づくりのタンク1本で仕込むため、酒の味は年ごとに異なります。
貴醸酒の技は、いまの商品にも生きています。「貴醸酒 加茂川 2018」は、蔵から半径2キロメートル以内の田んぼで採れたさわのはなを使った、10年熟成の生酛純米古酒を仕込み水の代わりに用いた貴醸酒です。アルコール度数は16度で、容量は720ミリリットルです。
銘柄は「加茂川」と「久保桜」が中心で、生酛の純米吟醸「カクシチ八起」もあります。久保桜では、山田錦を使った純米大吟醸原酒と、雪女神を使った純米吟醸が蔵元のおすすめです。
代表銘柄
古時計
1972年から1974年の3年間だけ仕込まれた純米の貴醸酒をブレンドし、蔵の中で長く熟成させた大古酒です。深い琥珀色をしていて、とろみのある甘味と味の凝縮感、キャラメルのような熟成香、長い余韻があります。原料米は山形県産のさわのはなで、精米歩合は65パーセント、アルコール度数は16度です。2018年4月に蔵元で完売し、この名での販売は終わっています。旧社の名義で出品され、2018年のIWC SAKE部門では古酒トロフィーを受賞しました。
加茂川
蔵名と同じ名の、蔵を代表する銘柄です。手造り純米の加茂川は、白鷹町産のさわのはなを60パーセントまで磨いて仕込み、アルコール度数は15度、日本酒度はプラス5、酸度は1.8です。すっきりとした飲み口に仕上がっています。熟成の技を生かした貴醸酒の加茂川2018は、10年熟成の生酛純米古酒を仕込み水の代わりに用いた一本です。
久保桜
加茂川とならぶ、蔵のもう一つの代表銘柄です。純米大吟醸原酒は山田錦を40パーセントまで磨いて仕込み、アルコール度数は16度、日本酒度はマイナス1で、風味豊かな味わいとキレの良さが引き立ちます。純米吟醸は雪女神を50パーセントまで磨き、アルコール度数は15度、日本酒度はプラスマイナス0で、フルーティさとすっきり感のある飲み口です。
蔵人考
白鷹町で育てたさわのはなを使い、地元の蔵で醸す純米大吟醸です。参加者が田植えと稲刈り、仕込みを体験するプロジェクトとして1996年に始まり、2019年には21回目を迎えていました。生酛づくりのタンク1本で仕込むため、味わいは年ごとに異なります。香りが穏やかで、生酛らしいしっかりした酸度と旨味、キレがあり、長く飲んでも口飽きしないと評されてきました。
蔵の基本情報
- 所在地
- 山形県西置賜郡白鷹町大字鮎貝3258
- 創業
- 1741年
出典
yamagata-sake.or.jp / relay.town / ameblo.jp / autabi.com / samidare.jp / hinoki-net.co.jp / kanamori.ne.jp / note.com / makuake.com / kamogawa1741.com / kurokohaku.com / haretoke.biz / yamacomi.com / yonezawakojokan.info / web.archive.org / internationalwinechallenge.com / saketimes.jp
本ページは自動収集した情報を編集したものです。公開資料に基づく記事で、現地取材・実飲による評価ではありません。内容に関するご指摘はお問い合わせへお寄せください。