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岡村酒造場

代表銘柄:千鳥正宗・三福田・三田壱

兵庫県

HYOGO

1889年創業

岡村酒造場は、兵庫県三田市木器に位置する酒蔵で、代表銘柄は「千鳥正宗」です。明治22年(1889年)に創業し、130年以上の歴史を持つ三田市唯一の酒蔵です。当主自らが杜氏を務め、約3,000坪ある自家田で「五百万石」や「赤米」などの原料米を自家栽培して酒造りを行うなど、米作りから販売までを手掛ける6次産業に取り組んでいます。三田の恵まれた気候風土や水・米を生かし、お米の旨味とコクがある味わい深い日本酒を生み出しているのが特徴です。

代表銘柄の「千鳥正宗」をはじめ、「三田壱」「三福田」「羽束山」「有馬富士」といった清酒のほか、赤米を使ったお酒や地元の梅を使用したスピリッツ「うめ〜ぇさんだ」など多様な商品を展開しています。

岡村酒造場の歩み

岡村酒造場は、兵庫県三田市木器にある酒蔵で、銘柄は「千鳥正宗」です。蔵の歩みは文久元年(1861年)にさかのぼり、当時の有馬郡高平村木器で、初代の岡村幸平が醤油醸造を営みました。2代目の栄吉の代に酒造を始め、蔵の創業は明治22年(1889年)です。以来130年以上にわたって酒造りを続け、現在は6代目の当主が杜氏を務めています。

銘柄は古くは「山草正宗」でしたが、大正10年(1921年)に「千鳥正宗」へ改めました。飲み口の軽やかなほろ酔いの酒にちなむ名です。千鳥は縁起のよいものとされ、茶道の懐石には、正客から亭主へ、さらにその次の客から亭主へと酒を酌み交わす「千鳥」の作法があります。明治の中頃、いまの三田市域には14軒の造り酒屋があって最盛を誇りましたが、今も酒造りを続けているのはこの蔵だけで、三田市唯一の酒蔵です。特定名称酒の「三福田」「羽束山」「有馬富士」の名は公募で選ばれ、2010年から使われています。

戦後の高度経済成長期には、大手の酒蔵から委託を受けて造り、納め先の銘柄で売られる「桶売り」も手がけていました。冬には杜氏や蔵人が5〜6人住み込みで働いていましたが、日本酒の需要に陰りが見えるなか、5代目の隆夫さんは一人でも醸造できるよう機械化を進めました。生産量を減らし、昭和50年代には家族と手伝ってくれる近所の人だけで造るようになりました。

2022年には、東京農業大学短期大学部で醸造を学び、20年以上にわたって父の隆夫さんと二人三脚で酒を造ってきた岡村理恵さんが6代目当主を継ぎました。2023年度には市の技能金蘭賞を受けています。2024年12月には「伝統的酒造り」がユネスコ無形文化遺産に登録されました。当主の理恵さんは、6代続いた蔵で働いてくれた蔵人や地域の人など、関わってきたすべての人の思いをつなげていきたいとしています。

江戸末期に建てられた蔵の建物は、2014年に兵庫県景観形成重要建造物に指定されました。三田市で唯一の酒蔵として、農村部における近代酒造業建築の形態が良好に保たれ、茅葺の母屋と酒蔵(口蔵・奥蔵)が地域の景観づくりに重要な役割を果たしていると位置づけられています。茅葺の母屋の屋根は、2016年2月から6月にかけて30年ぶりに葺き替えられ、茅は世界遺産の白川郷のある飛騨から運ばれました。

酒造りの特徴

酒米づくりから販売までを手がける6次産業に取り組んでいます。約3,000坪(およそ1ヘクタール)の自家田では、酒造好適米の「五百万石」と、古代米の赤米を育てています。令和8年(2026年)からは、兵庫県が開発した高温障害に強い酒造好適米「Hyogo Sake 85」の栽培も始めました。中山間部の急斜面の田では、4月から10月ごろまでに全部の田で畦草刈りを5回行います。赤米は晩生品種で出穂が遅く、バインダーで刈り取って稲木に掛けて干し、ハーベスターで脱穀します。

酒造りの一年は、9月の酒米の稲刈りが終わった後、10月に蔵の柱からタンク、道具までを洗う掃除から始まります。10月下旬に精米工場から米が届き、10月下旬から11月にかけて仕込みが始まります。11月下旬に新酒のもろみを搾り始め、12月上旬に新酒を発売し、1月下旬から2月に火入れをして一段落します。2022年時点では、醸造は11月から翌年1月末までで、年に約1万8千リットルを造っており、ほとんどが三田で流通していました。

蒸した米を布の上に広げてほぐし、麹菌を振って麹室で麹を造る作業は、2022年には当主の理恵さんと姉の二人が手作業で行っていました。2023年の仕込みでは、大手のような空調設備はなく、タンクの周りに巻いた管に冷却水を通して適温を保っていました。

冬季限定の新酒は、火入れもろ過も一切せず、搾ったままの酒を瓶詰めする生酒です。瓶の底におりが沈んでいます。赤米の酒は、市民から寄せられた一束の稲穂をきっかけに、近くの農家に相談して赤米作りを始めたことから生まれました。「古代しぼり」は、近年の酒が高精米であるのとは逆に、赤米の玄米を使い、少し酸味のある独特の味と香りに仕上げた酒です。2026年3月20日には、赤米とワイン酵母で仕込んだ発泡性の生酒「咲蔵」を発売しました。

純米酒「三田壱」は、青野ダム(三田市加茂)の堤体内で貯蔵する取り組みにも使われています。ダム内は一年を通じて温度が16度前後で一定で、光も当たらないため、酒の貯蔵と熟成に向いています。兵庫県の阪神北県民局が、管内の3つの酒蔵と2025年に始めた取り組みです。2025年・2026年とも3月に蔵入れし、2025年は9月に蔵出ししました。2026年も100本を貯蔵しました。また2005年3月1日には、三田産の梅を日本酒に加えて蒸留したスピリッツ「うめ〜ぇさんだ」を発売しています。三田市の助言を受けて開発した製品です。

代表銘柄

千鳥正宗

蔵の代表銘柄で、原酒、金冠、銀冠の3種があります。いずれも米、米麹、醸造アルコールを原料とし、精米歩合は70パーセントです。原酒は濃醇辛口でアルコール度が18度以上19度未満と高めで、ロックやぬる燗、常温に向きます。金冠は辛口で熱燗向き、銀冠は濃醇なやや辛口でアルコール度は15度以上16度未満と低めです。

三福田

蔵の最高位にあたる純米大吟醸です。三田産の酒造好適米「山田錦」を50パーセントまで精米し、米と米麹だけで仕込みます。アルコール度は15度以上16度未満で、濃醇ながら上品なやや甘口の味わいです。冷酒か常温で楽しむ酒です。720ミリリットル瓶と1.8リットル瓶があり、米の旨味が生きた本格派として、吟醸酒好きの人にすすめられています。

三田壱

自家田で収穫した五百万石を使い、70パーセントまで精米した純米酒です。米の旨味とこくを存分に味わえる濃醇旨口で、アルコール度は16度以上17度未満です。冷酒、熱燗、常温のどれでも楽しめます。生純米酒は要冷蔵で、香りのよさを打ち出しており、2026年1月24日から発売されました。青野ダムでの貯蔵酒にも使われ、オリジナルラベルにも対応しています。

羽束山

醸造アルコール入りの本醸造で、精米歩合は70パーセントです。芳醇で上品なこくがあり、甘くなく辛くなく中口に仕上げています。アルコール度は17度以上18度未満とやや高めで、ロックや冷酒、ぬる燗、常温と幅広い飲み方に向きます。原材料は米、米麹、醸造アルコールです。900ミリリットル瓶で販売しています。

有馬富士

醸造アルコール入りの本醸造で、精米歩合は70パーセントです。芳醇で上品なこくを持ちながら、やや甘口で飲みやすく仕上げています。アルコール度は15度以上16度未満と控えめです。冷酒、熱燗、常温のどれでも楽しめ、原材料は米、米麹、醸造アルコールです。720ミリリットル瓶で売られています。

見学・購入

蔵見学
なし
直売所
店頭で販売しています。営業時間は8時30分から19時、休業日は月曜日(12月は無休)です。電話やメールでの注文と、全国への発送にも対応しています。
補足
通常、蔵内の見学は受け付けていません。敷地内には、茅葺家屋の廃材を再利用して作った古代室があり、コーヒーや、酒粕を使ったパウンドケーキを楽しめます。冷暖房設備はなく、自然の風のなかで過ごします。2024年9月のさんだまち博では酒蔵見学や利き酒会、茶道体験が催され、2025年10月のさんだまち博では赤米の収穫と稲木かけの体験が行われました。JR三田駅から小柿行きのバスで約18分、木器バス停から徒歩約10分です。

見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。

蔵の基本情報

所在地
兵庫県三田市木器340
創業
1889年
公式サイト
www.eonet.ne.jp

出典

sakedata.jp / japansake.or.jp / eonet.ne.jp / sakagura-press.com / kobe-np.co.jp / pref.hyogo.lg.jp / camcamnet.com / hanshin-agripark.com

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