簸上酒造
代表銘柄:玉鋼・七冠馬
島根県
SHIMANE
1712年創業
1712年に島根県奥出雲で創業し、1910年に町内の三軒の酒蔵が合併して現在の組織(簸上清酒合名会社)となりました。現代の日本酒造りで広く用いられている「泡無酵母」の発祥の蔵としても知られています。酒造りでは斐伊川の伏流水と地元の酒米(五百万石や改良雄町など)を使用し、控えめな香りとまろやかな旨味、すっきりとした後ギレの良さを兼ね備えた食中酒を醸しています。代表銘柄の「七冠馬」は史上初の七冠を達成した競走馬シンボリルドルフ号に、「玉鋼」は奥出雲に伝わるたたら製鉄の和鉄に由来します。
全国新酒鑑評会での金賞やインターナショナル・ワイン・チャレンジ(IWC)での金メダル、Kura Masterプラチナ賞など、国内外で多数の受賞実績があります。
簸上酒造の歩み
簸上清酒合名会社は、江戸時代中期の元号「正徳」にあたる正徳2年(1712年)、屋号「冨田屋」として、現在の島根県奥出雲町横田にあたる地で創業したと伝えられています。同じ仁多郡内には当蔵を含め五軒の酒蔵があったと伝えられ、古くから酒造りが盛んな地域でした。明治28年(1895年)、十二代田村権次郎の代に酒造りが免許制となり、交付を受けています。明治43年(1910年)には町内の三軒の酒蔵が合併し、現在の「簸上清酒合名会社」の形になりました。
看板銘柄「簸上正宗」は、この頃から続く銘柄として、長い年月にわたり地元のお客様に愛され続けています。
酒造りの技術面では、昭和37年(1962年)、十四代田村浩三が、通常なら高く泡が立つはずの仕込み桶の一つに泡が立たないことに気づいたことから、大きな発見につながりました。浩三はこの醪を東京滝野川にあった醸造試験所(現在の酒類総合研究所)に持ち込み、当時技官だった秋山裕一氏(後に日本醸造協会会長)による研究・改良を経て、現在の協会泡無酵母が生まれました。泡が立たないため泡守りの作業が不要になり、タンクの仕込み量も増やせるようになったこの酵母は、今では全国の多くの酒蔵で使われています。
1996年には、発見当時に蔵があった跡地に「泡無酵母発祥之地」と刻まれた石碑が建立されました。
昭和41年(1966年)には、それまで蔵があった横田町六日市(現在の奥出雲町)から現在の場所へ蔵を移転しました。斐伊川に近い旧蔵地はしばしば洪水の被害を受けていたため、安定して酒造りを続けるための移転でした。
奥出雲地方は良質な砂鉄が採れる土地で、伝統の製鉄法「たたら製鉄」で作られる和鉄「玉鋼」は、日本刀の原料として刀匠に供給されてきました。たたら製鉄は昭和52年(1977年)に地元横田町で復活し、この地域の伝統産業にちなんだ大吟醸クラスの銘柄「玉鋼」が昭和62年(1987年)に誕生しました。
全国新酒鑑評会では、平成14酒造年度以降の記録で18回入賞しており、当初「簸上正宗」の名で出品していた平成17酒造年度に金賞を受賞したのを皮切りに、「玉鋼」の名に切り替えてからも平成27酒造年度、令和2酒造年度、令和3酒造年度、令和7酒造年度にそれぞれ金賞を受賞しています。玉鋼は全国新酒鑑評会で5年連続の金賞を受けています。
もう一つの看板銘柄「七冠馬」は、1980年代に彗星のごとく現れた競走馬シンボリルドルフに由来します。デビュー翌年に史上初めて無敗でクラシック三冠を達成し、通算では当時史上最多となるGⅠ7勝を挙げたことから「七冠馬」と呼ばれた名馬です。シンボリルドルフを生産したシンボリ牧場のオーナー和田家と、当蔵の蔵元田村家の十五代田村明男の妹が1986年に結婚したことで両家は親戚関係となり、その10年後にあたる1996年に「七冠馬」が発売されました。
現在は当蔵の主力銘柄として、国内だけでなくアジアやヨーロッパなど世界各国にも展開しています。現在の代表は十五代田村明男が務め、令和4年(2022年)には黄綬褒章を受章し、島根県酒造組合の会長も担っています。16代目となる田村浩一郎が次期蔵元として蔵を支えています。
酒造りの特徴
当蔵が目指す酒質は、華やかさや強い甘みを前面に出すのではなく、控えめな香りとお米由来のまろやかな旨味、しっかりとした後ギレのよさをバランスよく兼ね備えた食中酒です。食事の主役にもなり、他の料理を引き立てる脇役にもなるような、飲み飽きしないお酒を造ることを大切にしています。仕込みには出雲杜氏の技が用いられ、燗をつけても味わいが崩れにくい、しっかりとした酒質に仕上がります。
この燗映えのよさは全国燗酒コンテストでも評価されており、令和2年(2020年)にはお値打ち熱燗部門で最高金賞、特殊ぬる燗部門で金賞を受賞し、令和3年(2021年)にもそれぞれの部門で金賞を受けました。令和7年(2025年)の同コンテストでは、全5部門中4部門で金賞を受賞しています。
仕込み水には、船通山を水源とする斐伊川のやや軟質な伏流水を使用しています。酒米は、地元奥出雲産の五百万石をはじめ、改良雄町など地元や近隣で収穫される良質な酒造好適米を中心に用いており、大吟醸クラスの商品には兵庫県産山田錦を使用することもあります。酵母は当蔵で発見された協会泡無酵母を使い分けており、普通酒や一部の純米酒には701号、純米大吟醸から純米まで幅広い商品には901号、上位の大吟醸には主に1801号を用いています。
令和元年(2019年)に始まった島根県新酒品評会では、第1回の吟醸酒部門で「玉鋼」が1位に選ばれて最優秀酒となり、島根県知事から知事賞を受けています。広島国税局清酒鑑評会では、同じ令和元年に吟醸酒部門(「玉鋼」)と純米酒部門(「七冠馬」)の両方で優等賞を受賞しました。フランスで開催されるKura Masterでは、令和3年に「七冠馬」の特別純米が純米酒部門でプラチナ賞を受賞したのに続き、令和4年と令和5年(3銘柄)にも「七冠馬」がそれぞれ金賞を受けています。
インターナショナル・ワイン・チャレンジ(IWC)では、平成20年(2008年)に「玉鋼」が大吟醸・吟醸部門で金メダルとあわせて島根県のトロフィーを受け、平成23年(2011年)にも金メダルを受賞しました。令和8年に発表されたIWC2026でも、大吟醸の部で「玉鋼」が金メダルを、純米大吟醸の部で「七冠馬」が銀メダルを、フレーバー酒の部で「ななかんば 梅酒」が大会推奨酒を受賞しています。
当蔵の酒は、こうした受賞を重ねながらアジアやヨーロッパを中心に海外へも輸出されています。近年は、これまで大切にしてきた酒質や価値観を守りながらも、新しい酒造りへの取り組みを続けています。瓶内で二次発酵させる微発泡タイプの日本酒や、白麹を使った爽やかな味わいの商品を商品化しているほか、これまで使ったことのない酒米や酵母を取り入れる試みも行っています。
代表銘柄
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玉鋼
奥出雲の伝統産業「たたら製鉄」の和鉄「玉鋼」にちなむ大吟醸クラスの銘柄で、昭和62年(1987年)に誕生しました。全国新酒鑑評会では平成27・令和2・令和3・令和7酒造年度に金賞を受賞し、令和元年の広島国税局清酒鑑評会でも吟醸酒部門優等賞を受けています。インターナショナル・ワイン・チャレンジ(IWC)では平成20年に金メダルと島根県のトロフィーを、平成23年に金メダルを、令和8年のIWC2026でも金メダルを受賞しました。兵庫県産山田錦を精米歩合35%まで磨き、袋取り・斗瓶囲いで搾る逸品です。
七冠馬
20世紀最強と称された競走馬シンボリルドルフにちなみ、シンボリ牧場の和田家と蔵元田村家の姻戚関係を機に1996年に誕生した主力銘柄です。定番の純米酒には地元奥出雲産の五百万石を使用しています。令和元年の広島国税局清酒鑑評会で純米酒部門優等賞を受け、令和3年のKura Masterでは特別純米が純米酒部門プラチナ賞を受賞しました。令和7年の全国燗酒コンテストでは5部門中4部門で金賞を受け、令和8年のIWC2026でも純米大吟醸の部で銀メダルを受賞しています。
楽天で商品を見る見学・購入
- 蔵見学
- あり(要事前確認)
- 直売所
- 蔵での直接購入のほか、蔵元直送のオンラインショップでも購入できます。
- 補足
- 蔵見学と試飲は常時は行っておらず、希望する場合は事前に蔵へご相談ください。蔵の都合により対応できない場合があります。例年4月には、入場無料の「蔵開き」イベントも開催しています。
見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。
蔵の基本情報
- 所在地
- 島根県仁多郡奥出雲町横田1222
- 創業
- 1712年
- 公式サイト
- sake-hikami.co.jp
出典
japansake.or.jp / okuizumo.org / sake-hikami.co.jp / iimono-shimane.jp / meimonshu.jp / sakagura-press.com / en.sake-hikami.co.jp / shimane-sake.or.jp / nta.go.jp / nrib.go.jp
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