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稲見酒造

代表銘柄:葵鶴

兵庫県

HYOGO

1889年創業

稲見酒造の建物
稲見酒造の建物(2011年撮影)「Shiba-machi,Miki,Hyogo 兵庫県三木市芝町稲見酒造 DSCF8272.jpg」 — 写真:松岡明芳 / CC BY-SA 3.0縮小・WebP変換

兵庫県三木市の歴史ある「湯の山街道」沿いに蔵を構える稲見酒造は、1889年(明治22年)創業の酒蔵です。「品質本位」を社是に掲げ、酒米の王様である「山田錦」の一大生産地(特A地区)という恵まれた風土を生かした酒造りを行っています。代表銘柄の「葵鶴(あおいつる)」は、全国の酒造から信仰を集める京都・松尾大社の神紋「葵」と、瑞鳥である「鶴」にちなんで命名されました。

造りの特徴として、低温発酵によって米の旨味を引き出した、まろやかな旨口の味わいを追求しています。また近年では長期熟成酒(熟成古酒)の製造にも注力しており、国内外で高い評価を得ています。受賞歴としては、フランスで開催された日本酒コンクール「Kura Master 2024」にて「純米大吟醸 酒壺」がプラチナ賞、「AOI CLASSIC」が金賞を受賞したほか、インターナショナル・ワイン・チャレンジ(IWC)などの品評会でも受賞実績を重ねています。

稲見酒造の歩み

稲見酒造は1889年(明治22年)に、兵庫県三木市の湯の山街道沿いで創業しました。湯の山街道は、羽柴秀吉が三木城主の別所長治と戦った際に、傷ついた兵を有馬温泉(湯の山)へ送るために整備したと伝わる道です。江戸時代には西国からの参勤交代や温泉客でにぎわいました。創業のころは周辺にも造り酒屋が多くありましたが、いまこの街道で酒造りを続けているのは稲見酒造だけで、三木市内で唯一の酒造会社でもあります。

三木は、酒米の王様と呼ばれる山田錦の特産地です。ミネラルを豊富に含む粘質の土壌があり、六甲山の裏にあたる盆地の気候と、小さな川を挟んでなだらかに広がる丘陵地の水田が、背が高く倒れやすい山田錦を丈夫に育てる環境を整えています。稲見酒造は創業以来「品質本位」を社是とし、この土地の山田錦を生かした、まろやかな旨口の清酒を身上としています。銘柄の「葵鶴」は、酒造の神様として信仰を集める京都・松尾大社の神紋「葵」と、めでたいことの前触れとされる瑞鳥「鶴」を合わせて名付けられました。長く地元の人々に飲まれてきた地酒です。

近年は長期熟成酒にも力を入れています。「葵鶴 大吟古酒」はイギリスのインターナショナル・ワイン・チャレンジ(IWC)の古酒の部で、2016年、2017年、2020年、2021年に銅メダル、2022年と2023年には2年続けて銀メダルを受けました。2024年のフランスの日本酒コンクール Kura Master では、「純米大吟醸 酒壺」が純米大吟醸酒部門でプラチナ賞、20年熟成の「AOI CLASSIC」が古酒部門で金賞に選ばれました。

2025年のIWCでは25年熟成の「葵2000」が、2026年のIWCでは熟成古酒「熟」が、それぞれ銅メダルを受けています。

地元との取り組みも続けています。2021年には三木市と協力し、三木産山田錦100パーセントの純米大吟醸を新成人向けに限定製造しました。ラベルには「MIKI20 三木で育ちました。」と印字され、市の新成人のうち289人がこの日本酒を選んでいます。2026年には、三木城をめぐる戦国時代の三木合戦にちなんだラベルの純米吟醸「三木合戦」を、三木の酒米100パーセントで発売しました。

蔵の建物も歴史を伝えています。2025年11月、国の文化審議会は稲見酒造の店舗兼主屋、土蔵、熟成蔵、瓶場兼貯酒庫、煙突、巽塀、黒塀の7件を、登録有形文化財(建造物)に登録するよう答申しました。店舗兼主屋と土蔵は昭和4年頃、熟成蔵と黒塀は明治中期、瓶場兼貯酒庫は大正後期、巽塀は昭和前期、高さ約18メートルの煙突は昭和41年頃の建築です。煙突はかつて米を蒸す釜に使われたもので、通りに面した黒塀とともに、造り酒屋の景観をつくっています。

酒造りの特徴

仕込みの特徴は、低温で発酵させて米をよく溶かし、旨味を引き出すことです。代表的な「純米大吟醸 酒壺」は、兵庫県特A地区の山田錦の心白(米の中心の白く濁った部分)だけを原料にして、四段仕込みで醸します。米を溶かし込むことで、まろやかな旨味と酸味、飲み進めるごとにふくらむ味わいを引き出します。その年の気候に合わせて品温を調節せずに自然に醸し、もろみをゆるやかに搾るのが蔵の心がけです。

熟成酒は、純米大吟醸を時間をかけて寝かせて造ります。「大吟古酒」は低温貯蔵と常温熟成を組み合わせ、9年以上熟成させた兵庫特A地区山田錦100パーセントの純米大吟醸で、青冴えした色と、すっきりした柔らかな口当たりが特徴です。「AOI CLASSIC」は純米大吟醸を20年熟成させた琥珀色の古酒で、「熟」は冷蔵貯蔵と土壁貯蔵を組み合わせて熟成させた数種類の酒をアッサンブラージュ(ブレンド)しています。「葵2000」は20世紀最後の山田錦で醸した25年熟成酒です。蔵は長期熟成酒研究会にも参加しています。

日常向けの酒も山田錦が中心です。「純米吟醸 純」は播磨の日本酒に与えられる地理的表示「GIはりま」の認定酒で、兵庫県特A地区の山田錦を100パーセント使い、50パーセントまで精米しています。柔らかな香りと、さらりとした端麗な味わいが持ち味です。「山田錦しずく」は特A地区の山田錦100パーセントの純米酒で、米本来の旨味を生かした透明感のある味わいです。「純米吟醸 ひやおろし」は、一度火入れしたあと時間をかけて熟成させ、秋から冬に限って売り出します。

冬の新酒「葵鶴しぼりたて」は、加熱処理をせずタンクからそのまま瓶に詰める原酒です。2020年の時点では、例年11月上旬に仕込みが始まり、12月上旬から売り出して、完成を知らせる杉玉を奈良の大神神社から取り寄せ、母屋の玄関先に飾っていました。生酒の火入れや瓶詰めに使われてきた瓶場兼貯酒庫も、登録有形文化財に登録された建物の一つです。

代表銘柄

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葵鶴

酒造の神を祀る京都・松尾大社の神紋「葵」と瑞鳥「鶴」にちなんだ稲見酒造の代表銘柄です。兵庫県特A地区の山田錦を多く使い、まろやかな旨口を身上とします。純米大吟醸の「酒壺」は2024年のKura Masterでプラチナ賞を受け、20年熟成の「AOI CLASSIC」は同じ年の古酒部門で金賞に選ばれました。「大吟古酒」は9年以上熟成させた純米大吟醸で、IWCの古酒の部で銀メダル(2022年・2023年)を受けています。

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見学・購入

蔵見学
なし
直売所
蔵で販売しており、試飲もできます。営業時間は9時から17時です。
補足
蔵見学は行っていません。日曜と祝日は休みで、12月の土曜は営業します。土曜は月によって営業日が変わり、2026年4月からは当面の間、土曜も休業と告知されています。イベント出展などでも変わることがあるため、来訪前に蔵の営業日カレンダーでご確認ください。神戸電鉄の三木上の丸駅から徒歩約5分です。

見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。

蔵の基本情報

所在地
兵庫県三木市芝町2-29
創業
1889年
公式サイト
www.aoitsuru.co.jp

出典

the-kansai-guide.com / harima-sake.jp / sakemuseum.com / aoitsuru.co.jp / kita-harima.jp / kobe-np.co.jp / city.miki.lg.jp / online.bunka.go.jp / kuramaster.com / sakagura-press.com / sakeworld.jp

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