丹山酒造
代表銘柄:ジャポン・竹林群虎図・丹山
京都府
KYOTO
1882年創業
1882年(明治15年)に京都府亀岡市にて創業した老舗酒蔵です。「酒造りは米作りから、米作りは土壌から」という基本理念のもと、自社栽培米や無農薬有機栽培に取り組んだ酒造りを行っています。蔵の敷地内には5つの井戸があり、仕込みに使用される井戸水は比叡山の高僧により「寶満吉祥の井戸」と名付けられた名水として知られます。現在は5代目である長谷川渚氏が蔵を率いており、業界でも珍しい女性杜氏の先駆けとして酒造りに従事してきました。
女性視点を活かした商品開発にも注力しており、フルーティーで飲みやすい低アルコール微発泡純米酒「ジャポン」や、二条城の重要文化財の襖絵「竹林群虎図」をラベルに使った純米吟醸酒「竹林群虎図」など、幅広い銘柄を手掛けています。
丹山酒造の歩み
丹山酒造は、京都府亀岡市で明治15年(1882年)に創業した蔵です。創業時は長谷川酒造を名乗り、その後、丹山酒造として現在に至ります。蔵があるのは明智光秀が築いた亀山城の城下で、京都・嵐山の上流にあたります。創業時から蔵には五つの井戸があり、そのうち仕込みにだけ使う井戸は、あまりの名水に比叡山の高僧が「寶満吉祥の井戸」と名付けました。仕込み蔵は「寶満蔵」と呼ばれています。
現在の当主は、5代目の長谷川渚さんです。4代目社長の長谷川敏朗さんの次女として1978年に生まれ、蔵を遊び場に育ちました。姉が営業、自分が製造を担う形で家業を継ぐと決め、高校卒業後は滋賀県の研究所と東京農業大学で学びました。19歳で蔵に入り、岩手出身の南部杜氏のもとで見習いを始めて、全国でも数少ない女性杜氏となりました。2013年には父の後を継いで5代目社長に就任しています。蔵に戻って最初に造った酒が、自分の名を冠した「渚」です。
名付け親は東京農大の恩師、小泉武夫さんで、ラベルの字は比叡山の酒井大阿闍梨が書きました。
商品づくりでは、女性の視点を前面に出してきました。京都伊勢丹の開業当時、茶色い一升瓶が当たり前だった日本酒売り場で目を引くようにと、ピンクのボトルの「飯櫃(ぼんき)」やワインボトル風の「ジャポン」を出しました。赤ワインがブームだった頃で、「日本酒のイメージじゃないもの」という発想から生まれた商品です。この低アルコールや微発泡の日本酒は、女性や若い人にも気軽に飲んでもらうことを狙ったもので、ジャポンは2010年にはすでに販売されていました。
販路は人の縁で広がりました。2017年時点では、京都文化博物館や錦市場に店を構えるほか、京都御所への納入があり、下鴨神社のお神酒や祇園祭の大船鉾にも酒が使われ、シンガポールと香港への輸出も少量ながら行っていました。現在は京都文化博物館のろうじ店舗、嵐山、京都駅、宇治の平等院表参道、銀閣寺参道などに直営の店舗を持ち、京都御所の店舗限定で純米酒「紫宸殿」を2026年2月に発売しました。2024年11月には、茶道裏千家の千宗室家元の好みに沿った純米酒「春秋萬歳」を新たに売り出しています。
創業140年を迎えたのは2022年です。
受賞では、全国新酒鑑評会に平成15酒造年度に出品した「渚」が入賞しました。平成14酒造年度以降で入賞はこの1回です。大阪国税局の令和3年度清酒鑑評会では、燗酒用清酒の部門で「丹山」が優秀賞を受けています。
酒造りの特徴
蔵の理念は「酒造りは米作り、米作りは土壌から」で、基本姿勢は「水を極め、米を磨き、酒の声を聞きながら」です。酒米の山田錦は自社で栽培しており、2026年時点では計13ヘクタールの農地で有機農法、農薬不使用で育てています。2017年時点では、農業会社を設けて蔵のスタッフが有機米を作り、そのお米は大吟醸にだけ使っていました。長谷川さんは、最終的にはすべての酒の米を自家栽培にしたいと目標を掲げていました。純米酒「春秋萬歳」は、京都産の自然栽培米の山田錦を100パーセント使っています。
仕込み水は、蔵にある深さ8メートルの井戸からくみ上げる地下水です。軟水で、やさしくまろやかな口当たりを生みます。酒造りは寒い時期に限られ、新酒の仕込みは11月から3月ごろまでです。2007年には、温度管理のできる設備で年間を通して造る蔵が増えるなか、昔ながらの手法を守っていました。そのころ蔵には、人の背よりも高いタンクが15本並び、毎年約1,200石の酒ができていました。祖父の代には亀岡市に酒蔵が5軒ありましたが、2007年時点では3軒に減っていました。
麹づくりはすべて手作業で行います。蒸し米を麹室に運び、種麹をふって麹菌を育てるこの工程は、酒の質を左右する重要な作業です。醪は4日間かけて3回に分けて仕込む三段仕込みで、高さ約1.8メートルのタンクに米と麹が沈殿しないよう、朝と夕方の決まった時間に櫂棒で数回だけかき混ぜます。混ぜすぎると米が溶けて雑味が出るため、丁寧さが求められる作業です。
商品の数は40種類あまりにのぼります。中心は純米大吟醸、純米吟醸、純米酒です。このほか低アルコールの特別なお酒や、米と米麹だけで造るあまざけもそろえています。
代表銘柄
ジャポン
繊細な泡がシャンパンを思わせる、300mlの純米微発泡酒です。自社栽培の山田錦を精米歩合70パーセントまで磨いて造り、アルコール度数は8パーセントと低めです。レモンやライムを搾って飲むと、さらに飲みやすくなります。ワインボトルのような姿は、京都伊勢丹の開業当時に「日本酒のイメージじゃないもの」という発想から生まれました。女性視点の商品開発を象徴する、蔵の「特別なお酒」の一本です。
竹林群虎図
ラベルには、蔵が狩野探幽の作とする二条城の襖絵「竹林群虎図」が使われた純米吟醸原酒です。使用にあたって京都市の許諾を受けています。自社栽培の山田錦を精米歩合60パーセントまで磨いて造り、アルコール度数は17パーセント、酸度は1.4で、こくのある味わいです。読みは「ちくりんぐんとらず」で、720mlの瓶で売られています。
丹山
蔵の名を冠した定番の純米酒で、自社栽培の山田錦を精米歩合70パーセントで仕込みます。アルコール度数は15パーセント、酸度は1.3です。蔵はこの酒を、まろやかな味わいのなかに酸味の調和がとれた、飲み飽きしない定番酒と位置づけています。1,800mlと720mlの瓶があり、蔵を代表する銘柄です。
見学・購入
- 直売所
- 蔵に販売コーナーがあり、営業時間は9時から18時で年中無休です。京都文化博物館のろうじ店舗や京都駅、嵐山、宇治の平等院表参道などにも直営の店舗があります。
- 補足
- 酒造見学は8時30分から17時までの案内で、蔵の入口で酒ができるまでのビデオを見ながら、いろりのある部屋できき酒ができる内容です。仕込み蔵の中には入れません。団体は10日前までに電話で予約が必要です。ただし公式は2022年2月に新型コロナウイルス対策として見学を当面の間中止すると告知しており、現在の見学の可否と受付状況は事前に電話での確認が必要です。JR亀岡駅から徒歩約10分です。
見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。
蔵の基本情報
- 所在地
- 京都府亀岡市横町7番地
- 創業
- 1882年
- 公式サイト
- tanzan.co.jp
出典
kyoto-meisan.jp / tanzan.co.jp / sakedata.jp / kyoto-kankou.or.jp / camp-fire.jp / kyoto-miyage.gr.jp / web.archive.org / chanoyumap.jp / kyotoside.jp / project.nikkeibp.co.jp / morinokyoto.jp / nta.go.jp / nrib.go.jp
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