阿部酒造
代表銘柄:あべ
新潟県
NIIGATA
1804年創業
新潟県柏崎市に位置する1804年(文化元年)創業の酒蔵です。代々「内杜氏」の体制で酒を醸してきましたが、経営難による廃業の危機に直面していました。2014年に6代目の阿部裕太氏が帰郷して製造責任者に就任し、「発酵を楽しむ」「圧倒的にうまい」をテーマに掲げて新ブランド「あべ」や「★(スター)シリーズ」「圃場別シリーズ」などを相次いで立ち上げ、蔵を立て直しました。
酒造りでは、米山山系・黒姫山系の軟水を仕込み水に用い、新潟県産米(特に地元柏崎産)を使って「米のうま味」と「酸」のバランスを追求した酒質を目指しています。少量多品種の醸造を行うほか、新規酒蔵立ち上げを目指す若手造り手の育成・研修受入や、2023年からの自社での米づくり、米麹を活用したクラフトコーラ事業など、既存の枠にとらわれない挑戦を続けています。
阿部酒造の歩み
阿部酒造は、1804年(文化元年)に創業した新潟県柏崎市の酒蔵です。所在地は柏崎市の安田です。柏崎市には原酒造、石塚酒造を含む3つの酒蔵があり、阿部酒造はそのひとつです。
長く、家の当主が杜氏と経営を兼ねる「内杜氏」の体制で酒を造ってきました。5代目の阿部庄一さんの代まで、当主が蔵元杜氏として酒造りと経営を担い、造り方は親から子へ直接伝えられてきました。一方で、4代目から5代目への代替わりの頃から、自社の直売と他社の酒を扱う酒販業が事業の中心になりました。コンビニやスーパーでも酒が買える時代になって競争が激しくなり、5代目は自分の代での廃業を考えるようになります。2013年の製造量は40石ほどでした。
転機は、のちに6代目となる阿部裕太さんの帰郷です。阿部さんは大学進学から東京で暮らし、営業職として働いていました。あるとき食品パッケージを見てものづくりに興味がわくと同時に、初めて家業の酒蔵に目が向きました。日本酒の味や香りの幅に魅力を感じた阿部さんは、清酒の製造免許は新規の取得が非常に難しいことも知り、父に「3年、時間をください」と申し出ました。会社を辞めて醸造試験場で酒造りを学び、同じ柏崎の原酒造にも教わったうえで、2014年に製造責任者として蔵に戻ります。
酒はなかなか売れず悔しい思いもしましたが、パートナーになってくれる酒屋を探し、新潟と長岡市与板の酒屋2軒との取引が始まって、今につながりました。
蔵に戻ってからは、新しいシリーズを次々に立ち上げています。平成26酒造年度に「あべ」シリーズを、平成27酒造年度に低アルコールの「★(スター)シリーズ」を始め、のちに柏崎と隣の刈羽村の田んぼごとに仕込む「圃場別シリーズ」も加わりました。酒販店員が選ぶ「酒屋大賞」では、2023年に本選へ進む20蔵に入り、2024年にはGOLDを受賞しています。
日本酒アプリ「Sakenomy」のユーザー評価をもとにした「SAKE COMPETITION 2023」の特別賞「Sakenomy Best Brewery of the Year」では、高木酒造、新政酒造に続く第3位でした。
2026年時点で代表取締役は5代目の阿部庄一さん、6代目の裕太さんは製造責任者です。事業の幅も広がっています。2021年には、自社で造った米麹の甘酒を使うクラフトコーラの製造販売に着手し、2022年には直売所を製造場と同じ場所に移し、2023年からは自社でも米づくりを始め、2025年には新しい蔵を建てています。酒造りを志す若い人を3〜4年の期間で研修生として受け入れる取り組みも続けていて、卒業生は各地で酒造りを手がけています。2025年時点では阿部さんと研修生を合わせて15名ほどで酒を造っています。
主な卒業生には、福島県南相馬市のhaccobaを率いる佐藤太亮さん、福岡市の街中醸造所LIBROMの穴見峻平さん、2024年に京都でLINNÉを創業した今井翔也さんがいます。柏崎市内でも、卒業生の坂本一浩さんが弥栄醸造を立ち上げています。
酒造りの特徴
阿部酒造は、造りの方針として4つの理念を掲げています。1つ目は、食前、食中、食後のどの場面でも飲めるように、バリエーション豊かな酒を目指す「リストランテの最初から最後まで」です。ほかに「常に発酵を楽しむ」「『圧倒的に』うまいを目指す」「常に挑戦者であれ」があります。味わいの軸は、米の味をしっかり出すことと、酸を意識することです。仕込み水には、米山山系と黒姫山系の軟水を使っています。
設備は、品質を高めるために少しずつ整えてきました。洗米は平成26酒造年度には全量を手洗いで行っていましたが、後味の糠切れを良くするため、平成27酒造年度から洗米機を導入しています。同じ頃、衛生面と作業のしやすさから、甑を木製からステンレスに替えました。2017年には製氷機と冷蔵庫、麹の枯らし場を加え、温度管理ができるチラーとジャケットも導入しています。
地元向けには、2017年時点で「越乃男山」シリーズも展開していました。主力の「あべ」シリーズは、すべて原酒です。通年のブラックとシルバーは、年ごとに米の品種が変わり、ロットによる味わいの違いも楽しめます。ほかに、夏酒、たかね錦のピンク、柏崎の原酒造が開発に携わった酒米「楽風舞」のグリーン、長岡市の吉澤藤兵衛さんの「一本〆」のイエローなどがあります。純米大吟醸のゴールドは精米歩合45%で、同じく原酒造が開発に携わった「越神楽」を使います。プラチナムは自社田の米を使い、生もと造りで仕込みます。
「★(スター)シリーズ」は、すべて柏崎市産の米で醸した12〜15度の低アルコール原酒で、ラベルには米が収穫された田んぼの景色があしらわれ、銘柄には一等星の名前が付けられています。「圃場別シリーズ」は、特定の田んぼの米だけを使い、レシピを統一して田んぼごとの味の違いを楽しむシリーズです。上輪新田、安田鳥越、刈羽村の赤田、野田があり、売上の一部は契約農家の圃場整備や景観整備に充てられています。
このほかにも、挑戦的な酒が並びます。米が柔らかい年と硬い年で名前を分けて出す「THE SAZANAMI」と「THE ARANAMI」、自社の酒粕を蒸溜した粕取焼酎、その焼酎を発酵中の酒に加える「あべ+」、上越市の越後薬草のジン「YASOGIN」を仕込みに使った酒などです。酒蔵らしいノンアルコールの商品として、麹甘酒と柏崎に古くから伝わる「米山トウキ」を使ったクラフトコーラシロップ「KURACOLA」もあります。
2023年からは自社でも米づくりを始めており、安田鳥越の契約農家の矢島衛さんは元蔵人で、今後は阿部酒造が米の生産を引き継ぐ予定です。
代表銘柄
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あべ
6代目の阿部裕太さんが平成26酒造年度に立ち上げたシリーズで、すべて原酒です。米のうま味と酸を軸に設計し、通年の定番から季節限定まで幅広く展開しています。阿部酒造で最も製造数量が多く、2024年の酒屋大賞でGOLDを受賞した際にも代表銘柄として挙げられました。
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- 蔵見学
- なし
- 直売所
- 製造場と同じ場所に、コーラ棟と並んで直売所があります。住所は新潟県柏崎市安田3560-1で、2025年時点の営業時間は10時から17時、定休日は日曜日です。店頭に並ぶ酒は日々変わります。
- 補足
- 酒蔵見学は行っていません。直売所では、手書きのコメントが添えられた酒が並び、KURACOLAも杯売りで楽しめます。夏の時期には飲食ができる日もあります。試飲は2025年時点で行っていません。
見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。
蔵の基本情報
- 所在地
- 新潟県柏崎市安田3560
- 創業
- 1804年
- 公式サイト
- www.abeshuzo.com
出典
japansake.or.jp / niigata-sake.or.jp / nihonmono.jp / osaketo-washoku.jp / sakejump.com / note.com / j-s-p.or.jp / sakenomy.jp / kashiwazaki-life.jp / abeshuzo.com / web.archive.org / pref.niigata.lg.jp / niigata-kankou.or.jp / makuake.com / saketomo.tv-aichi.co.jp / sakecompetition.com
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