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赤名酒造

代表銘柄:絹乃峰・琴引山

島根県

SHIMANE

1929年創業

赤名酒造は、島根県飯石郡飯南町に位置する酒蔵です。1929年に近隣3蔵の合併により「赤名酒造合名会社」として創業し、2014年に「株式会社赤名酒造」として再出発しました。代表銘柄には「絹乃峰」や「琴引山」があります。飯南町産を中心とした米を使い、醸造アルコールを一切添加しない全量純米酒蔵として、全量手作りの麹や槽(ふね)しぼり、マイナス10℃の低温貯蔵システムを導入した酒造りを行っています。

また、タイのバンコクに海外拠点を開設し輸出を展開するほか、旅行口コミサイト「トリップアドバイザー」の「トラベラーズチョイス アワード」を2025年・2026年と2年連続で受賞するなど、国内外で広く評価されています。

赤名酒造の歩み

赤名酒造のはじまりは1929年(昭和4年)です。政府が小規模な清酒製造者の経営力を強める政策を進めるなか、近隣の3蔵(杤木傳一郎・清原常四郎・矢飼憐之助)が合併し、赤名酒造合名会社が設立されました。設立時に多くの資金を出した豪商の杤木傳一郎が初代代表社員(社長)となり、矢飼憐之助が使っていた「絹乃峰」が蔵の代表銘柄とされました。合併前の蔵の銘柄には絹乃峰のほかに「登喜波」と「琴泉」もあり、設立当時は絹乃峰と合わせて「登喜波琴泉」を使う計画もありましたが、実際には売り出されませんでした。

この登喜波琴泉は、2017酒造年度の純米吟醸を熟成させた古酒の銘柄として2026年5月に復活が発表されています。

合名会社の時代の蔵は、高い技術力を買われて長く大手酒造メーカーの下請けとして栄えました。1980年代後半から大手が自社の設備を強化し、下請け蔵から原酒を買う必要がなくなると、多くの小さな清酒蔵と同じように経営が立ち行かなくなりました。そうした末期にあたる平成10酒造年度には、全国新酒鑑評会で絹乃峰が金賞を受賞し、平成11酒造年度と平成13酒造年度にも入賞しています。2004年には、当時の赤来町が酒蔵の建物と土地を買い取って町有とし、蔵の存続は有志が担うことになりました。

有志による経営は10年続きましたが、販売不振から他社の原酒を買い入れて売るようになり、自社での製造はほとんど行われなくなっていました。2014年に赤名酒造合名会社の継続は断念され、新しい経営陣がその事業を引き継いで合名会社を廃止し、株式会社赤名酒造を設立しました。町有の老朽化した蔵は、飯南町が海外の基準にも適合する衛生管理施設として大規模に改修しました。工事費は約1億2千万円にのぼります。

再出発の中心になったのは、飯南町出身の三島崇暁(現・代表取締役社長)です。東京農業大学で醸造学を学び、ワイナリーや商社に勤めたのち、役場職員として赤名酒造のPRにも関わりました。2013年に町から白羽の矢を立てられた三島は、酒類総合研究所で酒造りを学ばせてもらうことと、蔵の全面改修の2点を条件に引き受けました。改修施設での製造は2014年11月に始まりました。蔵は飯南町が所有する「酒づくり交流館」で、2017年時点では赤名酒造が町から設備を借りて醸造していました。

2014年以降は、地元消費だけでは足りないと考えて海外にも販路を求めました。2016年にタイへの輸出を始め、2017年10月には酒蔵として全国初となるバンコク事務所を開設しました。在タイ日本国大使館の天皇誕生日レセプションにも3回出展し、コロナ禍で中断した輸出を再開した2022年11月には、株式会社の設立以来の累計で1万本に達しました。2023年11月には再出発から10年の節目を迎えています。蔵の発表では、年間の来店者数は2026年時点で23,405人にのぼります。

2025年と2026年には、トリップアドバイザーのトラベラーズチョイスアワードを2年連続で受賞しました。

酒造りの特徴

赤名酒造は純米酒だけを造る全量純米蔵で、原料は米、米麹、水のみです。2014年11月の純米蔵化は島根県の酒蔵で初めてで、同じ月に工場内の照明を全灯LEDにしたことも県内の酒蔵で初でした。蔵元杜氏の三島崇暁が造りを率い、米は飯南町産を主に使います。純米酒には飯南町産の五百万石を使い、2015年秋の収穫分からは飯南町特産のコシヒカリも酒造りに加えました。

コロナ禍の前は契約農家から一般的な買取価格より1袋あたり1,000円高く毎年2トンを購入し、精米歩合60%に磨いた「特別純米飯南米」などに仕込んでいましたが、2022年時点の購入量は1トンになっています。

麹はすべて手作りで、米はすべて限定吸水で浸漬して蒸し、酒はすべて槽(ふね)で搾ります。2017年12月には、島根県の酒蔵で初となるマイナス10度のファインコールドシステムを導入し、搾った直後のおいしさを保つ貯蔵の主力としています。2017年時点では、洗米から貯蔵までの全工程を冷蔵設備の中で行い、蔵内を汚染区から最衛生区まで4段階に分けて管理していました。麹は突き破精型で、噛むと次第に甘みが出る麹に仕上げ、搾ったあとは瓶燗火入れをし、生酒は零下7度の冷蔵庫で貯蔵していました。

2018年には保健所から地区の衛生施設表彰を受け、2026年には島根県内2社のみが受賞したという島根県食品衛生協会の食品衛生優良施設表彰も受けています。

仕込み水は、飯南町上赤名から流れ出る水です。2021年時点では、水源に近い場所から取水した水道水を使っていて、その上流に事業所は1軒もありません。蔵のある飯南町赤名は島根県内有数の豪雪地帯で、一晩に1メートル積もり、気温がマイナス10度以下になる日も頻繁にあります。この豊富な雪が雪解け水となり、山の上部にありながら豊富な水量で良質な米を育んでいます。

マイナス10度で貯蔵する技術は、贈答向けの高級酒にも生かされています。2024年11月には、島根県飯南町産五百万石の一等米を精米歩合35%まで磨いた純米大吟醸を、非加熱のままマイナス10度で6年間貯蔵し、出荷時に火入れした「絹乃峰 純米大吟醸無濾過生貯蔵原酒35% 赤瓦」を発売しました。3年をかけて開発し、箱には石州瓦の赤瓦を使っています。2023年には10周年を記念して、35%の原酒と50%の原酒をブレンドした「純米大吟醸五拾」も発売し、こちらは1本5,000円で1,000本が完売しました。

代表銘柄

絹乃峰

1929年の合名会社設立とともに蔵の銘柄となった赤名酒造の主力です。名は、蔵の近くにそびえる衣掛山にたなびく霧や靄のように、滑らかな口当たりの酒という意味に由来します。吟醸造りの純米吟醸五拾五が定番の一番人気で、純米酒、特別純米酒、純米大吟醸五拾、四拾などもそろい、生酒や古酒も造られています。

琴引山

2021年3月に、飯南町の農事組合法人大安伸と共同で企画した「純米吟醸琴引山」の銘柄です。絹乃峰、飯南米に続く新しいブランドとして生まれました。名の琴引山は、近隣の霊峰として知られる山にちなみます。2024年の春には「絹乃峰純米吟醸琴引山」の無濾過原酒の新酒が出ました。

見学・購入

蔵見学
なし
直売所
赤名酒造直売店(島根県飯石郡飯南町赤名23)。営業時間は10時から16時30分で、定休日は2025年時点で日曜と火曜です。
補足
衛生管理のため蔵の中の見学は行っておらず、内部の様子は店頭のモニターで紹介しています。直売店では新酒の試飲販売会などのイベントも開かれ、2024年9月には3日間の新酒発表会がありました。臨時休業もあるため、訪れる前に電話(0854-76-2016)で確かめると確実です。

見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。

蔵の基本情報

所在地
島根県飯石郡飯南町赤名23番地
創業
1929年
公式サイト
kinunomine.com

出典

localinfo.jp / maff.go.jp / satoyamania.net / seesaa.net / kinunomine.com / camp-fire.jp / web.archive.org / shimane-sake.or.jp / jp.sake-times.com / nrib.go.jp / kinunomne.thebase.in / x.com

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