大石酒造
代表銘柄:翁鶴・美山 てんごり
京都府
KYOTO
京都府亀岡市に蔵を構える大石酒造は、江戸時代の元禄年間に初代・大石太郎兵衛が「太郎兵衛酒屋」として創業した歴史ある酒蔵です。明治時代の「酒喜屋」、大正から昭和の「東酒屋」を経て、第二次世界大戦後に現在の「大石酒造」となりました。代表銘柄の「翁鶴」は長寿とめでたさを願って命名された地酒です。
酒造りの特徴として、機械に頼らず杜氏の技を生かした伝統的な「生酛(きもと)仕込み」や寒仕込みを行っており、美山蔵では美山の蔵近くで生産した五百万石や美山川の源流水を使用しています。2014年(平成26年)には更なる酒造りの環境を求めて京都府南丹市美山町に新工場「美山蔵」を開設しました。主な受賞歴として、代表商品の「美山 てんごり」が世界的な品評会「インターナショナル・ワイン・チャレンジ(IWC)」の本醸造部門において、2020年度に最優秀賞であるトロフィーを受賞しています。
大石酒造の歩み
大石酒造の創業は元禄年間(1688〜1704年)にさかのぼります。庄屋の家から分家した初代・大石太郎兵衛が、丹波の穀倉地帯にあたる現在の亀岡市の地で「太郎兵衛酒屋」を興したのが始まりです。この地の中央を流れるのは、北山杉で知られる北山の流域から嵐山へと続く上桂川(保津川)で、その川沿いに古い仕込み蔵が建っています。
屋号は時代とともに変わりました。明治5年(1872年)に「太郎兵衛酒屋」は「酒喜屋」と改称し、大正9年(1920年)には「金星」の商標で消費者向けの販売を始めます。大正から昭和にかけては「東酒屋」を名乗り、第二次世界大戦後に現在の「大石酒造」となりました。昭和30年(1955年)には新たに「翁鶴」の商標で商品化しました。酒名は、長寿と縁起の良さから「翁」と「鶴」を合わせて名付けたものです。販路は近畿一円に加えて東京、九州、名古屋へと広がりました。
昭和39年(1964年)に東京・新橋に京の酒蔵「翁鶴」を開き、昭和50年(1975年)には亀岡にやきとり店「翁鶴」を出店しました。昭和64年(1989年)に酒蔵見学コース「酒の館」を開設し、同年11月1日に大石酒造株式会社を設立しました。平成5年(1993年)に製造工場の八木蔵を増設し、平成7年(1995年)には特産品販売と茶房を備えた「酒喜庵」を開店、平成18年(2006年)にはJR亀岡駅前にも「酒の館」を出しました。
平成26年(2014年)10月には、より良い酒造りの環境を求めて、かやぶきの里として知られる南丹市美山町に美山蔵と「美山路・酒の館」を新設しました。代表取締役社長は大石博司氏で、主な輸出先は台湾、マレーシア、ドバイ、ベトナムです。
国際的な評価もあります。ロンドンで開かれるIWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)の本醸造部門では、蔵の発表では「美山 てんごり」が2010年、2011年、2013年、2015年、2017年に銅賞を受賞しています(2010年と2011年は2年連続の銅賞です)。2014年には「翁鶴 大吟醸」が推奨品に選ばれています。2020年度には「美山 てんごり」が金賞を受け、本醸造部門で最上位のトロフィーに選ばれました。
リキュールでは、梅酒「麗(うらら)」がスペインの酒類コンテストCINVEの2025年度で銀賞を受けたと、蔵が発表しています。
酒造りの特徴
大石酒造が守る造りは、江戸時代に確立された生酛(きもと)仕込みです。冷やした蒸米と米麹、仕込み水を極寒の深夜に数時間かけてすりつぶす「もとすり(山卸し)」を行い、「打瀬」と呼ぶ低温の状態で3日ほど寝かせます。その後の「暖気入れ」で温度を少しずつ上げ、清酒酵母だけを純粋に育てるという手間のかかる工程です。蔵は機械に頼らず、杜氏の技を生かした手造りの地酒を掲げ、秋から春にかけて丹波杜氏による生酛仕込みと寒仕込みを続けてきました。山卸しを廃止した山廃仕込みの純米酒「やまはい」も造っています。
美山蔵は、11月から4月に酒の仕込みを行う蔵です。冬の環境が酒造りに適し、日本でも有数の名水に恵まれた場所を求めて2014年10月に移設しました。美山川の源流水と、生酛仕込みに適した温度環境を生かして醸します。亀岡で醸していた時代の仕込み水は、保津川の伏流水でした。「初搾りの酒」は、丹波の新米と美山川の源流水を使い、美山の酒蔵で仕込んだ生酒です。原料米では、「美山 てんごり」に美山の蔵近くで生産した五百万石を使い、「翁鶴 純米大吟醸」には自社生産の山田錦を40%まで磨いて使います。
京都産の酒米と京都特有の酵母を用い、寒仕込みで醸した精米歩合55%の純米吟醸は、数量限定の「日吉晴」として南丹市の日吉ダムで貯蔵します。貯蔵場所はダム本体の最下部にある管理用通路で、年間を通して気温が15度前後と安定しています。秋には生もと仕込みの本醸造「ひやおろし」や、熟成酒の「四季の酒 秋の酒」が季節の酒として並びます。食塩を加えていない熟成酒の「料理の酒」や梅酒、鬼ワインなど、清酒以外の商品も手がけています。
亀岡の「丹波路酒の館」では、1階に瓶詰工場と直売店のきき酒コーナー、2階に酒造り資料展示室があります。旧仕込み蔵の「本蔵」は、創業三百年を記念して開館した地酒の直売店で、試飲用カウンターのほか、好みの酒を必要な量だけ瓶に詰めて買える計り売りコーナーを備えています。旧精米所は和風喫茶の「酒喜庵」として使われています。
代表銘柄
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翁鶴
「翁鶴」は昭和30年(1955年)に商標として商品化された、大石酒造の中心となる銘柄です。酒名は、長寿と縁起の良さから「翁」と「鶴」を合わせて付けられました。純米大吟醸は自社生産の山田錦を40%に精米し、杜氏の手仕事による寒仕込みで醸します。熟成を経て旨味とまろやかさのバランスが整い、日本酒度は+4です。蔵の発表では、2014年のIWCで「翁鶴 大吟醸」が推奨品に選ばれました。
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「美山 てんごり」は、美山の蔵近くで生産した五百万石を使う本醸造です。精米歩合は70%、日本酒度は−1で、飲みやすさとしっかりした味わい、コクを両立した京都美山の地酒です。IWCの本醸造部門では、蔵の発表では2010年から2017年まで銅賞を5回受賞し、2020年度には金賞に加えて部門最上位のトロフィーに選ばれました。
見学・購入
- 蔵見学
- あり(要事前確認)
- 直売所
- 亀岡本店の直売店「丹波路酒の館」と、美山蔵に併設する「美山路酒の館」があります。亀岡本店には和風喫茶の「酒喜庵」も併設しています。
- 補足
- 亀岡本店(京都府亀岡市ひえ田野町佐伯垣内亦13)では、瓶詰工場と直売店、酒造り資料の展示室を無料で見学でき、きき酒もできます。個人や家族(1〜9名)は予約不要で、20名以上の団体は要予約です。営業は9時から17時までで、見学は15時30分までに入場します。盆と正月を除いて年中無休ですが、7月と8月は毎週木曜が定休日です。美山蔵(南丹市美山町南新高瀬13)は9時から17時までで、水曜と木曜が休業日(祝祭日は営業)です。美山蔵の見学は、仕込みのない5月から10月でも事前予約が必要です。11月から4月の仕込み期間は蔵の中の見学ができませんが、試飲コーナーは利用できます。
見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。
蔵の基本情報
- 所在地
- 京都府亀岡市ひえ田野町佐伯垣内亦13
- 公式サイト
- www.okinazuru.co.jp
出典
sakedata.jp / kyoto-kankou.or.jp / okinazuru.co.jp / s-usui.jp / kotobank.jp / kyoto.lg.jp / sakagura-press.com / blog.jp / sake-times.com / web.archive.org
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