平井商店
代表銘柄:浅茅生
滋賀県
SHIGA
1658年創業
平井商店は、万治元年(1658年)に滋賀県大津市で創業した老舗の酒蔵です。かつて琵琶湖の水運や東海道大津宿の要衝として栄え、「大津酒」として賑わった商店街内に蔵を構えています。代表銘柄「浅茅生(あさぢを)」の銘は、後水尾天皇の皇子である聖護院宮道寛親王から賜った和歌にちなみ、1677年に名づけられたと蔵に伝わっています。
酒造りにおいては機械化に頼らず、昔ながらの手造りと小仕込みにこだわっており、滋賀県産の酒米を中心に用いています。現在は17代目当主の娘である平井弘子氏が代表取締役社長で蔵元杜氏を務め、家族中心で酒造りを担っています。伝統的な純米酒や生酛造りの酒に加え、夏でも飲める新酒として開発され、夏にも小仕込みで造る活性にごり酒「湖雪(フーシェ)」など、多様な味わいを追求しています。
平井商店の歩み
平井商店は、万治元年(1658年)に大津宿で創業した老舗です。大津宿は京都へ至る東海道五十三次の最後の宿場で、琵琶湖の湖上交通の要衝でもあり、米や物資の中継地として栄えました。水と米に恵まれたこの地では酒造りが盛んで、京都でも飲まれ、「大津酒」という言葉があったほどです。元禄10年(1697年)ごろには旧大津の市街地に77軒もの酒屋が軒を連ねていましたが、2021年時点で旧市街地に残る造り酒屋は平井商店の1軒のみ、大津市内でも2社になっています。
創業時の屋号は「近江屋 八兵衞」で、当主は代々「八兵衞」の名を世襲してきました。歌舞伎などの襲名とは違い、戸籍上の名前も変わります。酒屋を始めたのは5代目からで、蔵では現当主を17代目と数えています。社員を置かず、家族だけの小さな蔵として酒を造り続けています。
銘柄の「浅茅生(あさぢを)」は、後水尾天皇の皇子で聖護院門跡の道寛親王から当家に賜った和歌にちなみ、1677年に名づけられた、と蔵に伝わっています。浅茅生とは背の低い茅が生い茂る場所のことで、歌は、その茂る野の中にわく真清水は千年を経ても汲み尽きることはない、という趣旨です。「浅芽生」と書かれることが多いものの、「芽(め)」ではなく「茅(かや)」の字で、蔵元もこの表記を呼びかけています。
17代当主の平井八兵衞さんは、商社マンとして海外勤務を経験したのち家業を継ぐことを決め、自ら杜氏の修行を始めた方です。遅くとも2001年には杜氏を招かず、自ら蔵元杜氏として酒造りを担っていました。能登杜氏流の組合に所属しつつも、自らの造りは能登杜氏流というより自己流に近いと語り、南部流の講習会に参加するなど新しい手法を探り、県内の蔵元とも技術を交流してきました。
娘の弘子さんは大学卒業後に蔵に入り、18代目の女性蔵元杜氏として自分らしい酒を求めてきました。2015年には、京都・伏見の酒蔵で働いていた将太郎さんと結婚し、家族そろって酒造りを担っています。現在の代表取締役社長は平井弘子さんで、蔵元杜氏として造りに携わり、「守り、育て、繋ぐ。次の百年のために。」という言葉を掲げ、夫婦で新しい挑戦を重ねています。蔵は旧東海道から一本北の通りにあり、商店街のアーケード内の古い商家のたたずまいを残しています。
滋賀県酒造組合が一般の愛好者のブラインドのきき酒で選ぶ「みんなで選ぶ滋賀の地酒会」では、2014年に純米大吟醸「浅茅生」が、総合平均点が1位の酒に贈られる知事賞に松瀬酒造の1本とともに選ばれました。各部門の上位に贈られるびわ湖賞も、2007年の純米酒の部から2019年の純米吟醸酒・吟醸酒の部まで、普通酒・純米酒・吟醸酒の各部門で重ねて受けています。
酒造りの特徴
平井商店の酒造りは、手造りの小仕込みが基本です。蔵は手狭で、二階の床を開けてタンクへ米を投入できるように設計されるなど、限られた空間に工夫が施されています。洗米や蒸し、麹づくり、仕込み、発酵管理、搾りまですべての工程に心を込め、気温や湿度、米の状態は日々変わるため、機械だけに頼らず五感と経験で見極めます。特に毎日の温度調整を大切にしています。
搾りには、佐瀬式と呼ばれる垂直式の圧搾機を使います。もろみを一つひとつ手で袋に詰めて積み重ね、上からゆっくりと圧をかけて搾る方法で、一度に搾れる量は少なく手間がかかりますが、お酒本来の味わいと純度を保てるとして、あえてこの方式を採っています。
原料には滋賀県産米を中心に使います。商品ラインナップには、「みずかがみ」「吟吹雪」「滋賀渡船六号」「山田錦」を使った酒が並び、酵母は協会901号か1801号を使い分けています。ラインナップは純米大吟醸から普通酒のカップ酒までと幅広く、火入れの酒、生の酒、季節の酒に分かれ、季節の酒には「熊蟄穴」「鶺鴒鳴」「剣呑」「曳山」「ひと夏」などがあります。
新しい取り組みも続けています。夏でも飲める新酒として開発した活性にごり酒「湖雪(フーシェ)」は、炭酸のピリリとした生のにごり酒で、日本酒を和食以外とも合わせて楽しんでほしいという思いから生まれました。2013年の時点で1回の仕込みは約100リットルと少量で、夏にも冷蔵庫でタンクを管理して仕込むことがあります。生酛造りは2020酒造年度から始め、県内の初桜(安井酒造場)と大治郎(畑酒造)の指導を受けており、生酛仕込みの「赤カエル」(2022酒造年度)は、蔵付き酵母と協会901号酵母を使っています。
代表銘柄
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浅茅生
蔵の主銘柄で、純米大吟醸から普通酒まで、蔵の規模のわりに多彩な酒を造っています。目指すのは、蔵元が語る「食べながら呑んでいたら、いつの間にか無くなっているお酒」です。2021年に蔵元がイチオシに挙げた純米大吟醸「あんのん」は、滋賀のイラストレーターの提案から生まれた酒で、コロナ禍でも心安らかに飲んでほしいという願いを込めています。
楽天で商品を見る見学・購入
- 直売所
- 蔵の店頭で購入できます。営業時間は10時から18時で、不定休です。土日祝は休むことが多くなっています。
- 補足
- 京阪電車のびわ湖浜大津駅から徒歩約7分、JR大津駅から徒歩約10分です。お客様専用の駐車場はなく、近隣のコインパーキングを利用します。
見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。
蔵の基本情報
- 所在地
- 滋賀県大津市中央1-2-33
- 創業
- 1658年
- 公式サイト
- www.biwa.ne.jp
出典
kosuga-saketen.com / shiga-jizake.net / sakeworld.jp / otsu.or.jp / asajio.co.jp / ameblo.jp / leafkyoto.net / sakenomy.jp / goshu-pro.jp / j365.me / sakagura-press.com / fujimatsu-online.com / otsu-hyakucho-days.jp / sakeconcierge.com / warp.ndl.go.jp / nta.go.jp
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