多賀
代表銘柄:琵琶の神龍・多賀・AZM
滋賀県
SHIGA
1711年創業
滋賀県犬上郡多賀町の多賀大社近郊に蔵を構える多賀株式会社は、1711年(正徳元年)創業の300年以上の歴史を誇る老舗酒蔵です。仕込み水には鈴鹿山脈北部を源とするミネラル豊富な硬水を使用し、その水質を生かした酒造りを行っています。また、多賀町産の「秋の詩」や彦根市産の「みずかがみ」といった近江米を採用し、地産地消にこだわった丁寧な醸造を続けています。受賞歴も豊富で、全国新酒鑑評会で10回以上の金賞を受賞しているほか、令和6酒造年度全国新酒鑑評会でも「多賀 純米大吟醸 稲澄」が金賞に輝いています。
代表銘柄は蔵の名を冠した「多賀」です。かつての銘柄「琵琶の神龍」は、蔵の発表では、IWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)2018のSAKE部門本醸造酒の部で銀メダルを獲得しています。
多賀の歩み
蔵があるのは、滋賀県東部、彦根の近郊に位置する犬上郡多賀町です。創業は1711年(正徳元年)で、地元で「お多賀さん」と呼ばれる多賀大社の近くで、三百年以上にわたって日本酒を醸してきた老舗です。
会社としての設立は1967年(昭和42年)8月22日で、当初の社名は大老酒造株式会社でした。1992年(平成4年)4月1日に現在の多賀株式会社へ社名を変更しています。代表取締役社長は冨永光則で、従業員は8名です。
かつては大量生産を実現するための設備投資を積極的に進めて事業を続けてきました。今から約30年前(2023年時点)に月桂冠グループの一員となり、そのときに少人数で大量に造れる設備が整って、桶売りをしていた時期もありました。9万Lの発酵タンクには温度管理の装置が備わっていました。いまは、小量生産と手造りにしか生み出せない魅力を見つめ直し、ここでしかできない味わいの酒を目指しています。
その中心にいるのが杜氏の東義晃です。大阪府出身で、会社員を経て月桂冠などで修業を積み、多賀の杜氏になりました。令和3酒造年度の全国新酒鑑評会は入賞、令和4酒造年度以降は金賞が続いています。東杜氏が手造りで仕込んで取り置いていた酒を社長が試飲して気に入ったことが、2022年の「AZUMAシリーズ」の発売につながりました。2023年8月には杜氏自身の名を冠した新ブランド「AZM」が登場し、特約店向けの手造りの酒として展開されています。
全国新酒鑑評会では、平成14酒造年度から令和6酒造年度までに19回入賞し、そのうち金賞は11回です。平成22・23酒造年度と平成27・28酒造年度は2年連続、令和4〜6酒造年度は3年連続で金賞を受けました。令和4〜6酒造年度は純米大吟醸での出品で、受賞酒は「稲澄」として販売されています。蔵は2021年時点で、金賞は通算13回と公表していました。大阪国税局の清酒鑑評会では優秀賞を受けており、令和元年度は燗酒用清酒部門、令和2年度は吟醸酒部門と燗酒用清酒部門、令和7年度は吟醸酒部門です。
酒造りの特徴
仕込み水は、鈴鹿山系のミネラルを含む芹川の伏流水で、硬水です。硬度は180mg/Lですが、カルシウム以外の成分は軟水並みという特徴があります。アルカリ度が高く、米が溶けにくくなる性質があって、すっきりした酒質になりやすい水です。そこで米を無理に溶かすことはせず、水の特徴を生かした酒造りをしています。原料米は、酒造好適米も使う一方で、地元の一般米で美味しい酒を造ることをテーマの一つにしています。一般米は酒造好適米に比べて溶けにくく、麹造りも難しいとされますが、米の特性と多賀の水の掛け算を表現したいと考えています。
酒造りの考え方は、人にできることは限られており、麹や酵母の道しるべになることが杜氏の仕事、というものです。なるべく余計なことをせず、一つ一つの工程をシンプルに組み立てて、微生物が気持ちよく働けば、多賀の特徴が自然に現れると考えています。微生物は生き物で、蔵の空気感も酒に出るとして、遊び心も大切にしています。
工程は細部まで手をかけています。原料処理では米を洗って吸水させる浸漬を秒単位で行い、蔵人の感覚で吸水量を見極めます。麹造りは全量をプラスチックケースによるタライ製麹で行い、5kg盛りに小分けして温度を管理します。酒母は全量を中温速醸で仕込み、不要な操作を避けて酵母の純粋培養を目指します。
仕込みでは、掛米を放冷機に通さず全量を路地放冷で冷まします。使う酵母や目指す酒質によって、もろみの温度経過や仕込み温度を微調整します。不要な櫂入れは一切せず、仕込みが終われば追水と温度管理のほかは酵母と酵素の働きに任せます。工場排水の処理設備も整え、琵琶湖の環境を守る取り組みも行っています。
代表銘柄
琵琶の神龍
2018〜2021年ごろの商品一覧に載っていた本醸造原酒の銘柄です。原料米は彦根産の「みずかがみ」で、精米歩合は70%、アルコール分は19度でした。農事組合法人フレンドリーファームいしでらが荒神山のふもとで育てた米を使い、すっきり辛口でキレのよい飲みごたえが特徴でした。冷やして、またはオンザロックで楽しむことをすすめていました。蔵の発表では、2018年のIWC SAKE部門の本醸造酒の部で銀メダルを受賞しています。しぼりたては12月中旬以降に出荷し、4月中旬からは火入れ原酒になる造りでした。
多賀
蔵の名を冠した主銘柄で、昔ながらの定番として地元に親しまれています。通年商品は、純米大吟醸、純米吟醸、純米原酒、多賀町産の秋の詩を使った純米「秋の詩」のほか、普通酒の原酒と上撰です。純米酒「秋の詩」はワイングラスでおいしい日本酒アワード2022のメイン部門で金賞を受け、蔵の発表では純米酒大賞でも2015・2016・2018年に金賞でした。季節限定には、全国新酒鑑評会の出品酒である純米大吟醸「稲澄」(兵庫県産山田錦)、しぼりたて純米生原酒、純米にごり酒、夏多賀、ひやおろしがあります。
AZM
東杜氏が自らの名前をブランド名にした、手造りの純米吟醸・純米大吟醸のシリーズです。酒の持つ魅力をシンプルに伝えるため、無加水で最低限のろ過にとどめ、多くは瓶燗1回火入れで仕上げます。op.13は彦根市産みずかがみ、op.14は長浜市西浅井産山田錦、op.15は多賀町産秋の詩、op.16は滋賀県産吟吹雪を使います。Kura Master 2024では、op.13が純米酒部門、op.14が純米大吟醸酒部門でそれぞれ金賞です。特約店限定の流通で、滋賀県の酒販店などで扱われています。
見学・購入
- 直売所
- 多賀オンラインショップ(公式)で通年商品と季節限定商品を販売しています。
- 補足
- 所在地は滋賀県犬上郡多賀町中川原102、電話は0749-48-0134です。AZMは特約店限定の流通のため、購入を希望する場合は公式のお問い合わせフォームから近くの販売店を案内してもらえます。滋賀県酒造組合のイベントなどにも出展しています。
見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。
蔵の基本情報
- 所在地
- 滋賀県犬上郡多賀町中川原102
- 創業
- 1711年
- 公式サイト
- sakenotaga.co.jp
出典
sakeworld.jp / taga-brew.com / kome-plaza.jp / blogspot.com / sakenomy.jp / biwako-visitors.jp / web.archive.org / nrib.go.jp / nta.go.jp / kuramaster.com / finesakeawards.jp / note.com
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