鴨庄酒造
代表銘柄:花鳥末廣・神池・百人一酒
兵庫県
HYOGO
1867年創業
1867年(慶応3年)、初代蔵元・荻野新平により創業された兵庫県丹波市市島町の酒蔵です。代表銘柄には、創業当時からの「末廣」の流れを汲む「花鳥末廣」や、2023年に立ち上げた新ブランド「神池 mike」、地元農家と連携して仕込む「百人一酒」などがあります。
長年にわたり大手酒造メーカーへの原酒供給(桶売り)を主軸としていましたが、時代の流れやコロナ禍の影響を受けて「桶売りから小売りへ」と事業方針を転換。2021年の製造量が約10石まで減り「日本一小さな日本酒蔵」と言われるほどになった後、2023年には小仕込み用の製造設備へ一新し、全量純米・手仕込みによる少量高品質なお酒を製造する蔵として再スタートを切りました。「山田錦」や「HyogoSake85」、「兵庫北錦」など兵庫県産の酒米を用い、昔ながらの造りにこだわっています。
賞歴としては、「花鳥末廣 特別純米 山田錦50」が2023年全国燗酒コンテストで金賞を受賞しているほか、インターナショナル酒チャレンジやKura Masterなどでの受賞実績もあります。
鴨庄酒造の歩み
1867年(慶応3年)、初代蔵元の荻野新平が酒造業を始めました。荻野新平はのちに鴨庄村の村長も務めた人物です。蔵があるのは兵庫県丹波市市島町上牧で、旧鴨庄村にあたる土地です。古くは京都の下賀茂神社の社領荘園で、賀茂之荘と呼ばれていた地名が鴨庄の由来です。1925年(大正14年)には鴨庄酒造株式会社として設立登記が行われました。市島町には鴨庄酒造を含めて3軒の酒蔵があり、助け合いながら150年以上の歴史を重ねてきました。
4代目蔵元の荻野信人の代までは、大手酒造会社に製品用の原酒を卸す桶売りが事業の柱でした。その傍らで、創業当時から愛された銘柄「末廣」の流れをくむ「花鳥末廣」や、地域特産品にも選ばれた「百人一酒」も手がけていました。
転機は、時代の流れとコロナ禍の影響でした。5代目の荻野弘之は大学卒業後に10年ほど家業の酒造りを手伝ったのち別の道に進んでいましたが、経営危機にあった家業を立て直すために戻り、桶売りから小売りへの業態転換を決断しました。2020年の仕込みでは、当時専務だった弘之が「百人一酒」の製造を初めて指揮しています。年間製造量は2021年に約10石まで減り、「日本一小さな日本酒蔵」と言われるほどになりました。2023年には製造設備を小仕込み用に一新し、高付加価値の純米酒を完全自社製造・自社ブランドで販売する体制に移りました。
この年には新ブランド「神池 mike(みけ)」も誕生しています。
現在は荻野弘之が代表取締役社長と製造責任者を兼ねています。自ら「杜氏」と名乗ることはなく、日本一小さな蔵だからこそ失敗を恐れずに新しい挑戦ができるとして、小さくても進化し続ける酒蔵を目指しています。2021年からは、市内の西山酒造場・山名酒造とともに、兵庫県丹波県民局が管理する三宝ダムの管理トンネルでの日本酒の貯蔵にも参加しています。トンネル内は通年15度で一定しており、鴨庄酒造は地元産コシヒカリ100%の純米酒を約半年熟成させて、2021年10月に720ミリリットル入りで発売しました。
この取り組みは2026年時点でも続いています。
受賞は全国燗酒コンテストと Kura Master を中心に重ねています。全国燗酒コンテストでは、2023年にプレミアム燗酒部門で「花鳥末廣 特別純米 山田錦50」が金賞を受賞しました。2025年にはお値打ち熱燗部門で「花鳥末廣 純米酒」、プレミアムぬる燗部門で「花鳥末廣 特別純米 山田錦50」がそれぞれ金賞となり、2026年には極上お値打ちぬる燗部門で「花鳥末廣 特別純米」が金賞を受賞しました。
Kura Master では、2024年に純米酒部門で「神池 純米吟醸 兵庫錦」が、2025年に純米大吟醸酒(36-50%)部門で「神池 純米大吟醸」が、いずれもプラチナ賞を受賞しています。2026年には、純米大吟醸酒(36-50%)部門で「神池 純米大吟醸 出藍」、純米酒(51-65%)部門で「神池 純米吟醸」が金賞でした。インターナショナル・サケ・チャレンジでは、2025年に「神池 純米吟醸 兵庫夢錦」が金賞を受賞しています。蔵の発表では、2023年に「花鳥末廣 純米酒」が同大会で銀賞を受賞しています。
酒造りの特徴
酒造りの方針は、手づくり・小仕込みにこだわり、すべて純米酒で旨い酒を造ることです。県内産の米だけを使い、トレンドに左右されない個性を貫くことを掲げています。「ALL純米酒」を、手づくりへのこだわり、地元への想い、飲み手への想いで醸します。
原料米は銘柄ごとに選んでいます。花鳥末廣の特別純米には出石産のフクノハナを60%まで磨いて使い、特別純米 山田錦50には、ASIAGAP認証農場で作られた加西市産の山田錦を50%まで磨いて低温発酵で仕上げています。神池 mike の純米酒と純米大吟醸には、次世代を担う地元丹波市産の酒米 HyogoSake85 を、純米吟醸には兵庫県産の兵庫北錦を用います。百人一酒は、鴨庄地区の約100人の農家が育てたコシヒカリを70%まで精米した純米生酒です。
蔵のある市島町は周りを山々に囲まれ、妙高山から流れ出る清らかな水に恵まれた土地です。米どころ丹波の高品質な地域産米を調達できる強みと、150年以上代々培ってきた醸造技術を生かしています。
仕込みは10月から4月にかけて行います。「神池 mike」は、荻野弘之が自ら企画・開発し、1人仕込みで製造量が少ないことから「幻の酒」と呼ばれています。2023年に設備を小仕込み用に一新してからは、完全自社製造・自社ブランドの高付加価値な純米酒を軸にしています。
代表銘柄
花鳥末廣
創業時から愛された「末廣」の流れをくむ、蔵のベースとなる銘柄です。味のしっかりした、日本酒らしいお燗に合う酒を目指しています。純米酒は精米歩合70%で、小仕込みながらお求めやすさの限界を追求した晩酌向けの一本です。特別純米にはフクノハナ、山田錦50には加西市産の山田錦を使います。全国燗酒コンテストで金賞を重ねています。
神池
2023年に誕生した新ブランドで、銘柄名は「神池 mike(みけ)」、「神池」シリーズとして展開しています。「花鳥末廣」をより香り高く、スッキリ飲みやすく仕上げた酒で、名は神の宿る池にちなみます。純米酒は丹波市産の HyogoSake85 で、シリーズの中ではやや辛口寄りです。純米吟醸は兵庫北錦、純米大吟醸は HyogoSake85 を使います。
百人一酒
2004年、米の売れ残りに悩む地元住民の雑談をきっかけに、地元の食用米の新たな活用法として生まれた地域特産品の酒です。鴨庄地区の約100人の農家が育てたコシヒカリで醸す純米生酒で、精米歩合は70%です。飯米は酒造りが難しいとされますが、試行錯誤の末に雑味の少ない透きとおる香りに仕上げました。ラベルは地元在住の仏版画家観瀾斎さんと書家の栗原周玉さんによるもので、2020年に一新されました。
見学・購入
- 直売所
- 美酒乃蔵 加納屋、ひかみや、道の駅 丹波おばあちゃんの里、荻野興作商店、ユアサ酒店、酒商 吟SHIZUKU、北本酒店などの酒販店で購入できます。
- 補足
- 仕込みの時期にあたる10月から4月は、電話がつながりにくいことがあります。問い合わせは公式サイトのフォームからも受け付けています。
見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。
蔵の基本情報
- 所在地
- 兵庫県丹波市市島町上牧661-1
- 創業
- 1867年
- 公式サイト
- www.kamonosho.co.jp
出典
kuramaster.com / kamonosho.co.jp / binosato-umashisake.jp / tanba.jp / sakestreet.com / kansake.jp / sakechallenge.com / kobe-np.co.jp / web.pref.hyogo.lg.jp
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