SAKE BREWERY — FUKUSHIMA
廣木酒造本店
紹介
福島県会津坂下町に位置し、江戸時代中期(文化・文政年間)に越後街道沿いで酒造りを始めたとされる酒蔵です。1990年代末、杜氏の引退や先代の急逝に伴い廃業の危機に直面しましたが、9代目の廣木健司氏が蔵の再建を賭けて1999年に誕生させた「飛露喜(ひろき)」の無濾過生原酒が大きな話題となり、全国的な人気蔵へと飛躍しました。
酒造りでは主に地元産の「五百万石」を使用し、地酒として地域の風土を反映させることにこだわっています。代表銘柄の「飛露喜」は濃密さと透明感を備え、食卓の主役になり得る存在感のある味わいを目指して醸されています。また、昔から地元優先で出荷されている「泉川」は、日常の食事に寄り添う飲み飽きない味わいが特徴です。徹底した温度管理や丁寧な仕込みにより、常に高品質な酒造りを追求し続けています。
歴史
廣木酒造本店の酒造りの起源は、江戸時代後期の文化・文政年間(1804〜1830年)にさかのぼるとされています。会津と越後を結ぶ越後街道沿いのこの地で、街道を行き交う人々に酒を供したのが始まりとみられています。創業当初は酒だけでなく、味噌や醤油の製造も手がけていました。
先代(8代目)までは、生産量の約7割を大手蔵元へ桶売りしていました。1992年に家業へ戻っていた廣木健司氏は、1996年に南部杜氏が高齢を理由に蔵を去ったことを受け、父・三郎次氏と二人で酒造りを始めることになりました。ところが仕込みを終えた直後の1997年5月、父が59歳で急逝します。廣木氏は父の遺志を継ぐ形で9代目当主となり、自身が納得できる酒を造るという最後の挑戦に踏み出しました。杜氏を持たずに自ら酒を醸してきたその歩みから、後年「蔵元杜氏の先駆け」とも言われるようになります。
再建のきっかけとなったのは、蔵の苦境をテレビで知った東京の酒販店からの一本の電話でした。この酒販店とのやり取りを通じて、自らが搾った生酒に手応えを見出した廣木氏は、1999年、無濾過・無加水・無加熱にこだわった生原酒を「飛露喜」の名で発売します。当時、無濾過生原酒を看板商品に据える蔵はまだ少なく、その鮮烈な味わいはまたたく間に評判を呼びました。「飛露喜」は日本酒業界に「無濾過生原酒」という新しいジャンルを広める先駆けとなり、発売前と比べて蔵の石高(生産量)は3倍にまで拡大したとされています。
酒造り
廣木酒造本店では、使用する米の約7割を蔵から半径15キロ以内で収穫された地元産「五百万石」が占めています。地酒として地域の風土を映すことを重視する一方で、鑑評会でも通用する品質を追求し、山田錦もおよそ25%の割合で使用しています。廣木健司氏は「全量、鑑評会レベル」を掲げ、出品用だけでなく通常出荷する酒についても高い品質基準を課しているとされます。市販酒の品質を競う「SAKE COMPETITION」では、第1回の2012年に「飛露喜 特別純米 生詰」が純米酒部門で1位を獲得し、2019年には「飛露喜 純米吟醸」が純米吟醸部門で1位を獲得しています。
仕込み水には、会津坂下町を流れる阿賀川水系の伏流水を濾過して使用しています。杜氏を置かず、廣木健司氏自身が蔵元杜氏として酒造りを担っているのも同蔵の特徴です。「飛露喜」で確立した無濾過生原酒づくりの技術を土台に、その後は火入れ酒についても品質向上に注力し、生酒・火入れ酒の両面で高い評価を得るに至りました。
蔵データ
福島県河沼郡会津坂下町字市中二番甲3574
代表銘柄
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飛露喜:「飛露喜」は、1999年に9代目・廣木健司氏が蔵の再建を懸けて世に送り出した無濾過・無加水・無加熱の生原酒です。「喜びの露が飛び散る」に通じる酒銘には、造り手の再起への思いが込められているとされます。無濾過生原酒では、搾ったままの状態にこだわることで、米の旨みと生酒ならではの鮮烈な香りを引き出しています。発売当初から入手困難な人気銘柄となり、現在は純米吟醸黒ラベルや純米大吟醸山田錦などのラインナップにも展開され、常に品薄状態が続く全国区の銘柄として知られています。
泉川:「泉川」は、全国的な人気を誇る「飛露喜」とは対照的に、会津坂下の地元で古くから飲み継がれてきた銘柄です。雑味の少ないクリアな口当たりと、口中に広がるなめらかな旨みを特徴とし、日々の食卓に合わせやすい飲み飽きしない酒質を目指して造られています。純米吟醸では五百万石を用い、精米歩合55%、アルコール度数15%に仕上げられています。
見学・購入
なし
直売所があり、主に「泉川」を販売しています(試飲は不可)。
直売所の営業時間は9:00〜17:00で不定休。蔵の見学は受け付けていません。
見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。
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出典
kato-yamadanishiki-sake.jp / fukunosake.com / kennan-syuhan.co.jp / bookpark.ne.jp / hechima.co.jp / sake.science / ja.wikipedia.org / note.com / tif.ne.jp / sakeai.com / saketime.jp / sake-times.com / dancyu.jp / nihonmono.jp
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