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岡田屋本店

代表銘柄:和韻・菊弥栄・無用の用

島根県

SHIMANE

1877年創業

島根県益田市染羽町にある岡田屋本店は、1877年(明治10年)創業の酒蔵です。画聖・雪舟が住職を務めた医光寺のすぐ近くに蔵を構えています。主要銘柄「菊弥栄(きくやさか)」は、「日本の弥栄(ますます栄えること)」を願って命名されました。創業以来、大手メーカーへの桶売りを行わずに地元に根ざした酒造りを継続。二代目当主が東京帝国大学時代に清酒の腐敗原因となる「火落ち菌」を共同で発見したと蔵は伝えており、日本酒業界の技術発展にも貢献した歴史を持っています。

2008年(平成20年)に民事再生手続きを行って上場企業の傘下に入り、2014年(平成26年)には株式を買い取って再び独立しました。「食事を楽しく美味しく!」をモットーに、純米吟醸「和韻」をはじめとする清酒造りのほか、地元の農産物を活かした焼酎や、島根初のドライタイプのクラフトジン、ボタニカル焼酎の製造など、伝統を守りながら多様な商品開発にも挑戦しています。過去には全国新酒鑑評会での金賞受賞歴もあります。

岡田屋本店の歩み

島根県益田市染羽町にある岡田屋本店は、清酒「菊弥栄(きくやさか)」を造る酒蔵です。蔵は、画聖・雪舟が第五代住職を務め、自ら庭園も造ったと伝わる龍蔵山医光寺のすぐそばの、閑静な住宅街にあります。初代の大谷嘉十郎は明治5年(1872年)に醤油造りで創業し、明治10年(1877年)から清酒造りを始めました。蔵は清酒造りを始めた明治10年を創業としています。

初代嘉十郎は清酒造りで財をなしましたが、酒と社会との関わりに悩み、家督を二代目嘉十郎に譲ったあと、龍蔵山の頂に自費で庵を建てて暮らしました。庵は「慈善院」と名付けられ、貧しい人々に薬を分け与えました。二代目は東京帝国大学に進み、蔵では、学生時代に清酒を腐らせる火落ち菌を共同で発見したと伝えています。火落ち菌の研究で多くの報告を残し、有名蔵元の酵母を分離して優れた酵母の大切さを発表するなど、酒造業界に貢献しました。

家督を譲る際は、長男の嘉助に酒造業を、ほかの弟たちに林業と医薬を継がせ、この二つの事業は今も益田で営まれています。

三代目の大谷嘉助は、酒で身を亡ぼす人々を見て家業を嫌い、東京で弁護士として働きましたが、のちに益田へ戻って家業を継ぎました。酒と社会との関わりに悩んだ嘉助は、浄土真宗の高僧・足利浄円に教えを乞い、悩まず人々の幸せを願って酒を造り続けるよう諭されて、「菊弥栄」という言葉を授かりました。菊は日本人を表し、日本と日本人がますます栄えるという意味で、以来、これが蔵の代表銘柄になっています。

四代目の大谷嘉行は広島大学で醸造学を学び、当時、地方の酒蔵で行われていた桶売りを一切せず、酒造りの近代化を進めました。季節雇用をやめ、省力化のために機械化を進めました。昭和55年に老朽化した工場家屋を建て替えましたが、昭和58年の集中豪雨で壊滅的な被害を受けました。平成6年に大谷家へ養子に入った大谷弘二が入社して五代目となり、平成20年に民事再生手続きを行い、翌年に認可されて上場企業の傘下に入りました。平成26年には親会社から株式を買い取り、再び独立した企業になっています。

事業の幅も、この間に広がりました。平成10年に米焼酎の製造に着手し、平成23年にリキュール、令和2年にスピリッツの製造免許を取得して、それぞれの商品開発を進めています。清酒では、全国新酒鑑評会の平成15酒造年度(平成16年5月発表)に、商標「菊弥栄」で金賞を受賞しました。

酒造りの特徴

仕込みに使う水は地下60メートルからくみ上げており、蔵は龍蔵山の伏流水と考えています。米は、大吟醸に兵庫県産の山田錦を使うほか、島根県産の神の舞、五百万石、コシヒカリを使います。純米酒「石見野」のコシヒカリと、無用の用の特別純米酒の五百万石は、高津川の源流域で育てられた米です。造りの方針は、過度な香りを避け、食事が進む味わいを目指すことです。「食事を楽しく美味しく!」を製品開発のテーマに掲げ、蔵は酒と健康、人々の幸せとの関わりを大切にしています。

清酒には、菊弥栄と無用の用の二つのブランドがあります。菊弥栄には、大吟醸、島根県産の神の舞を使った数量限定の純米大吟醸、純米酒「石見野」、純米吟醸、上撰があります。無用の用には、純米大吟醸、純米吟醸、特別純米酒があります。

清酒のほかにも、焼酎、リキュール、スピリッツ、甘酒を造る、多品目少量生産の蔵です。焼酎では益田市匹見町産のわさびを使ったわさび焼酎や、菊芋焼酎「無用の用」などを手がけ、リキュールには益田市産の柚子などを使います。令和3年(2021年)5月28日には、匹見町のクロモジを使った麦焼酎ベースのクラフトジン「島根ジン 森恩(しんおん)」を発売しました。蔵はこれを「島根初のドライタイプのクラフトジン」と位置づけています。

蔵は、地元の原料を使うことを目標にしています。耕作放棄地の増加に歯止めをかけるため、令和7年(2025年)の時点で約5年前から柚子畑をつくっており、同年から面積を3倍に広げて柚子と梅を植える計画を進めています。収穫した果実は、すべて自社のリキュールの原料にします。将来は酒米の栽培も考えています。

代表銘柄

和韻

菊弥栄の純米吟醸に付けられた名で、「菊弥栄 純米吟醸 和韻」として流通しています。穏やかな香りがあり、どっしりとしたボディ感のある純米吟醸酒で、酒米の王といわれる山田錦の味がしっかりと感じられます。口に含むと、まったりとした余韻が広がるのが特徴です。

菊弥栄

蔵の代表銘柄で、三代目嘉助が高僧・足利浄円から授かった言葉にちなみ、日本と日本人がますます栄えることを願って付けられた名です。山田錦を40%精米して全量に使う大吟醸、島根県産の神の舞を使う純米大吟醸、島根県産コシヒカリで仕込む純米酒「石見野」などがあります。平成15酒造年度には、この商標で全国新酒鑑評会の金賞を受賞しました。

無用の用

清酒のブランドで、純米大吟醸、純米吟醸、特別純米酒があります。純米大吟醸は精米歩合50%、特別純米酒は60%で、どちらも島根県産の五百万石で仕込みます。特別純米酒は高津川の源流域で育てた五百万石を使い、アルコール度数は15〜16度、日本酒度は+4です。純米大吟醸は爽やかな酸味が広がり、香りと共にすっきりした味わいです。なお、同じ名の菊芋焼酎もありますが、これは別の酒類です。

見学・購入

蔵見学
なし
直売所
蔵元直営の楽天市場店で通販しています。益田市内では、キヌヤの各店、エアポートショップ萩・石見、道の駅サンエイト美都などで取り扱いがあります。
補足
蔵見学は受け付けていません。営業時間は8時から17時30分で、定休日は土日と祝日(不定休)です。蔵のすぐ近くにある医光寺の雪舟庭園は、国の史跡・名勝に指定されています。

見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。

蔵の基本情報

所在地
島根県益田市染羽町5-7
創業
1877年
公式サイト
www.kikuyasaka.co.jp

出典

sakenomy.jp / sake-labo.com / izumoan.com / shimane-sake.or.jp / jfex.jp / risvel.com / agrifood-expo.jp / kikuyasaka.co.jp / sanin-chuo.co.jp / kankou-shimane.com / masudashi.com / monogatari-sake.com / sakaguramirai.com / item.rakuten.co.jp / nrib.go.jp

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