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森民酒造

代表銘柄:森泉

宮城県

MIYAGI

1883年創業

森民酒造の建物
森民酒造の建物(2019年撮影)「Moritami sake shop.jpg」 — 写真:Ty19080914 / CC BY-SA 4.0縮小・WebP変換

宮城県大崎市岩出山に所在する森民酒造店は、1883年(明治16年)創業の歴史ある酒蔵です。江戸時代に岩出山伊達家の学問所であった「旧有備館」の敷地に隣接しています。

酒造りには、蔵内の釜場にある自家井戸から汲み上げた硬度2〜3度の超軟水を使用し、洗米から仕込みまでを行っています。宮城県内では淡麗辛口が主流とされる中、あえて濃醇甘口でやわらかさと米の旨味を生かした味わいを目指しているのが特徴です。また、1974年(昭和49年)からは長期熟成酒(古酒)の製造にも取り組んでいます。

1995年(平成7年)頃からは蔵元の森民典氏が自ら杜氏を兼ね、少量の手造りによる丁寧な醸造を続けています。明治期の店舗兼主屋・釜屋・酒造蔵などが現存し、国の登録有形文化財(2015年)に登録されており、敷地内には「昭和レトロ館」が併設されています。代表銘柄は「森泉」です。

森民酒造の歩み

森民酒造店は、宮城県大崎市岩出山にある酒蔵です。創業は1883年(明治16年)で、仕込み水に恵まれた岩出山で酒造りを始めました。岩出山は伊達政宗が青年時代を過ごした城下町で、いまも石畳や蔵の街並みが残っています。蔵の敷地には、江戸時代に岩出山伊達家の学問所だった旧有備館が隣接しています。

戦前の蔵は年に1,000石以上を生産し、冬には南部杜氏が蔵人を連れて泊まり込みで仕込みに入るほどの規模でした。昭和13年にまとめられた宮城県酒造組合の周年史にも、玉造郡岩出山町の組合員の酒造家と、その銘柄の一つとして「森泉」の名が載っています。

蔵元の森民典さんは、1975年(昭和50年)に30歳で家業を継ぎました。はじめは蔵元として販売の仕事に専念していましたが、高齢になった杜氏を手伝ううちに酒造りに携わるようになり、杜氏の引退を機に自分で造るようになりました。平成7年(1995年)ごろからは、蔵元が杜氏を兼ねて酒造りを続けています。

2011年の東日本大震災では母屋が倒壊し、その後の復旧工事で往時の面影が戻りました。震災前まで酒造りに使っていた創業時の蔵は、壁の一部が落ちて断熱に支障が出たため使わなくなりましたが、2018年時点では古いタンクが展示され、かつての姿を見ることができました。

敷地内の店舗、酒造施設、住居は国の登録有形文化財です。2015年11月17日に、店舗兼主屋、釜屋、酒造蔵、煙突、居宅、奥座敷、離れ座敷、北土蔵の8棟が登録されました。このうち店舗兼主屋、釜屋、酒造蔵の3棟は、いずれも創業した明治16年(1883年)ごろの建築です。酒造蔵は桁行36メートルの土蔵造平屋建てです。仕込み作業用の中二階や酵母室を備え、周囲の景観に寄与する大型の酒蔵です。高さ16メートルのレンガ造の煙突は、この蔵の目印になっています。

離れ座敷は昭和10年ごろに隠居屋として建てられた座敷で、現在は昭和レトロ館として公開されています。

酒造りの特徴

仕込みに使う水は、蔵内の釜場にある井戸から汲み上げています。洗米から仕込みまで、すべてこの井戸水です。水質は硬度2〜3度の超軟水で、鉄分が少なく雑味の少ない、真水に近い水です。江戸時代から湧いているという井戸で、ろ過や浄水をしすぎずに大切に使われています。蔵元は、酵母は真水を好まないと言われるのに、この水でもほどよく発酵してくれると話しています。

宮城県の酒は口当たりがよくさらりとした淡麗辛口が主流ですが、森民酒造店が目指すのはあえて濃醇甘口で、蔵元は「濃くて、甘い、そんな酒」と表現しています。軟水で仕込むことで、やわらかさと甘みのある穏やかな酒になります。万人に合わせるのではなく、好きな人に楽しんでもらえればよいという姿勢で、蔵元は、辛口が好まれる中でも、実は甘口が好きという人は多く、そう言って買いに来る人もいると話しています。

2018年時点では、米は地元の大崎で収穫された「ひとめぼれ」を主に使っていました。酒造好適米ではなく食用米ですが、蔵元は、純米酒にすると米のうまみがよく出た酒になると話しています。造りに関わるのはほとんど蔵元一人で、数人の手伝いとともに6月と7月を除く10か月間仕込み、年間の生産量は100石に満たない小規模な蔵です。できあがったらすぐに売る方針で、蔵に併設した店舗で売るのを基本としています。

1974年(昭和49年)からは長期熟成酒にも取り組んでいます。きっかけは、研修で訪れた東京の国税庁醸造試験所(現在の酒類総合研究所)で、岐阜の蔵の古酒を口にして、紹興酒のような風味に驚いたことでした。純米酒は常温で、吟醸酒は冷蔵庫で低温熟成するなど、酒質に合わせて試行錯誤を重ねています。2018年時点では、蔵に残る最も古い酒は1974年のもので、12年熟成の純米吟醸酒と35年熟成の大吟醸酒が販売されていました。

代表銘柄

森泉

「森泉」は、岩出山の井戸水を使い、濃醇甘口を目指して造られる森民酒造店の酒銘です。名は、近くの真山で見つけた清水を仕込み水にしたことから、姓の「森」と「泉」を合わせて付けられました。定番は純米酒で、生原酒は2018年時点で20年来の人気商品でした。しぼった生原酒をそのまま瓶に詰めた「しぼったまんま」もあります。1974年から取り組む長期熟成の古酒も扱っています。

見学・購入

蔵見学
なし
直売所
蔵に併設の店舗で直売しています。営業時間は9時から17時、定休日は火曜と水曜です。
補足
酒造りの見学は受け付けていません。公開されているのは敷地内の昭和レトロ館で、昭和10年ごろに建てられた離れ座敷です。2018年時点では土日祝の10時から16時に入館でき、料金は大人300円、小学生以下200円でした。昭和レトロ館の見学は予約制とする案内もあります。JR陸羽東線の有備館駅から徒歩数分で、訪れる前に電話(0229-72-1010)で営業状況を確かめておくと安心です。

見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。

蔵の基本情報

所在地
宮城県大崎市岩出山字上川原町15
創業
1883年

出典

sakenomy.jp / sake-times.com / miyagisake.jp / miyagi-osaki.com / jtb.co.jp / walkerplus.com / rurubu.jp / bunka.nii.ac.jp / pref.miyagi.jp / sake-guide.com / nta.go.jp / konan-u.ac.jp / tohokukanko.jp / sakenopage.com / kotobank.jp

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