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鈴木酒造店

代表銘柄:磐城壽

福島県

FUKUSHIMA

1840年創業

江戸時代末期の天保年間(1830〜1844年)、廻船問屋を営むかたわら相馬藩から濁酒製造を許されたのが始まりとされる老舗酒蔵です。かつては福島県浪江町請戸地区に蔵を構え、「日本で一番海に近い酒蔵」として地元漁師らに愛され、代表銘柄「磐城壽」は大漁や海の無事を祈る祝い酒として親しまれてきました。2011年の東日本大震災による津波で全建屋が流失し、原発事故の影響で避難を余儀なくされましたが、研究機関に預けていた自社の酵母を頼りに再起を決意。同年に山形県長井市の酒蔵(旧東洋酒造)を継承して酒造りを再開しました。

さらに震災から10年を経た2021年、「道の駅なみえ」内に浪江蔵を新設し、故郷での酒造りを復活させました。現在は浪江と長井の2拠点で醸造を行っています。浪江蔵では浪江町産コシヒカリなどの地元米と高瀬川の水を使用し、小仕込みによる丁寧な酒造りを実践しています。

鈴木酒造店の歩み

鈴木酒造店の酒造りは、江戸出しの廻船問屋を営むかたわら、相馬藩から濁酒の製造を許されたことに始まります。天保年間には製造を行っていた記録があり、創業は天保年間(1830〜1844年)とされます。創業の地は請戸川の河口に開けた港町で、現在の浪江町請戸にあたります。堤防を挟んだ向こうが海という立地から、「日本一海に近い酒蔵」と呼ばれてきました。

「板子一枚下は地獄」といわれるように、海の男たちは命の危険と隣り合わせの仕事の中で縁起を重んじ、めでたい名前が重宝されました。これが代表銘柄「磐城壽」の名の由来です。請戸では、その日に水揚げした魚の売上が20万円以上になると漁協から大漁祝として壽が届き、漁の具合を「酒になったが?」と尋ねるのがあいさつになっていました。蔵でも「今日は酒がでたな!」という日は大漁の日でした。請戸の蔵の時代にも、平成20酒造年度の全国新酒鑑評会で磐城壽が入賞しています。

2011年3月11日の東日本大震災で、蔵は全建屋が流失しました。蔵は福島第一原子力発電所から直線距離で7kmの場所にあり、原発事故によって避難指示が出されます。震災の約2か月前に、研究目的で福島ハイテクプラザに送っていた酵母が残っているという知らせを受け、震災前の浪江の酒の再現に向けて動き始めました。震災直後から福島県内の酒蔵を借りて酒を出荷すると予想以上の反響が寄せられ、早期の再出発を心に決めます。

再出発の地となった山形県長井市の蔵は、最上川舟運で栄えた小出村(現・長井市街南部)の有力者たちが出資し、昭和6年に東洋酒造株式会社として創業した蔵です。創業当時の銘柄は「東洋乃誉」「菊東洋」で、のちに「一生幸福」が主要銘柄になりました。平成23年10月に株式会社鈴木酒造店が全株式を取得し、同年12月に現社名の株式会社鈴木酒造店長井蔵へ名称を変更しています。長井蔵の酒は全国新酒鑑評会でも評価を受け、平成28酒造年度と令和3酒造年度に「一生幸福」が、令和7酒造年度に「磐城壽」が金賞を受賞しました。

平成29酒造年度、令和4酒造年度、令和6酒造年度の「一生幸福」も入賞しています。

震災から10年を経た2021年3月、浪江町の「道の駅なみえ」に隣接する「なみえの技・なりわい館」に公募事業者として入居し、浪江蔵を開いて故郷での酒造りを再開しました。浪江町に戻って初めて醸造した酒は「ただいま」という名前で、浪江町産のコシヒカリと浪江の水を使った酒でした。2023年8月には、浪江蔵で造った酒が香港へ初めて正式に輸出されました。長井蔵はそのまま続けられ、代表の鈴木大介さんは二つの蔵を行き来しながら、長井と浪江の二つの故郷で酒を醸しています。

酒造りの特徴

浪江蔵は、真新しい設備を整え、少人数でも酒造りができるようにした蔵です。量産はできませんが、多品種を少量で造りながら、季節ごとに新しい味わいに挑戦しています。全てが丁寧に管理できる小仕込みで、一年を通して醸造が行われており、仕込みから完成までは約1か月の工程です。前面をガラス張りにした施設の中で行う酒造りの様子は、ガラス越しに見ることができます。

原料米は、浪江町の酒田地区で育った飯米のコシヒカリを、杜氏が自ら田んぼを見ながら厳選して使っています。酒かすを肥料として再利用する米づくりにも取り組み、自社での精米も再開しました。仕込み水は、阿武隈山系を源とする高瀬川が流れる小野田地区で汲み取った水です。町の水道課の分析では一般細菌がなく、全国的にも珍しいほどの水質です。きれいな味わいで輪郭が立ちすぎず、体にスーッと入ってくる水で、酒の味わいまできれいになります。

浪江町の町花コスモスから分離した酵母で仕込む純米吟醸「壽こすもす」や、通常の日本酒では使わない白麹で爽やかな酸味を出した夏季限定の純米酒「さざなみ」など、新しい挑戦も続けています。

長井蔵では、地内に湧く井水を仕込み水に使っています。輪郭のあるとてもきれいな軟水です。全ての仕込みを小仕込みに統一し、震災後から三季醸造を取り入れました。商品はもろみごとの瓶詰めで、全てが瓶貯蔵、一部は雪室で貯蔵しています。平成26年度の作付からは原料米の契約栽培の比率を上げ、地域と関わりながら風土に根ざした酒造りを模索してきました。

震災前の請戸の蔵では、請戸川の伏流水といわれる井戸水を使っていました。川の水圧と海の水圧が合わさる地点にある井戸で、海からのミネラル分とクロール分を多く含み、ミネラル分は酵母の発酵を旺盛にし、クロール分は米を溶かして米の味を十分に引き出します。発酵が進みやすい硬水ながら、この水で仕込んだ酒には独特のとろみと舌ざわりがありました。請戸の蔵の酒は、しっかりとふくよかな米の味を感じられる、やさしい口当たりが持ち味でした。

代表銘柄

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磐城壽

海の男たちが縁起を重んじ、めでたい名が重宝されたことに由来する代表銘柄で、請戸の漁師たちが大漁を祝う酒として親しんできました。現在は長井蔵と浪江蔵で造られ、浪江蔵では浪江町産コシヒカリで仕込む大漁祝シリーズが並びます。純米吟醸「紺碧」は精米歩合55%、純米酒「山吹」は65%、純米大吟醸「黄金」は40%です。令和7酒造年度には、長井蔵の磐城壽が全国新酒鑑評会で金賞を受賞しました。

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見学・購入

蔵見学
あり(要事前確認)
直売所
道の駅なみえ内の売店「SakeKuraゆい」で、鈴木酒造店の定番商品から新商品まで並び、生搾りの酒、できたての酒粕、日本酒を使った加工品も販売しています。大堀相馬焼の器で日本酒を味わえるカフェコーナーもあります。営業時間は10時から18時で、毎月最終水曜日が定休日です。
補足
蔵の内部の見学は受け付けていませんが、前面ガラス張りの施設で行う酒造りの様子を、ガラス越しに見ることができます。

見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。

蔵の基本情報

所在地
福島県双葉郡浪江町幾世橋知命寺40(なみえの技・なりわい館内)
創業
1840年

出典

iwakikotobuki-namie.com / japansake.or.jp / fukunosake.com / jcci.or.jp / jsbs.jp / sou-sou-fukushima.jp / imadeya.co.jp / iw-kotobuki.co.jp / nrib.go.jp / minyu-net.com / fukushima-hook.jp / f-sake.com / prtimes.jp

本ページは自動収集した情報を編集したものです。公開資料に基づく記事で、現地取材・実飲による評価ではありません。内容に関するご指摘はお問い合わせへお寄せください。