姫路灘菊酒造
代表銘柄:一辛・灘菊・酒造之助
兵庫県
HYOGO
1910年創業
1910年(明治43年)創業、兵庫県姫路市に所在する酒蔵です。代表銘柄「灘菊」の超辛口純米「一辛」をはじめ、「MISA」などを手掛けています。酒米には兵庫県産の「山田錦」や西播磨特産の「兵庫夢錦」などを中心に厳選し、小仕込み・手造りによる丁寧な酒造りと、瓶貯蔵による徹底した品質管理を行っています。食中酒として楽しめる酒造りを追求している点が特徴です。2025年(令和7年)5月1日に社名を姫路灘菊酒造株式会社へ変更しています。
2004年(平成16年)より蔵元の三女である川石光佐氏が杜氏を務めており、2010年には西日本初となる女性南部杜氏の資格を取得しました。南部杜氏自醸酒鑑評会にて優等酒に選ばれた実績もあります。敷地内には明治創業当時の木造酒蔵が現存しており、酒蔵の見学コースや直売所、食事処が併設された観光酒蔵としても親しまれています。
姫路灘菊酒造の歩み
1910年(明治43年)10月、川石酒造作が川石本家酒類から独立して川石酒類合資会社を創業し、現在の姫路市手柄にあたる地で清酒づくりを始めました。社名の「灘菊」は、姫路の前に広がる播磨灘の「灘」と花の「菊」を合わせたものに由来します。その後、昭和23年に川石酒類合資会社と灘酒造合資会社を播州酒造有限会社に改組し、昭和33年に灘菊酒造株式会社となりました。
二代目の川石幸作は積極的に製造量を増やし、昭和39年には地酒メーカーとしては珍しい鉄筋コンクリートの三季醸造蔵「甲蔵」を完成させました。姫路駅では日本酒とおでんの店「酒饌亭 灘菊」を開き、のちに串揚げの店「蔵」も始めました。こうした飲食店の展開が、現在のモットー「お酒と食文化のハーモニー」の礎になっています。三代目の川石雅也は昭和59年に代表取締役に就任しました。
平成5年2月には酒蔵見学と直売所を始め、平成7年に酒蔵の膳処「西蔵」、平成9年に綿菓子牛鍋とお豆腐の「前蔵」を開きました。平成5年に姫路城が世界文化遺産に登録されたことや、創業当初の木造酒蔵が残ること、酒蔵料理がすべて手づくりであることが好評を呼び、平成25年度には年間10万人が訪れました。平成6年からは大量生産から小ロット生産へ切り替え、500kgの小仕込みを始めました。平成22年には創業100周年を迎えています。
令和2年4月には、杜氏を務める四代目の川石光佐が代表取締役に就任しました。令和7年5月1日には社名を姫路灘菊酒造株式会社に変更しています。創業者の川石酒造作の末弟にあたる川石酒造之助(1899〜1969)は、フランスに柔道を広め「フランス柔道の父」と称された人物です。蔵には功績を紹介する展示コーナーがあり、生誕百年を記念して西暦2000年に大吟醸「酒造之助」が発売されたほか、輸出専用の純米大吟醸「柔道」もこの人物にちなんでいます。
全国新酒鑑評会では、大吟醸「酒造之助」で平成14酒造年度以降に6回入賞しており、うち金賞は平成30酒造年度と令和4酒造年度、令和5酒造年度の3回です(ほかは平成28酒造年度、令和2酒造年度、令和6酒造年度の入賞)。南部杜氏自醸清酒鑑評会では、第95回・第96回・第98回・第99回・第100回・第102回・第104回・第105回・第106回の9回、優等酒に選ばれています。
海外では、輸出専用の純米大吟醸「柔道」がKura Masterの純米大吟醸酒部門で2020年に金賞、2022年と2023年にプラチナ賞を受け、2022年には決勝に進んだ32点にも選ばれました。蔵の発表では、IWC 2016で特別純米「MISA」がブロンズメダルを受けています。
酒造りの特徴
酒米は「山田錦」「兵庫夢錦」「五百万石」など兵庫県産米を中心に使い、吟醸酒には全量で山田錦を用います。西播磨特産の兵庫夢錦は、神崎郡市川町の農家との契約栽培です。平均精米歩合は58%で、平成27年度の全国平均64.6%を下回り、ほぼ吟醸酒並みに磨いた米を使っています。杜氏は、地元の米、蔵の地下水、地元の人で醸すことが灘菊の味のオリジナリティだと考えています。
年間の製造量は200石(一升瓶換算で約2万本)で、洗米や麹づくりなどの各工程は手作業で進めます。最後のしぼりには、昔ながらの槽型30段しぼり機(ヤエガキ式)を全量の酒に使い、通常の半日に対して3日間かけてゆっくりしぼります。出来上がる量は通常より約10%少なくなりますが、ピュアで透明感のある酒質になるとしています。仕込みは鉄筋の「甲蔵」で行い、期間中の6か月は途中で止められない作業が続きます。
しぼった酒は1週間以内に瓶詰めし、瓶1本ごとに品質を管理します。大吟醸・吟醸・生酒クラスは1℃で冷蔵貯蔵し、純米と本醸造は10〜15℃で3か月から1年半、商品に合わせて貯蔵したのち、熟成の状態を見て出荷します。
杜氏の川石光佐は1978年に蔵元の三女として生まれ、2001年に東京農業大学農学部醸造学科を卒業して入社しました。南部杜氏の鎌田勝平のもとで3年間修業し、2004年に杜氏に就任しています。酒造技能士1級に合格したのち、2010年に南部杜氏組合の杜氏試験に合格し、南部杜氏として女性では3人目、西日本では初めてとなりました。「酒造りを五感で楽しむ」をモットーに、蔵人は若手の社員が担っています。
代表銘柄
一辛
超辛口純米「灘菊一辛」は、日本酒度プラス10の辛口の純米酒です。原料米は岡山県産のアケボノで、精米歩合は70%、アルコール度数は15度です。米の旨味の中にキリリと辛いのど越しがあり、後口はすっきりとドライで軽快な味わいです。冷やからぬる燗、熱燗まで幅広い温度で楽しめ、鰹のたたきやホッケのひらきなどのお肴と合わせやすい食中酒としておすすめです。
灘菊
蔵の名を冠した純米酒「純米 灘菊」は、兵庫夢錦と兵庫県産山田錦を原料米に、精米歩合70%で造る米だけのお酒です。柔らかくふくよかな旨味があり、さわやかな酸味を備えたやや辛口の食中酒です。冷酒、ぬる燗、熱燗と温度で表情が変わります。全国燗酒コンテスト2016のプレミアム燗酒部門で最高金賞を受けたほか、南部杜氏自醸清酒鑑評会でも優等酒に選ばれています。
酒造之助
大吟醸「酒造之助」は、フランス柔道の父と称された川石酒造之助の生誕百年を記念して西暦2000年に発売された、蔵の最上級品です。兵庫県産の特Aランクの山田錦を精米歩合40%まで磨き、約2か月かけて手造りで醸します。華やかで気品のある香りと芳醇な旨味が特徴です。全国新酒鑑評会では平成30酒造年度、令和4酒造年度、令和5酒造年度に金賞を受けています。
見学・購入
- 蔵見学
- あり(要事前確認)
- 直売所
- 蔵元直売所(営業時間10:00〜17:00、有料・一部無料の試飲あり)。酒蔵に併設の食事処(西蔵・前蔵)のほか、姫路市内に串揚げの「蔵」とおでんの「灘菊かっぱ亭」があります。
- 補足
- 創業当時からの木造酒蔵を巡る酒蔵ミュージアムは、9名様以下なら予約不要の自由見学で、10名様以上は前日までの予約制です。年末年始(12月31日〜1月3日)を除き無休です。仕込み蔵の「甲蔵」は通常は非公開で、1〜3月の週末に限定10名のプレミアム見学会(要予約)で公開されます。手柄駅から徒歩約5分、姫路駅から車で約5分です。
見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。
蔵の基本情報
- 所在地
- 兵庫県姫路市手柄1丁目121
- 創業
- 1910年
- 公式サイト
- www.nadagiku.co.jp
出典
harima-sake.jp / sakenomy.jp / yahoo.co.jp / wikipedia.org / nadagiku.co.jp / hyogo.lg.jp / rurubu.jp / houjin-bangou.nta.go.jp / kuramaster.com / city.himeji.lg.jp / jozo.or.jp / nrib.go.jp
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