金升酒造
代表銘柄:初花・金升
新潟県
NIIGATA
1822年創業
金升酒造は文政5年(1822年)に創業し、昭和5年(1930年)に旧新発田藩主の御菜園跡地にあたる現在の新発田市へ工場を完成させて移転した酒蔵です。社名は、昭和5年に高橋酒造店から改称した際に創業時からの屋号「金升(かねます)」にちなんで定めたもので、「長さは尺金で測り、嵩は升で量る(正確で正直な商売を目指す)」という意味が込められています。
仕込み水には飯豊山系の豊かな伏流水を使用。地元農家と共同で農業法人を設立し、蔵人自らが自社田で酒米の栽培を行うなど、原料生産から一貫した地産酒造りに取り組んでいます。また、清酒のほか自社製米焼酎の蒸留も手掛けており、定番酒「金升 朱ラベル」では自社製米焼酎を添加した伝統的な柱焼酎仕込みを採用している点が特徴です。純米銘柄の「初花」や定番シリーズ「金升」などを展開しています。
金升酒造の歩み
創業は文政5年(1822年)です。初代の高橋善之助が、北蒲原郡岡方村長戸呂(現在の新潟市にあたる地)で高橋酒造店を興しました。明治16年(1883年)には濁川村名目所(現在の新潟市にあたる地)へ移っています。
大正8年(1919年)、三代目の高橋耘平が、旧新発田藩主溝口侯の御菜園(薬草園)跡地への蔵の移転を決めました。移転の適地の条件には、水の便がよいこと、米産地の中央にあたること、交通の便がよいこと、販売地域を広げられること、都会に近く子女の教育に便利なことが挙げられました。移転が実現したのは昭和5年(1930年)で、新発田で現在の工場が完成し、組織を改めて、屋号にちなんだ金升酒造株式会社となりました。
紋印は尺金と升を組み合わせた図案で、創業時から使われており、「長さは尺金で測り、嵩は升で量るように、正確で正直な商売をする」という先人の意思が込められています。
昭和15年(1940年)には単式と連続式の蒸留施設を備えた工場を増設し、焼酎類の製造を始めました。昭和19年(1944年)には戦況の悪化に伴う国策で清酒の製造を中断しています。昭和20年(1945年)に四代の高橋六次郎がウイスキーの蒸留免許を取得し、モルトの自社蒸留を始め、平成22年(2010年)に免許を返上するまで「KINSYO(KINSHO)WHISKY」の銘柄で製造販売しました。清酒の製造免許が復活したのは昭和30年(1955年)で、昭和38年には、蔵の発表では全国でもっとも早く清酒の四季醸造を始めています。
昭和45年(1970年)には「あかい酒」の製造を始めましたが、現在は造っていません。
平成22年(2010年)に経営体制を一新し、平成27年(2015年)までに、清酒を定番銘柄の「碧ラベル」「朱ラベル」と純米銘柄の「初花」に統一しました。平成26年(2014年)には構内に蔵カフェを開き、名匠・田中泰阿弥が作庭した庭園の見学や「蔵まつり」も行ってきました。蔵カフェは2025年時点で休業中です。令和元年(2019年)度には新たな事業連携体制に移行し、県外や海外のお客様に味わってもらう機会が増えました。
令和4年(2022年)には創業200年を迎え、記念に1986年醸造の純米酒を詰めた「金升 参拾六年古酒」を限定999点で出し、ブラジル産の珈琲豆を使った「リキュール BRAZIL 珈琲乃酒」も発売し、好評のうちに完売しました。
受賞は、全国新酒鑑評会では、平成14酒造年度と平成16酒造年度に「初花」が入賞しています。関東信越国税局酒類鑑評会では、第73回(平成14年)で「初花」が受賞し、第74回(平成15年)の吟醸酒の部で優秀賞を受けました。第77回(平成18年)と第78回(平成19年)の燗審査の部でも、「初花」が優秀賞を受賞しています。
酒造りの特徴
仕込み水は飯豊山系の伏流水です。定番の「碧ラベル」では、仕込みに使う水の量(汲水)と麹の造り方を工夫し、この水が持つ柔らかなうまみに、後口のキレのよさを加えています。仕込み蔵の冷房などを用いた四季醸造方式を早くから取り入れ、一年を通して安定した品質の酒を届けることを目指しています。
米づくりにも力を入れています。平成29年(2017年)に地元農家と共同で農業法人「かなうカンパニー」を設立し、高齢化や後継者不足で効率性から淘汰されやすい中山間地の農地を耕作して、自社栽培米を育てています。田んぼは飯豊山系の伏流水に恵まれた土地にあります。「純米大吟醸 初花」「特別純米 初花」「金升 朱ラベル」には、この自社栽培米の「越淡麗」を使い、精米歩合はそれぞれ40%、55%、60%です。一方、「碧ラベル」の原料米は新潟県産の五百万石です。
令和2年度(2020年度)には、フランス・ブルゴーニュ地方の自家栽培・自家醸造のワインづくりに着想を得て、地元出身のワインソムリエ・渋谷康弘氏と「ドメーヌ高橋プロジェクト」を始めました。一枚の圃場で採れた米だけを仕込む無濾過の生原酒で、ラベルとパッケージは新発田出身のアートディレクター・鈴木直之氏が手がけています。2020年産米による最初の仕込みは、越淡麗を50%に磨いた純米吟醸で、限定450本でした。当時の杜氏は髙橋巌で、自ら中山間地の田んぼを管理して酒米を育てていました。
「朱ラベル」は、江戸の元禄期の酒造技術を再現した「柱焼酎仕込」です。香りや風味の溶媒となる自社製の米焼酎を加えて酒のうまみを強める製法で、江戸期には酒造りの過程での焼酎の使用が柱焼酎と呼ばれ、衛生の面からも一般的だったと蔵は説明しています。清酒とは別に、本格米焼酎「かねます」も造っています。米と米麹だけを原料に、もろみを清酒酵母で醸し、減圧蒸留で滑らかな口当たりに仕上げた焼酎で、樫樽で長期熟成した商品は、かつて蔵でウイスキーを造っていた頃の樫樽に貯蔵したものです。
製造免許は、清酒、単式蒸留しょうちゅう、リキュール、合成清酒の4種です。
代表銘柄
初花
「初花」は金升酒造の純米銘柄です。最上位の純米大吟醸は、自社栽培の越淡麗を40%まで磨いて醸した蔵の最高峰で、アルコール度数は16度です。特別純米は越淡麗を通常の60%より磨いた55%とし、15度に仕上げています。吟醸香や甘み、酸味のバランスを大切にし、主張しすぎない個性を目指した酒です。ラベルはCentral67の木村豊氏がデザインしています。
金升
「金升」は蔵の屋号を冠した定番の銘柄です。「碧ラベル」は新潟県産の五百万石を使った普通酒で、淡麗辛口の食中酒です。とびきり燗(55度以上)か、よく冷やした飲み方が蔵のおすすめです。「朱ラベル」は自社栽培の越淡麗を60%に磨き、自社製の米焼酎を加える柱焼酎仕込みの普通酒です。どちらもアルコール度数は15度です。
見学・購入
- 直売所
- 公式サイト内のオンラインショップで、季節の酒や定番酒、焼酎を販売しています。
- 補足
- 蔵カフェは2025年時点で休業中です。構内の庭園は、2022年時点ではイベント開催時のみ見学できました。Googleマップ上で構内の様子を見られるバーチャル酒蔵見学を公開しています。
見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。
蔵の基本情報
- 所在地
- 新潟県新発田市豊町1-9-30
- 創業
- 1822年
- 公式サイト
- kanemasu-sake.co.jp
出典
kanemasu-sake.co.jp / niigata-sake.or.jp / japansake.or.jp / sake-harasho.com / file003.shop-pro.jp / makuake.com / pref.niigata.lg.jp / niigata-kankou.or.jp / nta.go.jp / nrib.go.jp / web.archive.org / houjin-bangou.nta.go.jp
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