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柄酒造

代表銘柄:於多福・9代目於多福・関西一

広島県

HIROSHIMA

1848年創業

柄酒造の建物
柄酒造の建物(2018年撮影)「Tsuka shuzou.jpg」 — 写真:KASEI / CC BY-SA 4.0縮小・WebP変換

柄酒造は1848年(嘉永元年)、広島県東広島市安芸津町で創業した酒蔵です。元の生業であった海運業の船名「於多福丸」にちなみ、「於多福」が最初の銘柄として誕生しました。「吟醸酒の父」として知られる三浦仙三郎が確立した「軟水醸造法」を受け継ぎ、安芸津の軟水と「千本錦」や「八反錦」をはじめとする100%広島県産の酒造好適米を使用して酒造りを行っています。自然の酵母や麹など微生物の力に寄り添い、人間の都合に合わせない丁寧な手造りが特徴です。

蔵の発表では、1907年(明治40年)の第1回全国清酒品評会で「於多福」が優等一位を受賞したとしています。2018年の西日本豪雨では酒蔵が浸水被害を受けましたが支援を受け再起を果たし、現在は9代目の柄総一郎氏のもとで「9代目於多福」シリーズの立ち上げやブランディングの統一など、時代に合わせた新たな挑戦を続けています。

柄酒造の歩み

柄酒造は、1848年(嘉永元年)に、現在の東広島市安芸津町にあたる三津の地で創業しました。瀬戸内海に面した三津は古くから海上交通の要衝で、江戸時代には広島藩の米蔵が置かれていました。柄家はその藩米を船で運ぶ海運を営んでいたと伝わり、酒造りは槌屋忠左衛門が「柄本家酒造場」を開いたことに始まります。創業の銘柄「於多福」は、当時の輸送船の名「於多福丸」にちなみます。のちに「関西一」の銘柄も生まれ、こちらは地元で長く親しまれました。

安芸津は「吟醸酒発祥の地」「杜氏のふるさと」として知られる土地です。同じ安芸津出身の三浦仙三郎(1847〜1908年)が苦心の末に確立した軟水醸造法によって広島の酒の品質は大きく向上し、明治時代の最盛期には町に20軒を超える酒蔵がありました。1907年(明治40年)の第1回全国清酒品評会では、蔵の発表では「於多福」が優等一位を受賞しています。

全国新酒鑑評会では、平成14酒造年度以降に7回入賞しています。平成16酒造年度は「関西一」で入賞し、平成18・平成20・令和3の各酒造年度は「於多福」で金賞を受賞しました。平成21・平成22・平成23酒造年度も「於多福」で入賞しています。広島国税局清酒鑑評会では、平成19年に「関西一」の純米吟醸が純米酒の部で、「関西一」の本醸造が本醸造酒の部でそれぞれ優等賞となりました。平成22年には「於多福 純米吟醸」が純米吟醸酒の部で、平成23年には「於多福」が本醸造酒の部で優等賞に選ばれています。

2018年7月の西日本豪雨では、近くを流れる三津大川が氾濫し、母屋と酒蔵が1メートル以上浸水しました。代々使われてきた麹室は床上浸水し、ボイラーをはじめ多くの設備が壊れて、8代目の柄宣行さんは廃業を覚悟する状況でした。2018年公開の映画『恋のしずく』では蔵がロケ地のひとつになっており、その監督やスタッフも、近所の元杜氏や蔵人、酒のファン、住民、大学生らとともに泥出しに駆け付けました。

被災から1か月余りのち、宣行さんが修繕の見積もりを持って東京で働く長男の総一郎さんを訪ねると、総一郎さんは蔵を継ぐと即座に答えました。

2019年1月に仕込みを再開し、例年より数か月遅れながら、同年の早春には被災後初の新酒ができあがりました。2020年には総一郎さんが帰郷して9代目として酒造りに加わり、2021年には杜氏となっています。杜氏として最初に仕込んだ令和3酒造年度の酒は、先に触れたとおり全国新酒鑑評会で金賞に輝きました。2021年時点では造る酒の約9割が東広島市内で消費されており、2023年5月には大吟醸などの銘柄を「於多福」に統一し、ラベルを刷新しました。同じ2023年の時点では、親子2人で蔵を営んでいました。

酒造りの特徴

柄酒造は、広島の水、広島の米、自然の力にこだわる酒造りを掲げています。安芸津の水は軟水で、三浦仙三郎の軟水醸造法を受け継ぎ、発酵をゆっくり時間をかけて進めて、香り高くふくよかな味わいに仕上げています。蔵元が杜氏を兼ね、家族で切り盛りする目の行き届く規模の少量生産です。

主に使う米は、千本錦と八反錦です。千本錦は広島の気候風土に合うよう育成された酒造好適米で、吟醸香が高くすっきりした酒になります。八反錦も広島を代表する酒造好適米で、香りが高くふくよかで上品な味わいになります。発酵は人の思いどおりにはならないものとして、酵母や麹などの微生物の力に任せられる部分は任せ、助けが必要なときに手を貸す「微生物のお手伝い」を心がけています。

商品は大きく二つの系統があります。「於多福」は大吟醸(千本錦、精米歩合40%)、純米吟醸と純米(ともに八反錦、精米歩合60%)などで、ラベルは2023年5月に刷新されています。「9代目於多福」は総一郎さんの代のシリーズで、純米大吟醸(千本錦、40%)、純米吟醸(八反錦、50%)、特別純米(八反錦、米麹50%・掛け米60%)、純米(八反錦、60%)が、公式通販で通年扱う火入れの定番です。袋に入れて吊るし、自然に滴る雫だけを集めた「一番取り」(千本錦、40%)は桐箱入りの大吟醸です。

2026年には新しい試みも続いています。7月には数学好きの9代目杜氏が仕込みの数値を素数にこだわって醸した「protos.」を発売しました。仕様は毎年変わり、2026年の分は八反錦、精米歩合71%、アルコール度数13度、協会7号酵母、もろみ日数41日です。9月には山田錦を精米歩合60%まで磨いた秋のお酒「つきあかり」を発売しています。総一郎さんは建築を学んだのち東京の照明メーカーで働いた経歴を持ち、2022年春には八反錦の純米吟醸「於多福 ごあいさつ」を世に出しました。

代表銘柄

於多福

1848年の創業時から続く銘柄で、名は輸送船「於多福丸」に由来します。大吟醸は千本錦を40%まで磨いた辛口で、華やかな香りがあり、冷酒向きです。純米吟醸は八反錦の60%精米で、すっきり辛口の食中酒として冷やしても常温でも楽しめます。純米は八反錦の米の旨味を感じる辛口で、冷でも燗でも合います。2022年春には純米吟醸の「於多福 ごあいさつ」が発売されました。

9代目於多福

2020年に帰郷した9代目の総一郎さんが手がけるシリーズです。純米吟醸は八反錦を50%まで磨いた辛口、特別純米は柄酒造のラインナップで最も辛口のすっきりした純米酒、純米大吟醸は千本錦を40%まで磨いています。2026年には素数の仕様で醸した低アルコールの「protos.」と、山田錦で醸した秋のお酒「つきあかり」が加わりました。公式通販で通年扱う定番の4種は火入れです。

関西一

「於多福」と並ぶ蔵のもう一つの銘柄で、地元の人々に古くから親しまれてきました。平成16酒造年度には全国新酒鑑評会で入賞し、平成19年には広島国税局清酒鑑評会で純米吟醸と本醸造が優等賞に選ばれています。2023年5月に大吟醸などは「於多福」へ統一されましたが、2024年1月時点では、地元の声を大切にして普通酒に限って「関西一」のラベルが残されていました。

見学・購入

直売所
蔵の入り口に直売所があります。営業時間は9:00〜17:00が目安で、日曜・祝日はお休みです。
補足
JR安芸津駅から徒歩約3分で、駐車場は3台分あります。9代目杜氏の案内による蔵見学・ペアリング・書道体験を含む安芸津のガイド付きツアー(事前予約制・20歳以上)の訪問先にもなっています。

見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。

蔵の基本情報

所在地
広島県東広島市安芸津町三津4228
創業
1848年
公式サイト
www.tsukasyuzou.jp

出典

e-sake.jp / tsukasyuzou.jp / akitsutoasitani.com / higashihiroshima-kanko.jp / yamatoya-e.com / workation.app / jozo.or.jp / chugoku-np.co.jp / diamond.jp / dive-hiroshima.com / nta.go.jp / nrib.go.jp / houjin-bangou.nta.go.jp

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