天宝一
代表銘柄:天寶一
広島県
HIROSHIMA
1910年創業
株式会社天寶一(てんぽういち)は、明治43年(1910年)に創業した広島県福山市唯一の酒蔵です。蔵名・銘柄名の「天寶一」には「天地の唯一の宝」という意味が込められています。
「和の食材、食文化を最大限に生かす名脇役」をコンセプトとし、料理の味を引き立てる食中酒造りを目指しています。仕込み水には地下200メートルの岩盤を超えて湧き出る超軟水「古代水」を使用。洗米や蒸しの工程に強いこだわりを持ち、手作りの麹や、出来立ての酒をできる限り空気に触れさせずに瓶詰めする「直汲み」といった丁寧な造りを行っています。やわらかな酸と米の旨味、フレッシュでキレのあるクリアな酒質が特徴です。
また、地元のバラ酵母を使用して醸された銘柄「ローズマインド」は、2023年のG7広島サミットで振る舞われたことでも注目を集めました。
2026年4月28日付で、自動車学校などを運営するRTホールディングスのグループに入りましたが、酒造りの体制と従業員はそのまま継続しています。
天宝一の歩み
天寶一は、1910年(明治43年)に、現在の福山市神辺町にあたる地で創業した酒蔵です。創業時の屋号は村上酒造場で、初代は醤油造りから酒造りに転じました。創業当初の銘柄は「美喜桜」でした。蔵は旧山陽道沿いにあり、福山市中心部から北へ10kmほど上った神辺にあります。福山市で唯一の酒蔵であり、蔵名と銘柄名の「天寶一」には「天地の唯一の宝」という意味が込められています。
現在の「天寶一」の名になったのは、3代目の村上久二氏の時代です。当時はアルコールや糖類を加えた三増酒が主流でしたが、久二氏は添加をせず、米を磨いて日本酒本来の味を目指しました。今でいう純米酒の先駆けにあたる造りで、時流には逆らう方針でした。蔵のロゴは久二氏が大理石を彫って作ったもので、いまも使われています。生酛純米大吟醸「久二」は、その名を冠した酒です。
5代目の村上康久氏は、1990年代後半に東京から戻って家業に入りました。若いころは日本酒が好きではありませんでしたが、福山に戻って半年ほどのち、研修で出会った日本酒に衝撃を受け、自分がおいしいと思う酒を造りたいと考えを改めました。まず現場を清潔に保つことを徹底し、2010年ごろ(2021年時点で約10年前)には、酒造期の最後の仕込みで濁り水が出たことを機に新たな井戸を掘りました。岩盤を二つ越えた地下200mから湧いた軟水に合わせて、麹と酒母の造りを見直し、搾り機も変えています。
村上氏は自らを「酒質設計者」と位置づけ、設計した酒質を、2000年ごろに蔵に入り、前任の黒田恒男氏から杜氏を引き継いだ高田直樹氏に託してきました。
コロナ禍の2020年には、福山の飲食業界を支えたいという思いから、福山大学が福山のバラ「ミスターリンカーン」から採取したバラ酵母を用いた「ローズマインド」を発売しました。「ローズマインド」は福山市が登録して使っている「思いやり、優しさ、助け合いの心」を表す言葉で、市の許可を得て名前に使っています。この酒は2023年のG7広島サミットで振る舞われたほか、福山で開かれた世界バラ会議でも振る舞われました。
2026年4月28日付で、天寶一は自動車学校などを運営するRTホールディングス(旧ロイヤルコーポレーション)のグループの一員になりました。酒造りの現場、製造責任体制、従業員はこれまで通り継続し、村上氏は製造責任者として酒造りに携わっています。
受賞歴としては、全国新酒鑑評会で、蔵の発表では、昭和60年から62年まで3年連続、平成5年と平成9年にも金賞を受けています。平成14酒造年度以降に限っても6回入賞しており、そのうち金賞は平成16酒造年度と平成17酒造年度の2回です。ほかに平成18酒造年度、平成27酒造年度、平成30酒造年度、令和元酒造年度にも入賞しました。広島国税局清酒鑑評会(以下、開催年で表記)では、平成19年から令和5年までに優等賞を10回受賞しています。
平成19年は純米酒の部、平成20年と21年は純米吟醸酒の部、平成27年は「味を主たる特徴とする清酒」部門の純米大吟醸酒でした。燗酒部門では平成24年の純米酒、平成29年の生酛純米に続き、令和3年の生酛純米の特別限定酒、令和4年の山田錦の純米酒、令和5年の生酛純米の特別限定酒と、令和3年から5年まで3年続けて選ばれています。令和2年には吟醸酒部門で純米大吟醸(袋吊り、斗瓶囲い)が優等賞に選ばれ、令和2年から令和5年まで4年続けての受賞です。
酒造りの特徴
原料米は全量が広島県産米です。千本錦、八反錦、山田錦、広島県で新たに誕生した酒米の萌えいぶきなどを使っています。萌えいぶきは、改良雄町となつほのかを掛け合わせて開発された品種です。掛米に真吟精米の米を使った酒や、減農薬栽培の特別栽培米を使った酒もあります。2021年時点では、東広島市造賀の農家が減農薬・減化学肥料で育てた山田錦で醸す辛口純米大吟醸も造られていました。割れやすい酒米への負担を減らすため、米は一般的な米袋ではなく小分けしたパウチで保管し、洗米は10kgずつ1分半と決めて行っています。
仕込み水は、岩盤を二つ越えた地下200mからくみ上げる超軟水の「古代水」です。水と米の味わいを最大限に引き出す造りを追求しています。超軟水は発酵力が弱く、辛口の酒を造るのが難しい水ですが、仕込みの途中でミネラル分を加えるなどの工夫を重ねてきました。やわらかな酸と米の旨味に、フレッシュなキレを備えた酒質は、瀬戸内の小魚など地元の食材とも相性がよく、「和の食材、食文化を最大限に生かす名脇役」というコンセプトを体現しています。
麹は手作りで、麹造りが酒質を最も左右する工程のひとつと考えて丁寧に向き合っています。蒸気乾燥機で米を蒸し、特製の木箱で麹を造っています(2021年時点)。搾りは、通常は自動醪圧搾機(通称ヤブタ)で行い、特別な酒はもろみを酒袋に入れて吊るし、自然に滴り落ちる雫を集める袋吊りで搾ります。搾りたてを数時間のうちに瓶詰めし、自然な炭酸ガスを残した直汲みも、季節限定酒として造っています。
搾った酒は火入れをして貯蔵し、季節ごとに蔵出しします。2021年時点では、瞬間火入れのあとサーマルタンクにマイナス5度で貯蔵し、瓶詰めしていました。品質の維持を優先して、低アルコール化はあえて行っていません。定番の「超辛純米」は辛口の食中酒で、料理の味を引き立てる酒を目指す姿勢は、事業承継後も変わりません。
代表銘柄
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天寶一
蔵の名を冠した主力銘柄です。定番には広島県産千本錦の超辛純米、山田錦の純米酒、八反錦の特別純米などがあり、千本錦の超辛口純米は「赤の天寶一」とも呼ばれてきました。直汲みや袋吊り、生酛の限定酒など季節ごとの酒も出しています。割烹や寿司店に合う、スパッとキレる辛口の食中酒を目指す設計です。2025年1月時点で、ブラジル、シンガポール、台湾にも出荷しています。
楽天で商品を見る見学・購入
- 直売所
- 蔵直の公式オンラインショップで購入できます。取扱店は福山市内をはじめ全国の酒販店にあります。
見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。
蔵の基本情報
- 所在地
- 広島県福山市神辺町大字川北660
- 創業
- 1910年
- 公式サイト
- tenpo1.co.jp
出典
japansake.or.jp / tenpo1.co.jp / sakenomy.jp / royal-corp.com / ocnk.net / sake-fujimotoya.com / shinise.tv / bintoco.com / yohkoyama.com / saketime.jp / nta.go.jp / nrib.go.jp / chugoku-np.co.jp / hrmos.co
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