SAKE BREWERY — HIROSHIMA

中尾醸造

広島県竹原市中央五丁目9番14号 1871年創業

紹介

中尾醸造は、明治4年(1871年)に広島県竹原市で創業した老舗酒蔵です。創業銘柄である「誠鏡」は「盃に注いだ酒の表情を鏡にたとえ、蔵人の誠の心を映し出してほしい」という願いから命名されました。

最大の特徴は、4代目当主の中尾清磨氏が発見した「リンゴ酵母」と、その力を引き出すために開発された「高温糖化酒母法(高温糖化酛)」です。この技法で造られた酒は1948年(昭和23年)の全国新酒品評会で1位を獲得し、3年連続で皇室新年御用酒に選ばれました。この献上酒を再現・商品化したものが純米大吟醸などの「幻」ブランドです。高温糖化酒母法は日本醸友会の第1回技術功労賞を受賞し、全国の酒蔵へ広く技術公開されました。

海外の品評会IWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)での金メダル受賞や全国新酒鑑評会での金賞受賞など多数の受賞歴を持ちます。原料米には地元・竹原の契約農家が育てる雄町米などを使用し、伝統と技術革新を両立させた酒造りを続けています。

歴史

中尾醸造は明治4年(1871年)、瀬戸内海に面した広島県竹原市で「廣島屋」の屋号を掲げて創業しました。竹原は平安時代に京都・下鴨神社の荘園として栄えた歴史から「安芸の小京都」と呼ばれ、製塩地として栄えた土地でもあります。日照時間が長く降雨量が少ない土地柄は米づくりにも適しており、自然と酒造りも発展しました。創業銘柄「誠鏡」は、初代当主が「盃に注いだ酒の表情を鏡にたとえ、酒造りに精進する蔵人の誠の心を酒の出来栄えに映し出してほしい」との願いを込めて名付けたものです。明治42年(1909年)には第2回全国品評会で2等を受賞しています。

転機となったのは、4代目中尾清磨による酵母研究です。酵母が日本酒の味と香りを左右することを知った清磨は、昭和2年(1927年)頃から東京帝国大学の発酵学教室で坂口謹一郎(のちに酒の神様と称された学者)に師事し、様々な場所から採取した酵母の発酵試験を重ねました。試した酵母が2,000種を超えた昭和15年(1940年)、発酵力・香り・酸味の三拍子が揃った奇跡的な酵母についに出会います。その酵母は、清磨が所用で訪れた広島県呉市の八百屋でたまたま買い求めたリンゴの果皮から採取されたことから、後に「リンゴ酵母」と名付けられました。

ただし、リンゴ酵母を実際の酒造りに生かすには、さらに7年の歳月が必要でした。従来の酒母造りでは蔵に住み着いた力の強い蔵付酵母に負けてしまい、発酵の途中でリンゴ酵母の個性が失われてしまったためです。清磨は新しい醸造法の開発に取り組み、昭和22年(1947年)、蒸米・麹・水を55℃で8時間保つことで蔵付酵母のいない純粋な酒母を作り出す「高温糖化酒母法」を完成させました。この技法で仕込んだ大吟醸酒は昭和23年(1948年)の全国新酒鑑評会で1位を受賞し、翌年から3年間連続で皇室新年御用酒として献上されるという栄誉に浴しました。高温糖化酒母法は昭和30年(1955年)に日本醸友会の第1回技術功労賞を受賞し、後年、全国の多くの蔵に技術が広まりました。

しかし、当時はまだ吟醸酒という概念自体が乏しく、コストのかかるこの酒は市販されることなく、出品後は特級酒などに混ぜられていました。日本酒が苦手だった5代目中尾義孝は、リンゴ酵母の大吟醸を口にしてその美味しさに驚き、「何とかしてこの酒を売りたい」と一念発起します。そして全国1位受賞から26年を経た昭和49年(1974年)、採算を度外視して純米大吟醸酒を「幻」の名で発売しました。当時1,800mlで8,000円という破格の価格で100本を売り出したところ完売し、翌年にはテレビ番組で紹介されて予約が殺到、以来20年近く品不足が続く人気銘柄となりました。

「幻黒箱」は平成19年(2007年)に世界最大級の品評会インターナショナル・ワイン・チャレンジ(IWC)のSAKE部門で金メダルを受賞したほか、ANA欧米線ファーストクラスへの採用や、平成21年(2009年)にはプーチン首相と小泉総理大臣の晩餐での使用など、国内外で評価を高めてきました。令和7年(2025年)7月には6代目蔵元・中尾強志の急逝に伴い、中尾ひろみが代表取締役に就任し、現在も伝統の酒造りを受け継いでいます。

酒造り

中尾醸造の酒造りは、竹原市仁賀地区の契約農家5軒とともに育てる備前雄町米が土台になっています。雄町米は1859年に岡山で生まれ竹原に伝わった品種で、山田錦や五百万石のルーツとされる酒米です。野生種に近く病弱な性質から戦時中に生産量が激減し「幻の酒米」と呼ばれた時期もありましたが、ふくよかで円みのある旨み、幅のある複雑な味わい、深いコクと長い余韻を持つことから、多くの蔵の努力で復活しました。幻の純米吟醸には広島を代表する酒米の八反錦、誠鏡の特別本醸造には広島特産米の新千本を用いています。

醸造では、大吟醸クラスで精米歩合45%まで72時間かけて磨き、洗米・浸漬で吸水率を厳密に調整します。麹室では蒸米を約52時間かけて麹菌と向き合わせ、良い米麹を造ることに最も力を注いでいます。酒母には、4代目清磨が開発した高温糖化酒母法を用い、蒸米・麹・水を55℃で8時間保って蔵付酵母のいない状態を作った上でリンゴ酵母を添加し、約10〜12日間かけて酒母を純粋培養します。この酒母をもとにもろみを仕込んで発酵させ、大吟醸酒は伝統的な酒袋による搾りを行っています。

出来上がった酒はすべて無ろ過でお客様に届けており、瓶詰め時には瓶のまま60℃まで加熱する瓶燗を行い、加熱後は品質を損なわないよう急冷しています。人の手が必要な工程は手作業で、判断が必要な工程は技術で見極めるという姿勢を貫き、特定名称酒比率98%というこだわり抜いた酒造りを続けています。

蔵データ

所在地

広島県竹原市中央五丁目9番14号

創業

1871年(広島県)

公式サイト

maboroshi.co.jp

代表銘柄

[PR] 本セクションは楽天アフィリエイトのリンクを含みます。

:4代目中尾清磨が発見したリンゴ酵母と、それを生かすために開発した高温糖化酒母法によって醸す大吟醸を中心としたブランドです。全国1位受賞から26年を経た1974年、採算度外視で発売され、1,800mlで8,000円という当時破格の価格で売り出した100本が完売しました。最高峰の「幻黒箱」は2007年にIWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)SAKE部門で金メダルを受賞し、ANA欧米線ファーストクラスやプーチン首相の晩餐でも使用されました。

誠鏡:初代当主が「盃に注いだ酒の表情を鏡にたとえ、酒造りに精進する蔵人の誠の心を酒の出来栄えに映し出してほしい」との願いを込めて名付けた創業銘柄です。竹原産の雄町米や広島県産米を用い、純米酒から吟醸酒、にごり酒、スパークリング、広島特産米「新千本」を使った特別本醸造まで幅広いラインナップを展開しています。定番の「純米たけはら」は昭和のラベルを復刻した、当蔵の原点となる純米酒です。

三十六石蔵:酒販店で扱われている純米酒で、派手さはないものの、バランスの取れた味わいが日々の食卓に合わせやすい食中酒に向くと紹介されています。

見学・購入

蔵見学

なし

直売所

本社事務所では清酒のほか、自社で醸造する米焼酎やワインも直接購入できます。

補足

営業時間8:00〜17:00、土・日・祝日は定休で、駐車場は3台分です。JR竹原駅から徒歩約12分です。2024年4月20日には5年ぶりとなる「第14回セイキョウ蔵開き」が開かれ、この日限りで酒蔵の見学や振る舞い酒、利き酒大会などが行われました(通常の蔵見学は受け付けていません)。

見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。

同じ広島県の酒蔵

出典

japansake.or.jp / maboroshi.co.jp / umaisake2024.com / nihonshu-tourism.com / yamatoya-e.com / sakeplace.com / takeharakankou.jp / kanko-h.com / m0713.jp

本ページは自動収集した情報を編集したものです。内容の正確性を保証するものではありません。