SAKE BREWERY — HIROSHIMA

今田酒造本店

広島県東広島市安芸津町三津3734 1868年創業

紹介

今田酒造本店は、明治元年(1868年)に広島県東広島市安芸津町で創業した酒蔵です。代表銘柄「富久長」の名は、当地で軟水醸造法を開発した醸造家・三浦仙三郎が命名したもので、その座右の銘「百試千改」の情熱を受け継いでいます。

造りの特徴として、広島杜氏伝承の軟水仕込みによる穏やかでやさしい味わいを大切にする一方、100年以上姿を消していた広島の在来酒米「八反草(はったんそう)」を復活栽培して酒造りに活用しています。また、牡蠣などの魚介類に合う白麹を用いた純米酒「海風土(シーフード)」や、杜氏の名を冠した純米大吟醸「美穂」、リキュールの「温州みかん酒」など、多様で挑戦的な商品開発を行っています。

受賞歴・評価として、フランスのコンテスト「KURA MASTER」におけるプラチナ賞の受賞や、「SAKE COMPETITION 2024」純米酒部門第1位などの実績を誇ります。さらに2020年には、代表取締役兼杜氏の今田美穂氏が英国BBCの「今年の女性100人」に日本人で唯一選出されました。

歴史

今田酒造本店は、明治元年(1868年)に瀬戸内海に面した港町、広島県東広島市安芸津町三津で創業しました。蔵の目の前に広がる三津湾は良質な牡蠣の産地として知られ、蔵の代表銘柄「富久長」は、この地で軟水醸造法を確立した「広島酒の父」三浦仙三郎が命名したものです。

三浦仙三郎は弘化4年(1847年)に安芸津町三津で生まれ、当時は酒造りに不向きとされていた軟水から良酒を生み出す醸造法を研究し、明治31年(1898年)に軟水醸造法を確立し、同年『改醸法実践録』を著して普及に努めました。「百試千改」という座右の銘のとおり試行錯誤を重ねたこの功績により、広島は全国有数の銘醸地となり、安芸津は多くの杜氏を輩出する土地となりました。今田酒造本店の酒造りは、この軟水醸造法と吟醸造りの精神を礎としています。

現在の代表取締役社長兼杜氏を務める今田美穂氏は、父・今田之直氏(3代目)の跡を継いだ4代目です。5人きょうだいの長女として生まれた今田氏は、明治大学法学部卒業後、西武百貨店や能楽関係の団体事務局に勤務していましたが、1990年代前半、後継ぎとなるはずだった弟が医師の道に進んだことから、実家の酒蔵を継ぐ決断をしました。1994年に蔵へ戻った今田氏は、事務方ではなく造り手として酒造りに携わる道を選び、2000年に杜氏に就任、2017年には代表取締役に就任しました。

蔵に戻った際、今田氏は卸売業者を介さず東京都内の酒販店と直接取引する体制へ転換するとともに、特定名称酒に該当しない普通酒の製造を中止しました。この方針転換により売上は一時的に落ち込みましたが、味わいで選ばれる酒への転換を進めた結果、現在では海外にも輸出される蔵へと成長しています。こうした実績が評価され、今田氏は2020年に英国BBCの「100 Women」に日本人として唯一選出されたほか、2022年にはフォーブス誌の「50 Over 50 Asia」にも選ばれています。

酒造り

今田酒造本店の酒造りは、三浦仙三郎が確立した軟水醸造法を継承し、広島県産米と広島県酵母を用いて低温でじっくりと醸すことで、きめ細かくやさしい味わいと吟醸造りならではの繊細な香りを引き出しています。仕込み水には安芸津の軟水を使用し、日々飲んでも飽きのこない「小味のある酒」を目指しています。

看板商品のひとつが、広島県の酒造好適米のルーツとされながら栽培の難しさから100年以上姿を消していた在来品種「八反草」を用いた酒です。今田氏らは広島県農業ジーンバンクに保存されていたわずかな種もみをもとに、2001年から増殖を開始し、2004年から本格的な復活栽培に着手しました。納得のいく味わいに至るまで15年以上を要しましたが、現在では生産量の約4割を八反草米が占めるまでになっています。八反草の酒は、昔ながらの田園風景を思わせる素朴でやわらかな味わいとミネラル感、軽い酸味が特徴で、牡蠣をはじめとする瀬戸内海の魚介料理との相性のよさで知られています。

仕込みの技術面では、清酒には珍しい焼酎用の白麹を使用した酒や、優良な乳酸菌を選抜・培養して仕込む「ハイブリッド生酛」シリーズなど、伝統にとらわれない挑戦的な酒造りにも取り組んでいます。

蔵データ

所在地

広島県東広島市安芸津町三津3734

創業

1868年(広島県)

公式サイト

fukucho.jp

代表銘柄

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富久長:今田酒造本店の代表銘柄で、蔵名は軟水醸造法を確立した三浦仙三郎が命名しました。広島県産米と地元の軟水を用い、低温でじっくり醸す穏やかでやさしい味わいが持ち味です。ブランド名を冠した純米酒「新橋の男達(おやじ)の酒」は、銘柄を隠して酒質のみを競うSAKE COMPETITION 2024の純米酒部門で第1位を獲得しました。

海風土:「海風土(シーフード)」は、清酒には珍しい白麹を用いて醸した純米酒で、レモンを思わせるさわやかな酸味が持ち味です。牡蠣をはじめとする瀬戸内海の魚介料理に寄り添う一本として開発されました。フランスのコンクール「Kura Master」では2018年に続き2026年にも最高賞のプラチナ賞を受賞し、タイの「Bangkok Sake Challenge 2026」でも金賞を受賞しています。

美穂:純米吟醸「美穂」は、蔵元杜氏である今田美穂氏の名を冠した一本です。山田錦を用い、麹米精米歩合50%、掛米精米歩合60%で仕込まれ、フルーティーでやわらかな旨味と、キレのよいクリアな後味が持ち味です。2020年に英国BBC「100 Women」に日本人で唯一選出された杜氏の個性を体現する銘柄として位置づけられています。

温州みかん酒:「温州みかん酒」は、広島県産の温州みかんを皮を取り除いた果肉部分のみ搾った果汁をたっぷりと使用し、砂糖などの甘味料を加えずに仕上げたリキュールです。純米酒と醸造用アルコールをベースに、アルコール分6度に仕上げており、みかんそのものを味わうようなジューシーな飲み口が特徴です。

見学・購入

蔵見学

なし

直売所

蔵の入口で商品を直接購入できます。蔵見学と試飲は受け付けていません。

補足

JR呉線安芸津駅から徒歩約5分、東広島呉自動車道下三永福本ICから車で約20分の距離にあります。営業時間は平日9時から17時で、土日祝日は定休です。

見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。

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出典

fukucho.jp / imadeya.co.jp / sakenomy.jp / sakedata.jp / higashihiroshima-digital-sightseeing.com / higashihiroshima-kanko.jp / e-sake.jp / ja.wikipedia.org / jp.sake-times.com / forbesjapan.com / nippon.com

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