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文本酒造

代表銘柄:SHIMANTO

高知県

KOCHI

1903年創業

高知県四万十町に位置する文本酒造は、1903年(明治36年)に創業した酒蔵です。清流・四万十川の伏流水と、SHIMANTOシリーズの多くには地元四万十町産の食用ブランド米「仁井田米(にこまる)」を使い、米本来の旨味を引き出した酒造りを行っています。

かつては看板銘柄「桃太郎」などで知られていましたが、コロナ禍の煽りを受け2020年より醸造を一時休止。その後、有志による事業承継を経て2023年に「fumimoto brewery」として再始動しました。

現在は新ブランド「SHIMANTO」を中心に展開し、再始動の当初は、軽量なスパウトパウチ容器の採用やリフィル専用の日本酒の導入など、環境に配慮した取り組みも行いました。また、酒蔵の母屋を改修した日本酒ペアリングBAR「お酒やさん」の併設や、ARアプリを活用した醸造所見学を行っており、伝統を守りながら新発想の地域活性化や世界への情報発信に取り組んでいます。

文本酒造の歩み

文本酒造は、1903年(明治36年)に、現在の四万十町窪川にあたる地で創業した酒蔵です。蔵は四万十川のほとりにあり、JR窪川駅から歩いて7分ほどの町なかに建っています。窪川地区だけでもかつては8軒の酒蔵がありましたが、時代とともに減り、いまは文本酒造1軒だけが残っています。母屋は創業と同じ1903年の創建です。

休止前の蔵は「高知で一番小さな酒蔵」として酒を造っていました。創業時の代表銘柄は「入駒」で、昭和41年(1966年)に一般公募で名前が決まった清酒「桃太郎」が、のちに看板の酒になっています。2013年時点では4代目の文本憲助さんが自ら杜氏を務め、主な出荷先は高知県でした。2018年(平成30年)には、高松国税局が開く四国清酒鑑評会の燗酒の部で、「日乃出桃太郎」が優等賞に選ばれています。

転機は2020年です。設備の老朽化や人材不足に加え、コロナ禍で日本酒の消費が落ち込み、酒造りを休止せざるを得なくなりました。在庫の販売だけを細々と続けながら、約3年にわたって醸造のない時期が続き、廃業も検討される状況でした。そこで、地域に唯一残る酒蔵を絶やしたくないという思いから第三者承継が行われ、2022年7月に経営陣が刷新されました。

蔵側の説明では、地域おこしの仕事で四万十町に関わっていた岡山裕成さん(現・代表取締役)に、四国霊場37番札所・岩本寺の住職から「地域唯一の酒蔵を残したい」という相談があったことが、承継のきっかけでした。杜氏には茨城県の酒蔵で南部杜氏のもとで修業した石川博之さんが就き、2022年10月に四万十町へ移住しています。

再始動は創業120年目の2023年です。5月に、純米大吟醸「SHIMANTO」とにごり酒を新たに発売しました。同時に、酒蔵の母屋を改修した日本酒ペアリングBAR「お酒やさん」もオープンしています。会社名は文本酒造株式会社のままで、愛称を「fumimoto brewery」としています。同じ年の8月には、やはり事業承継を経た山形県の桜川酒造と連携協定を結び、9月から10月には、酒蔵体験の設備を整えるためのクラウドファンディングを実施して、目標300万円に対し89人から318万7000円が集まりました。

その後も新しい試みが続いています。2024年4月には、民謡「よさこい」の波長を加えて醸した純米大吟醸「SHIMANTO YOSAKOI」を、オンキヨーとの協業で発売しました。2025年4月には、純米酒「SHIMANTO YELLOW」がTokyo酒チャレンジ2025で金賞を受賞しています。

酒造りの特徴

酒の仕込みには、四万十川の伏流水と高知酵母を使います。SHIMANTOシリーズの多くは、四万十町産の食用ブランド米「仁井田米(にこまる)」で醸しており、酒造好適米ではなく食べるための米を使って、米本来の旨味を活かすことをねらっています。一方で、SHIMANTO BLACKやYELLOWのように高知県産の土佐麗を使う商品もあります。石川杜氏は、仁井田米は年ごとの気候はもちろん農家ごとにも性質が違い、やわらかな伏流水も、含まれるミネラル分が変わると同じ酵母でも発酵の具合が変わると話しています(2025年時点)。

造りは純米酒に統一していると語り(2026年時点)、目指すのは、派手すぎない香りで食事に寄り添う、飲み飽きしない味わいです。

設備は、再始動にあわせて整えられました。温度を一定に保てる麹室、麹米を凍らせて保管できる冷凍庫、24時間温度管理ができる醸造タンク、酒を無駄なく搾る搾り機、マイナス5度の低温貯蔵庫で品質を管理しています。SHIMANTOシリーズではラベルの色ごとにA-14・AA-41やCEL-24などの酵母を使い分けます。限定酒では地元以外の素材にも挑戦しており、岡山県産山田錦を使った「DARUMA GLITCH PURPLE」や、新潟の食用米「春陽」を使った「SS」を出しています。

再始動の当初は、ガラス瓶ではなく軽いスパウトパウチ容器を採用し、輸送時のCO2削減や作業の安全性を高めようとしました。あわせて、マイボトル持参で量り売りするリフィル専用の日本酒も打ち出しています(2023年時点)。蔵の中には、米麹の甘酒を造るための専用のサウナがあり、SHIMANTOと同じ原料で砂糖を使わずに仕込む「杜氏の甘酒」を2023年7月に発売しました。

休止前の蔵は、2019年の時点で、木製の槽に酒袋を重ねてゆっくり搾る槽搾りと、水を張った箱に瓶詰めした酒を入れて約63度まで水温を上げていく瓶燗火入れにこだわっていました。米は主に高知県産で、そのうち8割が四万十町産、酵母は高知酵母、麹は吟醸酒向きとされる突き破精麹、水は四万十川の伏流水でした。「霧の里」の名も休止前から蔵にあり、当時は高知県産の酒造好適米「風鳴子」で造られていました。

代表銘柄

SHIMANTO

2023年5月の再始動とともに世に出た、蔵の看板となる純米大吟醸のシリーズです。BLUEラベルは仁井田米100%を精米歩合50%まで磨き、火入れ(16度)は旨味と酸味のバランスと後味のキレ、生原酒(17度)は深みのある味わいが持ち味です。純米原酒のYELLOW(19度)は、Tokyo酒チャレンジ2025の純米の部で金賞を受けました。蔵初の辛口純米酒SILVER(15度)は、銀色のラベルが高知県限定カラーです。

見学・購入

蔵見学
あり(要事前確認)
直売所
酒蔵に併設の店舗と日本酒ペアリングBAR「お酒やさん」(高知県高岡郡四万十町本町4-23)があります。2026年10月時点の営業は、月曜が11時から20時(14時から17時は休憩)、金・土・日曜が11時から21時で、火・水・木曜が定休です。年末年始と貸切の時間は休みになります。JR窪川駅から徒歩約7分、店舗裏に専用駐車場が10台分あります。
補足
酒蔵見学は事前のオンライン予約制で、開催日は不定期です。所要は約2時間で、酒造りの映像、スマートフォンのカメラを機械に向けると稼働の様子と解説が見えるARアプリを使った見学、手書きのオリジナルラベルづくり、5種の飲み比べと仁井田米のご飯とのペアリングがあります。料金は20歳以上が5,000円、7歳以上20歳未満が2,000円、7歳未満は無料です。納豆は見学の1週間前から控える決まりがあります。

見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。

蔵の基本情報

所在地
高知県高岡郡四万十町本町4-23
創業
1903年
公式サイト
fumimoto.jp

出典

kochi-iju.jp / sakeworld.jp / fumimoto.jp / kochi-tabi.jp / pon.sh / prtimes.jp / shimanto.or.jp / readyfor.jp / jp.sake-times.com / colocal.jp / kochi-bank.co.jp / nta.go.jp / tokyosakechallenge.com / japan.travel

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