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武蔵野酒造

代表銘柄:スキー正宗

新潟県

NIIGATA

新潟県上越市に蔵を構える酒蔵で、1916年に小林家が当時の武蔵野酒造店を引き受け、蔵ではこの年を創業の年としています。社名は、江戸で修業した創業者が江戸の武蔵野周辺の酒蔵から酒株を譲り受けたことに由来すると蔵は推測しています。代表銘柄の「スキー正宗」は元々「越山正宗」でしたが、日本スキー発祥の地である高田の町おこしの一環として1927年(昭和2年)に改称されました。太平洋戦争中にはカタカナが敵性語とされたため「寿亀正宗(すきーまさむね)」と漢字表記に変更された歴史を持ちます。

酒造りにおいては、越後杜氏の流れをくむ頸城(くびき)杜氏が2019年時点で造りを担っていました。原料米には新潟県産の「五百万石」を主に使い、仕込み水には妙高山塊から流れ出る伏流水を用いています。「飲み飽きしない酒」を基本理念とし、数値上はやや辛口でありながらも、滑らかでほのかな甘みを感じさせるふくよかな味わいの酒造りを行っています。

武蔵野酒造の歩み

武蔵野酒造は、新潟県上越市高田の城下町の一角にある酒蔵です。創業の年ははっきりしていませんが、大正5年(1916年)に小林家が当時の武蔵野酒造店を引き受け、蔵ではこの年を創業の年としています。蔵そのものはさらに古く、江戸時代には酒蔵として始まっていたのではないかと蔵はみています。

社名の「武蔵野」は、酒株制度にちなむ由来が伝わっています。明治時代の中ごろまで、酒を造るには酒株を持っていなければならず、造れる量も株の保有量で決まっていました。蔵の説明では、江戸で修業した創業者が高田に戻る際、江戸の武蔵野周辺の酒蔵から酒株の一部を譲り受けて創業したことが命名の始まりで、この部分は推測の域を出ないとしています。また「武蔵野」には、見尽くせないほど広大な野という意味から転じて、飲み尽くせないほど大きな杯という意味もあり、落語『試し酒』には武蔵野という名の大杯が登場します。

代表銘柄の「スキー正宗」は、大正時代までは「越山正宗」として売られていました。明治44年(1911年)にオーストリアのレルヒ少佐によって、高田に日本で初めてスキーが伝えられたことから、高田は日本のスキー発祥の地とされています。昭和初期の高田では、町おこしのためにスキーを冠した商品が数多く作られました。郷土料理のスキー飯やスキー汁、民謡のスキー唄、菓子のスキー飴やスキー羊羹などです。旧高田市が地元産業界にスキーを冠した商品づくりを奨励したのを受けて、蔵も昭和2年(1927年)に銘柄を「スキー正宗」へ改めました。

第二次世界大戦の戦火が厳しくなると、カタカナは敵性語として扱われ、会社名や商品に使いにくくなりました。蔵では昭和18年前後から、表記を「寿亀正宗」に改め、読みは「すきーまさむね」のままで販売したと説明しています。戦後はカタカナの「スキー正宗」に戻しました。寿亀正宗の名は令和元年(2019年)に復活し、大吟醸と純米大吟醸の高級酒ラインとして発売されました。

武蔵野酒造の先代は、高田出身の発酵・醸造学者である坂口謹一郎博士と交流が深く、酒づくりの指導を受けたり、博士の研究を手伝ったりしたと蔵は伝えています。蔵に隣接する「楽酔亭」は、昭和初期まで創業家の住居として使われた建物を、平成元年に新しく建て直して移したものです。名は博士の著書『愛酒楽酔』にちなんで先代が博士から頂戴したもので、玄関の上には博士直筆の銘板が掲げられています。現在はレンタルスペースとして使われ、坂口博士のパネルも常設されています。

酒造りの特徴

酒づくりは、地元上越の米と水、そして越後杜氏の技を柱にしています。蔵の説明では、越後杜氏のうち、蔵のある上越・妙高・柿崎・吉川の地区に伝わるのが頸城杜氏で、2019年時点では、この頸城杜氏が蔵の酒づくりを担っていました。米は契約農家をはじめ上越地域で育った新潟県産の五百万石を主に使い、2019年時点では新潟県が育成した酒造好適米の越淡麗も使っていました。仕込み水は妙高山塊から流れ出る伏流水を、手間をかけて取水して使っています。

目指す酒質は「飲み飽きしない酒」です。蔵は、新潟県産酒の代名詞である淡麗辛口に対して、上越地域に伝わる芳醇でやや甘口の味わいを守り、後味はすっきりとして切れのよい酒を造るとしています。この方針は坂口謹一郎博士の教えである「うま酒」に基づくものと位置づけられ、大吟醸から普通酒まで同じ思いで造るとしています。スキー正宗シリーズは日本酒度の目標を0から+2に置いており、数値の上ではやや辛口でも、味わいはやや甘く感じられる酒を目標にしています。同じ銘柄でもタンクごとの違いが分かる小ロットのクラフト酒も提案しています。

現在の主な商品は、スキー正宗のほか、令和元年に復活した寿亀正宗の大吟醸・純米大吟醸です。かつては昭和30年代に始まった春日山や、平成4年に始まった吟醸以上の越乃楽酔も出しており、春日山天と地は2019年6月に一部が終売となって、大吟醸と純米吟醸は規格を一部変更して寿亀正宗シリーズに加わりました。酒造期のみ完全予約制で売る無濾過生原酒の「朝一搾り」は、搾る酒が毎回変わり、ラベルに酒の種別を書きません。スキー正宗の味を受け継ぐ、地元産の青梅と純米原酒で仕込む梅酒「梅ほの香」もあります。

2021年には松露酒造との協業商品「NOROSHI 狼煙」を発表し、オーダーメイドの日本酒も受け付けています。2024年3月には、新潟大学の三ツ井教授が研究する高温障害耐性株の酒米で試験醸造を行いました。2025年12月には、スキー正宗の普通酒・復刻ラベル・入魂の3品を終売とし、2026年2月出荷分からスキー正宗プレミアムレギュラーに一本化しています。

全国新酒鑑評会では、平成14酒造年度以降に限ると、平成19・26・27酒造年度に入賞しています。いずれも商標はスキー正宗で、金賞ではなく入賞です。関東信越国税局酒類鑑評会では、平成14年の第73回で受賞し、平成18年の第77回では燗審査の部で優秀賞を受けています。蔵の発表では、2024年11月の香港インターナショナル・ワイン&スピリッツ・フェアで、ソムリエ3名のブラインドテイスティングによるSommeliers Picks 2024に選ばれ、日本酒で選ばれた4銘柄の1つでした。

代表銘柄

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スキー正宗

高田が日本スキー発祥の地であることにちなむ、蔵の代表銘柄です。戦時中は表記を「寿亀正宗」としながら「すきーまさむね」と読ませた時期があります。「スキーのように滑るように喉を通る酒」を目指し、淡麗すぎず滑らかな口当たりが持ち味です。2026年2月出荷分から、普通酒などを統合したプレミアムレギュラーに一本化されました。

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見学・購入

蔵見学
あり(要事前確認)
直売所
蔵の売店(営業時間は8:30から17:00)と公式オンラインショップ
補足
試飲中心のプレミアムコース(10:00から15:00、所要30分ほど、予約不要、1人700円)と、蔵の工程の説明と試飲がある予約制の蔵見学コース(2名から4名、仕込み作業の都合で午後のみ)があります。隣接する楽酔亭で試飲する楽酔亭コースは、2025年12月時点で休止中です。車を運転する方、未成年の方、妊娠中や授乳期の女性は試飲できません。

見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。

蔵の基本情報

所在地
新潟県上越市西城町4-7-46

出典

niigata-sake.or.jp / niigata-kankou.or.jp / sakenomy.jp / sake-harasho.com / musashino-shuzo.com / niigata.lg.jp / rakuten.co.jp / niigata-kigyo-navi.jp / shop6340.biz / nta.go.jp / nrib.go.jp

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