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菊司醸造

代表銘柄:菊司・くらがり越え・往馬

奈良県

NARA

1705年創業

奈良県生駒市小瀬町に位置する菊司醸造は、1705年(宝永2年)に初代・藤兵衛が酒造業を始めた300年以上の歴史を持つ老舗酒蔵です。かつて大阪と奈良を結んだ暗越(くらがり)奈良街道の宿場町で脈々と酒造りを続けています。代表銘柄には「菊司」のほか、松尾芭蕉の句にちなむ「くらがり越え」、奈良県独自の酵母で仕込む純米の「往馬(いこま)」などがあります。

2024年時点で13代目の駒井大氏が代表取締役と杜氏を兼ね、手造り・小仕込み・高精白など手間を惜しまない酒造りに取り組んでいます。生駒山系の天然水を仕込み水とし、醪(もろみ)の搾り(上槽)においては、全量を昔ながらの「ふね(槽)」を用いて丁寧に圧搾しているのが大きな特徴です。

また、室町時代に正暦寺(奈良市)で創醸された製法を、奈良県菩提酛による清酒製造研究会の会員蔵とともに復活させた「菩提酛純米」(駒井氏は同研究会の会長)や、奈良県独自の「オルニチン酵母」で仕込んだお酒など、地域伝統と個性を活かした醸造を行っています。蔵の純正酒粕を使った奈良漬も造っています。

菊司醸造の歩み

菊司醸造は、奈良県生駒市小瀬町にある造り酒屋です。小瀬は、大阪と奈良を結ぶ奈良街道(暗越奈良街道)の宿場町として栄えた地で、江戸時代の宝永2年(1705年)に初代の藤兵衛が酒造りを始めました。以来この地で酒造りを続け、2005年に創業300年を迎えています。

2024年時点で13代目の駒井大さんが代表取締役と杜氏を兼ねています。会社員を経て平成7年、30歳のときに家業を継ぐため蔵へ戻りました。それまでは兵庫県の但馬から杜氏と蔵人が住み込みで酒造りを担っていましたが、やがて蔵元自らが杜氏を務める体制へ移りました。当時、奈良県には60軒ほどの蔵がありましたが、蔵元が杜氏を兼ねるのは稀なことでした。蔵元杜氏として迎えた2度目の造りで、造った酒が県の鑑評会で賞を受けています。この経験から酒造りを一から見直し、蔵人に頼らずに造れる体制を整えました。

駒井さんが設立時から携わってきたのが、菩提酛(ぼだいもと)の復活です。当時、奈良の蔵の多くは大手メーカーに酒を卸す桶売りが中心で、将来の先細りが見えていました。そこで奈良ならではの酒を打ち出そうと、県内の若手蔵元の有志が、室町時代に正暦寺(しょうりゃくじ)で創醸された菩提酛に着目します。取り組みの中心になったのは油長酒造と倉本酒造で、駒井さんは当時いちばん若い会員として各所を飛び回ったといいます。平成8年(1996年)に奈良県菩提酛による清酒製造研究会が発足し、県内の蔵に声をかけて集まったのは15社でした。

平成10年12月に正暦寺で酒母の製造免許が下り、平成11年1月に初めて正暦寺で酒母が造られています。会員は廃業などで2024年時点で7蔵となり、設立時からの会員で今も残るのは駒井さんだけで、研究会の会長を務めています。

酒造りの特徴

菊司醸造の酒造りは、蔵元杜氏が高精白・手造り・小仕込・瓶燗・冷蔵庫貯蔵といった手間を惜しまない工程で進めます。なかでも上槽(もろみを搾る工程)は、すべて昔ながらの「ふね」で行い、機械を使わずに圧力をじっくりかけて搾ります。仕込み水には生駒山系の天然水を使います。駒井さんが目指すのは、食事の邪魔にならず、気がつけば盃が空いているような辛口の食中酒です。最近はやりの吟醸系よりも、食事とともに進む辛口で呑み応えのあるお酒を造ることを自らの仕事と考えています。

菩提酛では、生米を水に浸けて乳酸発酵させた「そやし水」を使って酒母を仕込みます。乳酸菌が雑菌を抑えるため、雑菌の増えやすい夏でも酒造りができたとされる製法です。復元された菩提酛は、正暦寺にいる乳酸菌と酵母を用いて酒母を造ります。当初は記録どおりに再現していましたが、甘くて酸味の強い風味で好みが限られかねないとの考えから、発足10年目ごろに方針を改めました。現在は正暦寺で造った酒母を各蔵が持ち帰り、それぞれの持ち味を生かして仕込みます。会員は毎年品評会を開き、基準に届かないものは出荷しない取り決めもあります。

菊司の菩提酛純米は、駒井さんが自らの蔵の好みに合わせて辛口に仕上げており、日本酒度は+12です。

奈良県独自の酵母にも取り組んでいます。往馬(いこま)の純米には、三輪明神の境内に咲くササユリから採取された「山乃かみ酵母」を使うものや、奈良県独自の「オルニチン酵母」を使うもの、法隆寺の境内で見つかった酵母を使う「太子夢酵母」仕込みがあります。また、奈良県独自の酒造好適米「露葉風」で仕込んだ純米吟醸も手がけています。蔵では酒粕を使った奈良漬も造っています。

代表銘柄

菊司

蔵の名を冠した主力銘柄で、読みは「きくつかさ」です。純米蔵出し原酒(アルコール分19度、日本酒度+7)や、好適米を高精白した純米吟醸(日本酒度+5)、冬季限定の純米にごり酒などがあります。数量限定の菩提酛純米は、室町時代に創醸され約五百年ぶりに復活した菩提酛造りで、正暦寺で造った酒母を用いて仕込み、日本酒度は+12です。

くらがり越え

松尾芭蕉が詠んだ奈良街道の暗峠(くらがりとうげ)にちなんで名付けた純米酒で、生駒みやげとしても勧めています。アルコール分は15度、日本酒度は+8の辛口です。冬季限定で、搾りたてに加水をしない純米生原酒(アルコール分19度、日本酒度+9)も出ています。

往馬

往馬(いこま)の名で、奈良県独自の酵母を使った純米酒を造っています。山乃かみ酵母仕込(日本酒度+5)、1リットルあたりしじみ400個分のオルニチンを含むオルニチン酵母仕込(日本酒度+7)、法隆寺の境内で見つかった酵母を使う太子夢酵母仕込(日本酒度+7)が代表的です。ここに挙げた以外の往馬の商品は、特約店で販売しています。

見学・購入

直売所
蔵の店頭で販売しており、菊司・くらがり越え・往馬の試飲ができます(店内に試飲コーナーあり)。奈良漬や酒粕も扱います。営業時間は平日・土曜が9:00〜17:00、日曜・祝日が10:00〜16:00で、定休日は毎月第2・第4日曜(12月を除く)です。
補足
所在地は生駒市小瀬町555、電話は0743-77-8005です。

見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。

蔵の基本情報

所在地
奈良県生駒市小瀬町555
創業
1705年
公式サイト
kikutsukasa.pro

出典

nara-kankou.or.jp / kikutsukasa.pro / par-ple.jp / fc2.com / kcn.ne.jp / nara-np.co.jp / city.ikoma.lg.jp / goodcycleikoma.jp / ikomasankei.org / lab.kuas.ac.jp / bodaimoto.org / nta.go.jp

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