増田酒造
代表銘柄:大和の国・大和の園・神韻
奈良県
NARA
1625年創業
増田酒造は、奈良県天理市岩屋町に位置し、1625年(寛永2年)に創業した約400年の歴史を誇る老舗酒蔵です。旧伊勢街道と山の辺の道が交差する地に蔵を構え、伝統的な代表銘柄「都姫」や特定名称酒ブランド「神韻(しんいん)」などを展開しています。仕込み水には、大国見山の伏流水を引き込んで使用しています。長年は「都姫」を中心とした普通酒を主力としていましたが、2009年より小仕込みによるこだわりの特定名称酒への取り組みを本格化し、新ブランド「神韻」を立ち上げました。
食中酒を意識したしっかりとした酸味と辛口の味わいを特徴とし、樫樽熟成の純米酒や無濾過生原酒など、小規模仕込みならではの意欲的な酒造りに取り組んでいます。なお、受賞歴に関する明確な情報は確認できませんでした。
増田酒造の歩み
増田酒造は、大和国(現在の奈良県天理市岩屋町にあたる地)で、寛永2年(1625年)に創業しました。旧伊勢街道と山の辺の道が交わる土地に蔵を構え、創業の地で酒造業を350年にわたり継承し、2012年に公開されていた会社概要では当主は12代目にあたるとされていました。清酒・焼酎の製造に加えて居酒屋経営も手がけ、「居酒屋 蔵」「居酒屋 樽八」などの直営店を営んでいた時期もあります。代表銘柄「都姫」の名は、聖武天皇の生母にちなむと伝えられています。
都姫を愛飲したと伝わるのが、皇族の書家である文秀女王です。文秀女王は伏見宮邦家親王の王女で、のちに孝明天皇の養女となり、奈良の圓照寺門跡を務めて和歌や書をよくした人物です。都姫をことのほか愛し、酒の中の酒として「精酒」の文字を揮毫して蔵に贈ったと伝えられ、この書は現在も社宝として保管されています。なお、酒造業としての創業は寛永2年にさかのぼりますが、現在の法人である増田酒造株式会社は昭和26年(1951年)に設立されました。
増田酒造は長らく普通酒だけを醸す蔵でした。2009年、遷都1300年を機に杜氏として黒瀬弘康氏を招き入れ、経済酒を主体としながらも小仕込みの限定流通酒を並行して手がける新ブランド「神韻」を立ち上げました。黒瀬氏は宮崎県の焼酎蔵で「百年の孤独」をはじめとする焼酎造りに携わった後、日本酒の道に転じ、三重・岐阜・福岡・長崎・愛媛の蔵を渡り歩いてから増田酒造に加わった杜氏です。
黒瀬氏は蔵人を置かず、もろみからしぼりまで酒造りの全工程をほぼ一人で行っていました。蔵人たちに「蔵の環境に逆らわない酒づくりをしろ」と伝えることを信条とし、増田酒造の蔵は川のそばで湿度が高いため、麹の造りは日本海側の蔵に近いものになっていました。黒瀬氏は2009年に杜氏として招かれてから2019酒造年度まで蔵を任され、2020酒造年度からは同じ天理市の稲田酒造で杜氏として酒造りをしていました。
酒造りの特徴
仕込み水には、大国見山の伏流水を約1キロメートル引き込んで使用していました。麹室やもろみの仕込みは、かつて酒の貯蔵に使っていたプレハブの冷蔵庫を改造した設備で行い、暖房器具や加湿器で乾湿を調整しながら突きハゼの麹を用いる、大きな設備投資に頼らない小仕込みが特徴でした。2018年時点での年間生産量はおよそ30石で、規模を追わない少量生産を貫いていました。
味わいは食中酒を意識し、良い酸をしっかりと出し日本酒度は高めに仕上げるのが持ち味でした。「都姫」は山田錦を使った大吟醸酒を中心とし、「神韻」は奈良県産ヒノヒカリを主軸に、美山錦や滋賀県産吟吹雪、あきたこまちなど複数の原料米を使い分け、無濾過生原酒を中心とした純米酒・純米吟醸酒のシリーズでした。
フランス・アエリー産の内側を軽く焦がした新樽で熟成させた「神韻 樫樽純米酒」、米1%・麹歩合99%の活性にごり酒「神韻 99」、タンクに残った“底たまり”を複数種ブレンドした「神韻 Bottom」など、意欲的な限定酒にも取り組んでいました。清酒に加え、アルコール度数25度の米焼酎「麁鹿火(あらかび)」と、トレハロースと黒糖を使ったアルコール度数12.5度の梅酒も手がけていました。
2012年に公開されていた商品紹介では、「都姫 大吟醸」は精米歩合40%まで磨いた山田錦を使い、米・米麹・醸造アルコールを原料に、日本酒度+7、酸度1.8、アルコール度数15.5度に仕上げられていました。「神韻 純米吟醸酒」は精米歩合40%の美山錦を使い、日本酒度+9、酸度2.0のほのかな吟醸香を持ち味とする一本、「神韻 しぼりたて純米酒」はあきたこまちを使い、精米歩合70%、日本酒度+10、酸度2.0、協会7号酵母、アルコール度数18.5度としっかりとした飲みごたえのある一本でした。
同じころ、精米歩合50%まで磨いた美山錦を使う「神韻 純米酒」(日本酒度+9、酸度1.9、アルコール度数15.5度)も商品紹介に載っていました。
代表銘柄
大和の国
「大和の国」は、増田酒造が「都姫」「神韻」とともに手がける銘柄です。蔵は寛永2年(1625年)の創業以来、旧伊勢街道と山の辺の道が交わる天理市岩屋町の地で、大国見山の伏流水を仕込み水に用いた酒造りを続けてきました。銘柄名には、この地がかつて大和国と呼ばれた歴史への思いが込められています。
大和の園
「大和の園」も、増田酒造が「都姫」「神韻」と並んで手がける銘柄です。蔵のある天理市岩屋町は、旧伊勢街道と万葉集で名高い山の辺の道が交わる地で、寛永2年(1625年)の創業から350年にわたり酒造業が営まれてきました。大国見山の伏流水を仕込み水とする小仕込みの中から生まれた銘柄のひとつです。
神韻
「神韻」は2009年、杜氏に黒瀬弘康氏を招いたことを機に立ち上げた特定名称酒のブランドです。奈良県産ヒノヒカリを主軸に、美山錦や滋賀県産吟吹雪も使い分け、無濾過生原酒を中心とした純米酒・純米吟醸酒を展開していました。米1%・麹歩合99%の「神韻 99」、タンクの底に残った澱をブレンドした「神韻 Bottom」、フレンチオーク新樽で熟成させた「神韻 樫樽純米酒」など、意欲的な限定酒にも取り組んでいました。
蔵の基本情報
- 所在地
- 奈良県天理市岩屋町42
- 創業
- 1625年
- 公式サイト
- masuda-shuzou.co.jp
出典
japansake.or.jp / sake-guide.com / ameblo.jp / nobori-sake.com / naraizumi.jp / blog.jp / masuda-shuzou.co.jp / web.archive.org / par-ple.jp / narawashi.jp / sakenowa.com
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