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澤田酒造

代表銘柄:歓喜光

奈良県

NARA

1830年創業

澤田酒造は、奈良県香芝市五位堂に位置し、1830年(天保元年)に創業した酒蔵です。明治22年(1889年)に三代目が造り酒屋として酒造業を本格化し、5代目当主の時代に現在の主力銘柄である「歓喜光」が誕生しました。製造従事者の高齢化等により長らく主要工程を協力会社に委託していましたが、設備更新や技術者育成を経て、2019酒造年度に自社醸造を再開し、2020年2月に約30年ぶりに自社での酒造りが復活しました。

酒造りでは小仕込みにこだわり、厳密な温度管理と均質発酵を行う丁寧な醸造を行っています。吟醸クラスは麹米・掛米とも、純米酒は麹米に兵庫県産山田錦を使い、香芝産の原料だけで醸す「香芝マインド」シリーズも手がけています。

自社醸造の復活後は高い品質が評価されており、「ワイングラスでおいしい日本酒アワード」やフランスの「Kura Master」、「インターナショナル・ワイン・チャレンジ(IWC)」、「ミラノ酒チャレンジ」などワイングラスでおいしい日本酒アワードの最高金賞、Kura Masterのプラチナ賞、IWCのゴールドメダル、ミラノ酒チャレンジのダブル金賞など、国内外の品評会で受賞を重ねています。

澤田酒造の歩み

奈良は日本の清酒発祥の地といわれます。澤田酒造は、その奈良県の中西部、東に三輪山を遠く望み、西に万葉集に詠まれた二上山を仰ぐ香芝市五位堂にあります。創業は江戸時代末期の1830年(天保元年)です。初代の澤田定四郎が、現在の蔵と同じ五位堂の地で紺屋を営むかたわら、周辺の田んぼで獲れた米を使って酒を造ったのが始まりです。

明治22年(1889年)には三代の澤田定十郎が造り酒屋として酒造業を本格化させ、銘酒「透明冠」を発売しました。昭和10年(1935年)には、醸造学者でもあった四代の澤田定司が、過酷な仕事に就く蔵人の健康を守ろうと、身近な野菜や果物を発酵させた液を考案しました。これが現在の植物醗酵エキス「澤田酵素」の原型で、健康食品の事業につながっています。昭和28年(1953年)に澤田酒造株式会社が設立され、定司が初代の代表取締役に就きました。

太平洋戦争では食料難で休造を余儀なくされ、跡取りの澤田定も戦死しました。蔵は戦後間もなく酒造りを再開し、昭和31年(1956年)に定の妹の澤田定子が五代目当主になりました。定子は音楽家でもあり、昭和50年(1975年)に純米酒を中心とする高品位志向の銘柄「歓喜光」を発売します。質より量を求める市場で、日本酒の原点である純米酒を軸に品質本位の酒を造りたいという思いからでした。蔵は昭和63年(1988年)に、歓喜光が全国新酒鑑評会で金賞を受賞したと伝えています。

平成に入ると、製造に携わる人の高齢化などから、主要な製造工程を協力会社に委託する時期が続きました。転機は2019年です。製造設備を一新し、社員の中から製造責任者を育てて自社醸造を再開しました。かつての酒造りを知る蔵人がいないなか、先人の残した資料に向き合い、同業他社の協力も得て、2020年2月に約30年ぶりとなる自社の酒造りが復活しました。2022年の時点では30代の若い蔵人が中心で、日々試行錯誤を重ねながら、初心ならではの情熱と丁寧さを強みに酒造りに臨んでいます。

当主は、昭和59年(1984年)に六代目の澤田定至人が、令和5年(2023年)に七代目の澤田定一良が継ぎました。

自社醸造の復活後は、国内外の品評会で受賞を重ねています。2020年の初出品となったロンドン酒チャレンジの純米吟醸部門で、歓喜光の純米吟醸「小さな喜び」が銀賞を受賞しました。ワイングラスでおいしい日本酒アワードのプレミアム純米部門では、「小さな喜び」が2021年と2025年に最高金賞、2022年・2024年・2026年に金賞を受賞しています。2024年と2025年のプレミアム大吟醸部門では歓喜光の純米大吟醸が金賞、2025年のプレミアム純米部門では「初穂乃香」も金賞です。

フランスのKura Masterでは、歓喜光の純米大吟醸が2021年と2023年にプラチナ賞を受賞し、2025年には「小さな喜び」が純米大吟醸酒(36-50%)部門の金賞、2026年には「初穂乃香」がプラチナ賞、「小さな喜び」が金賞に選ばれました。

インターナショナルワインチャレンジ(IWC)のSAKE部門では、2021年に「小さな喜び」が、2022年に純米大吟醸がそれぞれゴールドメダルを受賞し、2024年には純米大吟醸がブロンズメダル、2025年には「初穂乃香」がシルバーメダル、純米大吟醸がブロンズメダルを受けています。蔵の発表では、2023年にも「小さな喜び」がブロンズメダルに選ばれました。このほか、2021年から2025年まで毎年、いずれかの銘柄が大会推奨酒に選ばれています。

全国燗酒コンテストのプレミアム燗酒部門では、歓喜光の純米蔵原酒が2021年と2022年に金賞を受賞し、2022年には「初穂乃香」も金賞に選ばれました。ミラノ酒チャレンジでは、2022年に純米大吟醸が銅賞、2023年に「小さな喜び」と「悠久の光 純米」が、2024年に「小さな喜び」と純米蔵原酒が、それぞれ酒テイスティング部門でダブル金賞に輝きました。

酒造りの特徴

澤田酒造は小さな酒蔵です。製造規模は小さく、充実した設備があるわけでも、長年酒造りに携わった熟練の蔵人がいるわけでもありません。そのため、すべての仕込みで、醪のわずかな変化を見逃さず、厳密な温度管理と均質な発酵ができる小さな仕込みを行っています。基本に忠実でありながら既成概念にとらわれず、向上心と情熱、丁寧さをもって酒造りに臨む姿勢を大切にしています。

歓喜光の味わいは、奈良酒の伝統を受け継いだ濃醇さと、キレのある酸味が特徴です。吟醸クラスでは麹米・掛米の全量に、純米酒でも麹米に兵庫県産の山田錦を使います。看板の純米吟醸「小さな喜び」は、麹米・掛米ともに兵庫県産山田錦を100%使った純米吟醸酒です。うま味のしっかりとした味わいと、深みのある甘さのバランスが持ち味で、フルーツを使った料理とよく合います。

一方で、地元産の原料米を積極的に使い、地元農業と酒蔵がともに栄える持続可能な酒造りにも取り組んでいます。その柱が、香芝産の原料だけで醸す「香芝マインド」シリーズです。純米吟醸「初穂乃香」の原料米「露葉風」は、現在は奈良県でのみ生産されている酒米で、山間部での栽培に適しています。平坦地の香芝市では栽培が難しいと見られていましたが、田んぼの水の管理を工夫して、香芝で初めての栽培に成功しました。蔵人たちも米作りに携わり、原料の生産から醸造まで一貫して造っています。

純米酒「悠久の光」は、香芝市、農業者、酒蔵の三者が協力して生んだ銘柄です。宅地化が進むなかで増えた遊休農地を活用して栽培した食用米「ヒノヒカリ」を65%まで精米し、吟醸造りに匹敵する長期低温発酵で醸しています。すっきりまろやかな口当たりと、芳醇な香りに仕上がっています。

代表銘柄

歓喜光

昭和50年(1975年)に五代目当主の澤田定子が誕生させた、澤田酒造の代表銘柄です。質より量を求める時代に、純米酒を軸に品質本位の酒を造りたいという思いから生まれました。吟醸クラスは麹米・掛米の全量に兵庫県産山田錦を使い、濃醇な味わいとキレのある酸味が特徴です。純米吟醸「小さな喜び」が数多くの受賞を重ねています。

見学・購入

直売所
蔵元直売所・角打ち処(奈良県香芝市五位堂3丁目、近鉄五位堂駅から徒歩約2分)。蔵元直営で、購入できるほか、歓喜光などを立ち飲みで味わえます。
補足
直売所・角打ち処は2026年1月に開店しました。2026年2月時点の営業時間は9時30分から22時、定休日は不定です。本社の中庭には平成元年(1989年)に完成した多目的ホールの酒蔵ロマン館があります。また、敷地内の音楽堂では酒蔵ロマンコンサートが開かれ、澤田定子記念音楽院が音楽教室を運営しています。

見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。

蔵の基本情報

所在地
奈良県香芝市五位堂6-167
創業
1830年
公式サイト
www.kankiko.jp

出典

sakenomy.jp / sakagura-press.com / par-ple.jp / sakeworld.jp / narawashi.jp / nara-kankou.or.jp / kankiko.jp / kuramaster.com / small-life.com

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